アプリマーケティング研究(9) 2014年はゲームアプリにもデータマーケティングが本格的に到来!?【前編】

■はじめに


アプリの初期プロモーションに関しては、事前予約やブースト広告など、リリース前/リリース1ヶ月の集客手法が確立しつつあります。

その一方で、リリース後、2ヶ月目以降のプロモーションでは、新規ユーザの獲得効率が悪くなり、初月に獲得したユーザの離脱とともにDAUの減少が続くアプリも少なくありません。リリース2ヶ月目以降のDAUの減少はプロモーションの大きな課題となっています。

上記の課題を解決する手法のひとつとして、2014年中盤以降、リテンション広告に注目が集まると考えており、今週から「リテンション広告」について前編・後編と2回に分けて紹介したいと思います。

 

■リテンションとは?


リテンションという用語が、使う人によって異なってることが多いです。



「残存率」、「横展開」、「維持」。ニュアンスは似ていても、実際に含まれている意味合いは、 大きく異なります。

今回ここで取り上げる「リテンション」は、「良質なユーザーへの再アプローチ」と定義させて頂きます。

 

■既にECサイトをはじめ、多数のサービスで活用されている


某ECサイトで商品を見た後に、別のWebサイトを閲覧していると、さっきまで見ていた商品のバナーや類似の商品、閲覧していた店舗のバナーが掲載され、あたかも追いかけられてるような錯覚に陥るようなという経験は誰にでもあるはず。



これらは、リマーケティング、リターゲティング広告と呼ばれ、見込顧客(既存顧客や一度でもサイトを閲覧したことのあるユーザー)を囲い込んでいく手法の一つです。

すでにYahoo!や楽天をはじめとした大手のECサイトなどで、ユーザーの行動履歴のデータを活用したプロモーションが行われています。


 

■リリース前/後の集客手法と並行して効果的な集客を


ゲームアプリにスポットを当てると、事前予約やADネットワークなど、リリース前/リリース1ヶ月の集客手法が確立しつつあります。



その一方で、事前登録やリリース後のプロモーションでどれだけ集客をしても、比例して、取りこぼすユーザーもが増えていきます。

例えば、これらと並行して、大手ECサイトの手法のように、アプリに興味をもったユーザーや、過去遊んでいたユーザーへ再アプローチをすることで効果的な集客ができるのではないでしょうか?

 

■質の高いユーザーを囲い込んでいくために


ここで、ゲームアプリのユーザーの構造を振り返ってみましょう。ユーザーの構造を下記のピラミッドのようにビジュアル化する。質の高いユーザーを囲い込んでいくための方法のひとつとして、今アクティブでないユーザーに『的を絞ってアプローチする』ことが効果的といえます。特に、休眠ユーザーやアンインストールしたユーザーは過去に課金をしたことがある可能性があり、従来のプロモーションで新規ユーザーを獲得しつつ、それと並行して、これらのユーザーへターゲットを絞ったアプローチにより効率よく、良質なユーザーへアプローチができるのではないでしょうか。

 

■まとめ


今回は、良質なユーザーへの再アプローチのひとつとして大手ECですでに取り入れ始めている、リマーケティング・リターゲティング広告について紹介しました。

これをゲームアプリに利用する手法としては、プッシュ通知やユーザー間で復帰を促すゲーム内での施策や、テレビCM・リターゲティング広告といった外部からの施策があります。

後編では、 ユーザーへの再アプローチの手法としてどのようなものがあり、それぞれの手法の違いはなにか、またどのようなことができるのか。導入に当たって必要なことや、運用時の課題について、比較しながら紹介します。


 

■尾崎将史


国内初のネイティブソーシャルゲームに特化した集客スタジオ、株式会社AppBroadCast コンサルティング事業部リテンションストラテジスト。前職では、モバイルキャリアコンテンツのプロモーションに携わる。2014年4月より現職にて「リテンション」という側面からのゲーム集客戦略の支援に携わる。