AppBankは、8月28日にGMO Yoursにて、同社が主催するゲームアプリ開発会社/開発者向けのセミナー「ゲーム攻略のすべてを話します」を開催した。本セミナーでは、AppBankから脇俊済氏、小川真沙美氏、宮下泰明氏の3名が登壇し、同社が持つ影響力や、攻略メディアの運営体制、さらには今後のビジョンまで、さまざまな話題が語られた。
最初の登壇者である脇氏は、今回の講演にあたり、AppBankになぜ人が集まるのかを改めて考えてみたという。月間のページビュー数1億3000万を誇るAppBankだが、アプリの記事が掲載されても、ダウンロード数は高くないというケースもあると語る脇氏。その中で、人を集めるためのポイントとなるのが「AppBankと一緒に遊ぶ」感覚だ。
AppBankにはアプリを探す人、攻略記事を読む人、アプリの使い方を知りたい人と、さまざまなタイプの読者が訪れるが、すべてに共通しているのは、「このゲームはAppBankの人が遊んでるぞ」と思ってもらえると、一気にそのゲームへ人が流入していくことだという。同社は現在「パズル&ドラゴンズ」「モンスターストライク」の2タイトルに力を入れているが、ここにも同じ哲学が存在し、「AppBankの誰かが推しているゲーム」と思われることで、ページビューも跳ね上がるそうだ。
そして「AppBankと一緒に遊ぶ」の象徴となっているのがマックスむらいの存在だ。マックスむらいは「パズル&ドラゴンズ」「モンスターストライク」の攻略動画から、富士山登頂の生中継などありとあらゆる企画に身を投じている。脇氏によると、生放送の開始直後は攻略動画が人気だったものの、今ではマックスむらいのキャラクターにフォーカスを当てた内容でもヒットしているとのこと。特に中高生男子からはヒーローに似た扱いを受けており、「マックスむらいと一緒に遊びたい」と思わせることに一役買っている。
では、どうやってAppBankはゲームを選んでいるのか。この疑問について脇氏は「基本的にふたつの基準をもとに決めている」と語る。まず、「そのゲームを大きくできるか」が一点目の基準であり、すでに大きく育っているタイトル、多くの人が理解しているタイトルに、あえて手を付けることはないという。また、中途半端に終わらないことも重要であるとし、時にはひとつのタイトルに注力するため、そのタイトルを熟知したライターを雇うこともあるとか。
脇氏はさらに一歩踏み込んで、AppBankの盛り上げ方を紹介してくれた。まずマックスむらいとAppBankで新規ユーザーを獲得すると、攻略記事やツールでやりこむユーザーを作り、動画や日記でユーザーを継続させる。ユーザーはAppBankとともに育ち続け、ゲームのコアなファンになっていく。新規ユーザー獲得の際に掲載した記事や動画で終わるのではなく、その後の攻略アプリ/サイトできっちり囲うことに注力しているとのこと。
この流れの具体例として紹介されたのが「クラッシュオブクラン」だ。同作でAppBankは、140本もの記事を掲載したほか、攻略サイトも制作。さらには記事を通して“クラクラ”の略称も広めた。結果として、タイアップ前に比べトップセールスや無料アプリランキングで大幅なランクアップを見せ、大成功を収めたという。
そして二点目は「ビジネスを作れるか」である。脇氏はビジネスを成り立たせることが、ユーザーとのコミュニケーションだと考えているという。そのためAppBankは、ジャーナリストではなく、あくまでも商人の集まりであると脇氏は認識しているそうだ。そして、ビジネスの実例として紹介されたのが、「モンスト攻略リワード」や「総選挙」、「ブレイブフロンティア」の公認ファンアプリ「ブレイブフロンティアの世界と秘密」だ。
まず「モンスト攻略リワード」は、AppBankが運営する「モンスターストライク」攻略アプリからアプリをダウンロードすると、特別なアイテムが手に入るというもの。これを活用することで、ゲームメーカーやユーザーを巻き込んだ形のビジネスが、自然な形で行えるという。「総選挙」もさまざまな人を巻き込む形のビジネスで、ゲーム内でキャラクターに選挙を行い、上位に入ったモンスター(ユニット)は、iPhoneケースなどのグッズになる。AppBank直営ショップを出店している同社ならではの取り組みといえるだろう。
最後の「ブレイブフロンティアの世界と秘密」は、先日配信が始まったばかりのため「成功するかどうかはわからない(脇氏)」と前置きを置きながらも、「ストーリーを楽しめるほか、ここでしか聞けないインタビュー、アイテムがもらえるクイズなども配信しています」とアピールすると同時に「AppBankにしかできない商品では」と自信のほどを覗かせていた。
2人目の登壇者である小川真沙美氏からは、AppBankから独立した攻略メディア、および攻略アプリの在り方について語られた。同社は現在、複数の攻略メディアを運営しているが、その代表となっているのはやはり「パズル&ドラゴンズ」「モンスターストライク」の2タイトルだ。中でも「パズル&ドラゴンズ」攻略メディアは古くからあるもので、小川氏を含めた少人数のメンバーが、WordPressで運営していたという。一方の「モンスターストライク」攻略メディアは、今年の2月に運営を始めたという比較的若いサイトだ。こちらは当初、AppBankに掲載された攻略記事を集めるリンク集として機能していたが、ゲームが急速的な伸びを見せたため、メディアとしても早い勢いで成長していったという。
そもそも、なぜAppBankは独立した攻略メディアを運営しているのだろうか。これは先ほどの脇氏も語っていたが、「AppBankと一緒に遊ぶ」を実現するために、最も適切だったのが、攻略メディアだからだと小川氏は語る。読者が求める情報を提供しようと考えた場合、記事の形式では実現できないものも多い。1000体を超えるモンスターの詳細なデータを網羅する、などは分かりやすい例と言えるだろう。また小川氏は「攻略メディアであればAppBankと読者のつながりを強めることができる」と持論を述べていた。
次にポイントとなるのが、実際のところ攻略メディアは何を提供できるか、そしてユーザーは何を知りたがっているのかという点だ。小川氏によると、AppBankが攻略メディアで力を入れているのは、「ユーザーが知りたい情報を一番早く提供する」「ユーザーがゲームで迷っていることを解決する」「ユーザーがゲームを続ける理由を作る」の3つであると話した。
3つ目の「ユーザーがゲームを続ける理由を作る」は一際力を入れている部分だそうで、自分が手に入れたモンスターが使えるか使えないか、新しいクエストに勝てるかどうかなど、ユーザー個人ごとに価値のある情報を提供するよう心がけているという。また、プレイヤーの中にはいち早くランキングの上位に食い込みたい、いわゆる「ランク至上主義」の人も少なからず存在する。そうしたプレイヤーに向けた、効率のいいプレイ方法も掲載している。ただし、すでに高ランクのプレイヤーに対しては注力しておらず、あくまでもこれから高ランカーになろうとしているボリュームゾーンに対して情報を提供しているという。
さらに小川氏は「ユーザーさんはTwitterを意外にやっていないし、ニコニコのアカウントも持っていない」と話す。そうしたユーザーのために、最新情報や未来の予定もしっかりとカバーする必要がある。
最後にAppBankの攻略とは、「ゲームの理解度を底上げし、ゲームの遊び方を広げることで、結果としてゲームの見方を変える」ことにつながっていると小川氏は話した。ゲームの新要素を攻略サイトが拡散することで、ゲームを運営するメーカーの意図をユーザーが理解するとともに、時にはメーカーの意図とは違った流行がユーザーに浸透することで、ゲームに新しい時代が到来するのだ。こうして新しいゲームの遊び方を提案することが、AppBankだからできる攻略メディアだという。
3人目の登壇者となったAppBankの創立者である宮下氏がまず語ったのは、攻略本などといった既存の攻略メディアと、同社が運営する攻略メディアの違いについてだ。宮下氏は以前GT-Agencyに勤めていたが、当時からさまざまなスマートフォン用アプリの紹介記事を書いていた。その紹介記事で他のメディアと大きく違ったのは、スクリーンショットの有無だという。有料アプリの中身を知りたいという人のためにスクリーンショット付きで紹介し、アプリの良い点や特徴を分かりやすく見せていたのだ。宮下氏は当時を振り返り「見せ場だと思ったところを撮影し、好き勝手に記事を作らせてもらった」と表現していたが、現在においても自分たちが伝えたいことをはっきりと記事化するやり方は受け継がれている。
また、例えば「パズル&ドラゴンズ」で新しいダンジョンが配信されると、その3時間後には攻略記事が上がっているが、これもまた宮下氏が以前から行っていたことだという。「パズル&ドラゴンズ」は1回クリアすれば終わりというのではなく、同じダンジョンを何周も回るゲームだ。そのため、「とりあえず無難にクリアしよう」と思ったユーザーが読者になり、現在ではゲームと攻略記事が連動する文化に発展している。
宮下氏はユーザーがゲームに対して何を求めているかが、iPhoneが出てきてから変化が起きているという。これは、1人で面白さを追求していくものだったゲームが、周囲の人と楽しさを共有するものに変化してきたということだ。「かつてカジュアルゲームが台頭し、次にソーシャルゲームが流行して、現在のスマートフォンゲームはちょうどいい面白さに成熟してきました」と宮下氏自身が語っていたが、他の人におすすめしたいと思わせるレベルに発展したことも大きなポイントと言えるだろう。
「まだまだ紹介したいと思わせる、新しい可能性を広げていきたいと感じさせるゲームが増えてきた」と話す宮下氏。どんなゲームにも良い点はあるので、これからも過去の文脈にとらわれず、ゲームの可能性を広めていきたいとまとめた。
そして、AppBankが考えているこれからのビジネスに関しても、興味深い話が語られた。宮下氏は今後もメディアとしての立ち位置を変える気はないとし、「AppBankのスタッフとゲームユーザーが接触する時間を最大限まで取りにいく」ことが直近の目標であると話した。
さらに「2020年には東京オリンピックに何らかの形で関われる企業になっていたい」と続けた。突拍子もない話にも聞こえるが、スマートフォンは人と人がつながっているものであり、それはつまり人を集めることに適したアイテムと言える。宮下氏はそこに目を付けており、AppBankがある場所へ読者を誘導することができれば、あらゆる企業とのビジネスが成り立つと考えているようだ。これを実現するための理想的な環境がオリンピックであり、具体的なアイディアを落としこんでいくことが、2020年までの目標になるそうだ。
最後のまとめとして、「僕らの役割は読者と対話をすることを中心にと考えています」と述べた。この言葉を踏まえたうえで、今後AppBankとともに仕事をしたいと考えているメーカーには「AppBankが一方的にゲームを盛り上げるのではなく、ユーザーとともに大きくしていきたいと思っています。なので、『AppBankじゃダメだった』ではなく、『私たちは実はこれを伝えたかった』と言ってくれれば、次回からはさらにいい方向へ向かうはずです」と話し、セミナーを締めくくった。
■なぜAppBankは特定のアプリを推しているのか
最初の登壇者である脇氏は、今回の講演にあたり、AppBankになぜ人が集まるのかを改めて考えてみたという。月間のページビュー数1億3000万を誇るAppBankだが、アプリの記事が掲載されても、ダウンロード数は高くないというケースもあると語る脇氏。その中で、人を集めるためのポイントとなるのが「AppBankと一緒に遊ぶ」感覚だ。
AppBankにはアプリを探す人、攻略記事を読む人、アプリの使い方を知りたい人と、さまざまなタイプの読者が訪れるが、すべてに共通しているのは、「このゲームはAppBankの人が遊んでるぞ」と思ってもらえると、一気にそのゲームへ人が流入していくことだという。同社は現在「パズル&ドラゴンズ」「モンスターストライク」の2タイトルに力を入れているが、ここにも同じ哲学が存在し、「AppBankの誰かが推しているゲーム」と思われることで、ページビューも跳ね上がるそうだ。
そして「AppBankと一緒に遊ぶ」の象徴となっているのがマックスむらいの存在だ。マックスむらいは「パズル&ドラゴンズ」「モンスターストライク」の攻略動画から、富士山登頂の生中継などありとあらゆる企画に身を投じている。脇氏によると、生放送の開始直後は攻略動画が人気だったものの、今ではマックスむらいのキャラクターにフォーカスを当てた内容でもヒットしているとのこと。特に中高生男子からはヒーローに似た扱いを受けており、「マックスむらいと一緒に遊びたい」と思わせることに一役買っている。
では、どうやってAppBankはゲームを選んでいるのか。この疑問について脇氏は「基本的にふたつの基準をもとに決めている」と語る。まず、「そのゲームを大きくできるか」が一点目の基準であり、すでに大きく育っているタイトル、多くの人が理解しているタイトルに、あえて手を付けることはないという。また、中途半端に終わらないことも重要であるとし、時にはひとつのタイトルに注力するため、そのタイトルを熟知したライターを雇うこともあるとか。
脇氏はさらに一歩踏み込んで、AppBankの盛り上げ方を紹介してくれた。まずマックスむらいとAppBankで新規ユーザーを獲得すると、攻略記事やツールでやりこむユーザーを作り、動画や日記でユーザーを継続させる。ユーザーはAppBankとともに育ち続け、ゲームのコアなファンになっていく。新規ユーザー獲得の際に掲載した記事や動画で終わるのではなく、その後の攻略アプリ/サイトできっちり囲うことに注力しているとのこと。
この流れの具体例として紹介されたのが「クラッシュオブクラン」だ。同作でAppBankは、140本もの記事を掲載したほか、攻略サイトも制作。さらには記事を通して“クラクラ”の略称も広めた。結果として、タイアップ前に比べトップセールスや無料アプリランキングで大幅なランクアップを見せ、大成功を収めたという。
そして二点目は「ビジネスを作れるか」である。脇氏はビジネスを成り立たせることが、ユーザーとのコミュニケーションだと考えているという。そのためAppBankは、ジャーナリストではなく、あくまでも商人の集まりであると脇氏は認識しているそうだ。そして、ビジネスの実例として紹介されたのが、「モンスト攻略リワード」や「総選挙」、「ブレイブフロンティア」の公認ファンアプリ「ブレイブフロンティアの世界と秘密」だ。
まず「モンスト攻略リワード」は、AppBankが運営する「モンスターストライク」攻略アプリからアプリをダウンロードすると、特別なアイテムが手に入るというもの。これを活用することで、ゲームメーカーやユーザーを巻き込んだ形のビジネスが、自然な形で行えるという。「総選挙」もさまざまな人を巻き込む形のビジネスで、ゲーム内でキャラクターに選挙を行い、上位に入ったモンスター(ユニット)は、iPhoneケースなどのグッズになる。AppBank直営ショップを出店している同社ならではの取り組みといえるだろう。
最後の「ブレイブフロンティアの世界と秘密」は、先日配信が始まったばかりのため「成功するかどうかはわからない(脇氏)」と前置きを置きながらも、「ストーリーを楽しめるほか、ここでしか聞けないインタビュー、アイテムがもらえるクイズなども配信しています」とアピールすると同時に「AppBankにしかできない商品では」と自信のほどを覗かせていた。
■AppBankが考える「攻略がゲームを変えるメカニズム」
そもそも、なぜAppBankは独立した攻略メディアを運営しているのだろうか。これは先ほどの脇氏も語っていたが、「AppBankと一緒に遊ぶ」を実現するために、最も適切だったのが、攻略メディアだからだと小川氏は語る。読者が求める情報を提供しようと考えた場合、記事の形式では実現できないものも多い。1000体を超えるモンスターの詳細なデータを網羅する、などは分かりやすい例と言えるだろう。また小川氏は「攻略メディアであればAppBankと読者のつながりを強めることができる」と持論を述べていた。
次にポイントとなるのが、実際のところ攻略メディアは何を提供できるか、そしてユーザーは何を知りたがっているのかという点だ。小川氏によると、AppBankが攻略メディアで力を入れているのは、「ユーザーが知りたい情報を一番早く提供する」「ユーザーがゲームで迷っていることを解決する」「ユーザーがゲームを続ける理由を作る」の3つであると話した。
3つ目の「ユーザーがゲームを続ける理由を作る」は一際力を入れている部分だそうで、自分が手に入れたモンスターが使えるか使えないか、新しいクエストに勝てるかどうかなど、ユーザー個人ごとに価値のある情報を提供するよう心がけているという。また、プレイヤーの中にはいち早くランキングの上位に食い込みたい、いわゆる「ランク至上主義」の人も少なからず存在する。そうしたプレイヤーに向けた、効率のいいプレイ方法も掲載している。ただし、すでに高ランクのプレイヤーに対しては注力しておらず、あくまでもこれから高ランカーになろうとしているボリュームゾーンに対して情報を提供しているという。
さらに小川氏は「ユーザーさんはTwitterを意外にやっていないし、ニコニコのアカウントも持っていない」と話す。そうしたユーザーのために、最新情報や未来の予定もしっかりとカバーする必要がある。
最後にAppBankの攻略とは、「ゲームの理解度を底上げし、ゲームの遊び方を広げることで、結果としてゲームの見方を変える」ことにつながっていると小川氏は話した。ゲームの新要素を攻略サイトが拡散することで、ゲームを運営するメーカーの意図をユーザーが理解するとともに、時にはメーカーの意図とは違った流行がユーザーに浸透することで、ゲームに新しい時代が到来するのだ。こうして新しいゲームの遊び方を提案することが、AppBankだからできる攻略メディアだという。
■AppBankの創立者・宮下氏が思い描く今後のビジョン
3人目の登壇者となったAppBankの創立者である宮下氏がまず語ったのは、攻略本などといった既存の攻略メディアと、同社が運営する攻略メディアの違いについてだ。宮下氏は以前GT-Agencyに勤めていたが、当時からさまざまなスマートフォン用アプリの紹介記事を書いていた。その紹介記事で他のメディアと大きく違ったのは、スクリーンショットの有無だという。有料アプリの中身を知りたいという人のためにスクリーンショット付きで紹介し、アプリの良い点や特徴を分かりやすく見せていたのだ。宮下氏は当時を振り返り「見せ場だと思ったところを撮影し、好き勝手に記事を作らせてもらった」と表現していたが、現在においても自分たちが伝えたいことをはっきりと記事化するやり方は受け継がれている。
また、例えば「パズル&ドラゴンズ」で新しいダンジョンが配信されると、その3時間後には攻略記事が上がっているが、これもまた宮下氏が以前から行っていたことだという。「パズル&ドラゴンズ」は1回クリアすれば終わりというのではなく、同じダンジョンを何周も回るゲームだ。そのため、「とりあえず無難にクリアしよう」と思ったユーザーが読者になり、現在ではゲームと攻略記事が連動する文化に発展している。
宮下氏はユーザーがゲームに対して何を求めているかが、iPhoneが出てきてから変化が起きているという。これは、1人で面白さを追求していくものだったゲームが、周囲の人と楽しさを共有するものに変化してきたということだ。「かつてカジュアルゲームが台頭し、次にソーシャルゲームが流行して、現在のスマートフォンゲームはちょうどいい面白さに成熟してきました」と宮下氏自身が語っていたが、他の人におすすめしたいと思わせるレベルに発展したことも大きなポイントと言えるだろう。
「まだまだ紹介したいと思わせる、新しい可能性を広げていきたいと感じさせるゲームが増えてきた」と話す宮下氏。どんなゲームにも良い点はあるので、これからも過去の文脈にとらわれず、ゲームの可能性を広めていきたいとまとめた。
そして、AppBankが考えているこれからのビジネスに関しても、興味深い話が語られた。宮下氏は今後もメディアとしての立ち位置を変える気はないとし、「AppBankのスタッフとゲームユーザーが接触する時間を最大限まで取りにいく」ことが直近の目標であると話した。
さらに「2020年には東京オリンピックに何らかの形で関われる企業になっていたい」と続けた。突拍子もない話にも聞こえるが、スマートフォンは人と人がつながっているものであり、それはつまり人を集めることに適したアイテムと言える。宮下氏はそこに目を付けており、AppBankがある場所へ読者を誘導することができれば、あらゆる企業とのビジネスが成り立つと考えているようだ。これを実現するための理想的な環境がオリンピックであり、具体的なアイディアを落としこんでいくことが、2020年までの目標になるそうだ。
最後のまとめとして、「僕らの役割は読者と対話をすることを中心にと考えています」と述べた。この言葉を踏まえたうえで、今後AppBankとともに仕事をしたいと考えているメーカーには「AppBankが一方的にゲームを盛り上げるのではなく、ユーザーとともに大きくしていきたいと思っています。なので、『AppBankじゃダメだった』ではなく、『私たちは実はこれを伝えたかった』と言ってくれれば、次回からはさらにいい方向へ向かうはずです」と話し、セミナーを締めくくった。
会社情報
- 会社名
- AppBank株式会社
- 設立
- 2012年1月
- 代表者
- 代表取締役社長 白石 充三
- 決算期
- 12月
- 上場区分
- 東証マザーズ
- 証券コード
- 6177