『艦隊これくしょん』が収益寄与に向けて「出撃」…シティグループ証券がPSVita版『艦これ』で「増益10億円」と予想

KADOKAWA<9477>傘下の角川ゲームスとDMM.comが共同で提供しているPCブラウザゲーム『艦隊これくしょん』(艦これ)。株式市場では、本作がKADOKAWA全体の業績に貢献してくると期待する見方が出てきた。

『艦これ』は第2次世界大戦時の旧日本海軍の艦艇を美少女擬人化した艦隊育成・対戦ゲーム。昨年4 月下旬にサービスを開始し、PCブラウザのみの提供でモバイル展開はしていないものの、登録者数は170万人を突破するほどの人気コンテンツとなっている。

角川歴彦会長が「艦これはほとんど儲からない」と話したと伝わる(関連リンク)など、KADOKAWA全体への業績寄与は大きくないと見られてきた同作品だが、PSVita版の発売をきっかけに増益要因になるとの見方がシティグループ証券から出てきている。

シティグループ証券の福田聡一郎アナリストは3月10日に発行した投資家向けレポートで、『艦これ』について「たしかに、課金要素がやや少なく、DMM社がパブリッシュしていることもあり、現時点でのゲームのみの収益貢献は限定的」と指摘。だが、『艦これ』の収益貢献は、アニメ化と初のモバイル展開(PSVita版投入)が見込まれる2015年3月期からの本格化を予想する。
 

■PSVita版の販売本数「50万本」「増益10億円」と予想


KADOKAWAは、既に『艦これ』関連コミックを数種類展開するなど、紙媒体の関連書籍投入を強化している。

福田アナリストは「これらの書籍群はアニメ化による更なる人気拡大を経て、収益性の高い重版により来期以降の収益に貢献しよう」と予想する。また、初のモバイル展開となるPS Vita版の販売本数を「50万本」と予想。アニメ化後に発売されるDVD、BDなど関連商品が、アニメ放送を軸に相乗効果を発現することで、書籍事業や映像事業の業績に貢献するとみる。

福田氏は、2015年3月期のKADOKAWAの「ネットデジタル事業」について、PSVita版『艦これ』投入で「増益10億円」と予想。「PSVita版同タイトルはKADOKAWA名義でのリリースとなることから、PC ブラウザ版と比し、手取り分も相応に大きいと見られる。PS Vita版にアイテム課金が導入され、アイテム課金が好調に推移すれば、更なる業績のアップサイドを有しよう」とみていた。

なお、シティグループ証券は、『艦これ』の業績寄与と、電子書籍事業の拡大を考慮し、投資判断を「買い」に引き上げた。レポート発行翌日にKADOKAWA株は上昇し、足もとは3700円前後の推移が続いている。以前、株式市場で『艦これ』期待が高まった昨年8月につけた直近1年間の高値4100円を上回れるかどうか、見極めたい。
合同会社DMM.com
https://dmm-corp.com/

会社情報

会社名
合同会社DMM.com
設立
1999年11月
代表者
最高経営責任者 亀山 敬司
決算期
2月
企業データを見る
株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
企業データを見る
株式会社角川ゲームス
https://www.kadokawagames.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社角川ゲームス
設立
2009年4月
代表者
代表取締役社長 安田 善巳
企業データを見る