【LINEセミナーレポート中編】ガンホー横内氏が語る『ケリ姫スイーツ』のマーケティング施策における多角的なアプローチとは
LINEは、6月9日、東京都内でアプリデベロッパー向けに「LINEを活用した最新マーケティングセミナー」を開催した。今回は、世界のユーザー数が4億人に到達し、世界のコミュニケーションプラットフォームとして成長している「LINE」を活用したプロモーションセミナーとなる。
セミナーは以下のような構成だった。「Social Game Info」では、セミナーの模様を前編・中編・後編に分けてお伝えしたい。
第一部「国内約5,100万人のユーザーを抱えるLINEを活用した新たなマーケティング手法」
第二部「世界のトップデベロッパーが語る効果的なマーケティングとは」
第三部「世界展開を加速する LINEゲーム」
第四部「世界に拡大するマーケティングプラットフォームとしてのLINEの今後の展望」
今回は中編として、第ニ部の模様をお伝えしよう。第二部では、ガンホー・オンライン・エンターテイメントのマーケティング部マーケティング課 課長の横内皇太氏が「世界のトップデベロッパーが語る効果的なマーケティングとは」と題する講演を行い、『ケリ姫スイーツ』における多角的なアプローチ施策について紹介した。
■テレビCM単体での新規獲得効率は悪い
まず、「前提」として、横内氏は、テレビCMの効果に言及した。スマートフォンアプリのマーケティングでは、いまやテレビCMを使ったプロモーションは珍しくもなくなったが、その効果はどういったものなのか。横内氏は、新規ダウンロードの獲得という観点からすると、テレビCM単体の効率性は、アドネットワークにも劣る広告手法であると指摘した。それでもテレビCMを実施する理由は、タイトル認知度の向上や新規ダウンロード数のボリュームの獲得、WEB広告では訴求できない層にアプローチすること、そして、既存ユーザーの活性化や休眠ユーザーの復帰を促すことができる、といった効果が期待できるとのことだった。
■4カ月後に飛躍のための改修を実施
それでは題材として選ばれた「ケリ姫スイーツ」はどうだったのか。ガンホーの久々の新作だったことやケリ姫クエストの続編だったこともあって、ユーザーからの期待度が高く、リリースから3カ月目で150万ダウンロードに達するなど、初動は非常に順調だった。当初の想定を上回る状況だったという。
しかし、サービス開始後、継続率やチュートリアルの突破率など様々な点に問題点があったようだ。そこでその勢いを保ちつつ、いかに飛躍させていくかと考えたところ、プロモーションにはあえて注力せず、ゲームの改修を行うことにした。チュートリアルの改修やゲームバランスの調整、イベント内容の見直し、ゲームリソースの実装などを行ったところ、継続してプレイするユーザーの割合が向上し、売上ランキングについても高いポジションで安定したとのことだった(この時のインタビュー記事がある)。
■テレビCMと各種プロモーションを組み合わせて計画以上の効果を発揮
そうした施策によってできあがった「基盤」の上に実施したのがテレビCMだった。2013年8月中旬(お盆)と、9月中旬(シルバーウィーク)に実施した。実施にあたって、2013年9月末日時点のダウンロード数を累計500万件に、そして、ゲームの認知率を12.2%から20%台に引き上げることを目標とした。テレビCMのクリエイティブは、「ケリ姫スイーツ」のゲーム性を前面に押し出しつつ、テレビCMを見た人が反応するような仕掛けを盛り込んだ。缶ケリで遊んでいる最中、姫が突如、乱入して缶を蹴りあげるという、インパクトのあるテレビCMを覚えている方も多いだろう。
※スライドは2014年9月とあるが、2013年9月が正しいようである。
テレビCMの放送前、テレビCMのみでプロモーションを行った時期、そしてテレビCM以外にリワード広告やアドネットワークなどを組み合わせた時期に分けて計測を行った。その結果、テレビCMだけの時期のアプリダウンロード数は、それ以前に比べて1.67倍となった。さらに、テレビCMに加えて、様々なプロモーション施策を組み合わせたところ、テレビCM放送前の14.72倍と飛躍的に伸びた。テレビCMだけではなく、さまざまな施策を掛けあわせることで効果の最大化が追求できると横内氏は語った。テレビCMの結果、『ケリ姫スイーツ』の認知率は、12.2%から25.8%となり、ダウンロード数は目標の500万ダウンロードを大きく上回る550万ダウンロードとなった。
あわせて横内氏は、マスプロモーション実施前後の施策についても紹介した。要点としては、ユーザーが成長していることを感じられるようなイベントやキャンペーンを実施すること、大型IPや他のゲームとのコラボレーションなど継続して楽しめる状況にすることが重要であると語った。
また、LINEのリワード広告「LINEフリーコイン」についてもコメントし、10万件レベルでも即日で予算消化されるという圧倒的な在庫数と、通常の媒体ではできない層へのアプローチができること、ゲームとの親和性が高く、その継続率は他のリワード広告を凌駕することなどをあげ、リワード広告よりも優れた広告効果を発揮したと述べた。
なお、こうした取り組みは「パズル&ドラゴンズ」でも実施した。月間のダウンロード数は30日ごとに100万件ペースで伸ばしていたが、MAU(Monthly Active Users)は2013年春ごろから横ばいが続く状況にあった。そこで、「ケリ姫スイーツ」のような「多角的アプローチ」を実施したことで、MAUが増加傾向に転じた。
最後に横内氏は、こうした取り組みは、開発・運営・プロモーションが一連託生となり、社内の関係者が協力して一体となって動く必要があること、そしてスピード感を持って取り組むことが重要であると語り、講演を締めくくった。
セミナーは以下のような構成だった。「Social Game Info」では、セミナーの模様を前編・中編・後編に分けてお伝えしたい。
第一部「国内約5,100万人のユーザーを抱えるLINEを活用した新たなマーケティング手法」
第二部「世界のトップデベロッパーが語る効果的なマーケティングとは」
第三部「世界展開を加速する LINEゲーム」
第四部「世界に拡大するマーケティングプラットフォームとしてのLINEの今後の展望」
今回は中編として、第ニ部の模様をお伝えしよう。第二部では、ガンホー・オンライン・エンターテイメントのマーケティング部マーケティング課 課長の横内皇太氏が「世界のトップデベロッパーが語る効果的なマーケティングとは」と題する講演を行い、『ケリ姫スイーツ』における多角的なアプローチ施策について紹介した。
■テレビCM単体での新規獲得効率は悪い
まず、「前提」として、横内氏は、テレビCMの効果に言及した。スマートフォンアプリのマーケティングでは、いまやテレビCMを使ったプロモーションは珍しくもなくなったが、その効果はどういったものなのか。横内氏は、新規ダウンロードの獲得という観点からすると、テレビCM単体の効率性は、アドネットワークにも劣る広告手法であると指摘した。それでもテレビCMを実施する理由は、タイトル認知度の向上や新規ダウンロード数のボリュームの獲得、WEB広告では訴求できない層にアプローチすること、そして、既存ユーザーの活性化や休眠ユーザーの復帰を促すことができる、といった効果が期待できるとのことだった。
■4カ月後に飛躍のための改修を実施
それでは題材として選ばれた「ケリ姫スイーツ」はどうだったのか。ガンホーの久々の新作だったことやケリ姫クエストの続編だったこともあって、ユーザーからの期待度が高く、リリースから3カ月目で150万ダウンロードに達するなど、初動は非常に順調だった。当初の想定を上回る状況だったという。
しかし、サービス開始後、継続率やチュートリアルの突破率など様々な点に問題点があったようだ。そこでその勢いを保ちつつ、いかに飛躍させていくかと考えたところ、プロモーションにはあえて注力せず、ゲームの改修を行うことにした。チュートリアルの改修やゲームバランスの調整、イベント内容の見直し、ゲームリソースの実装などを行ったところ、継続してプレイするユーザーの割合が向上し、売上ランキングについても高いポジションで安定したとのことだった(この時のインタビュー記事がある)。
■テレビCMと各種プロモーションを組み合わせて計画以上の効果を発揮
そうした施策によってできあがった「基盤」の上に実施したのがテレビCMだった。2013年8月中旬(お盆)と、9月中旬(シルバーウィーク)に実施した。実施にあたって、2013年9月末日時点のダウンロード数を累計500万件に、そして、ゲームの認知率を12.2%から20%台に引き上げることを目標とした。テレビCMのクリエイティブは、「ケリ姫スイーツ」のゲーム性を前面に押し出しつつ、テレビCMを見た人が反応するような仕掛けを盛り込んだ。缶ケリで遊んでいる最中、姫が突如、乱入して缶を蹴りあげるという、インパクトのあるテレビCMを覚えている方も多いだろう。
※スライドは2014年9月とあるが、2013年9月が正しいようである。
テレビCMの放送前、テレビCMのみでプロモーションを行った時期、そしてテレビCM以外にリワード広告やアドネットワークなどを組み合わせた時期に分けて計測を行った。その結果、テレビCMだけの時期のアプリダウンロード数は、それ以前に比べて1.67倍となった。さらに、テレビCMに加えて、様々なプロモーション施策を組み合わせたところ、テレビCM放送前の14.72倍と飛躍的に伸びた。テレビCMだけではなく、さまざまな施策を掛けあわせることで効果の最大化が追求できると横内氏は語った。テレビCMの結果、『ケリ姫スイーツ』の認知率は、12.2%から25.8%となり、ダウンロード数は目標の500万ダウンロードを大きく上回る550万ダウンロードとなった。
あわせて横内氏は、マスプロモーション実施前後の施策についても紹介した。要点としては、ユーザーが成長していることを感じられるようなイベントやキャンペーンを実施すること、大型IPや他のゲームとのコラボレーションなど継続して楽しめる状況にすることが重要であると語った。
また、LINEのリワード広告「LINEフリーコイン」についてもコメントし、10万件レベルでも即日で予算消化されるという圧倒的な在庫数と、通常の媒体ではできない層へのアプローチができること、ゲームとの親和性が高く、その継続率は他のリワード広告を凌駕することなどをあげ、リワード広告よりも優れた広告効果を発揮したと述べた。
最後に横内氏は、こうした取り組みは、開発・運営・プロモーションが一連託生となり、社内の関係者が協力して一体となって動く必要があること、そしてスピード感を持って取り組むことが重要であると語り、講演を締めくくった。
会社情報
- 会社名
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
- 設立
- 1998年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森下 一喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3765