新規上場企業の紹介…gumi(東証・3903)

『ブレイブ フロンティア』などスマートフォン向けネイティブゲームアプリを展開するgumi<3903>が12月18日、東証(市場区分は公開価格決定後に決定する予定)に新規上場する。

同社は、2007年6月に携帯電話端末を対象としたエンターテイメントに特化したインターネットコンテンツの提供を目的としたアットムービー・パイレーツとして設立。翌08年7月に現社名に社名を変更した。当初はプラットフォームサービス「gumi」の運営と、「mixi」「Mobage」「GREE」といった各プラットフォームへのゲーム提供を並行して行っていたが、11年11月にプラットフォームサービスを終了し、その後は外部プラットフォーム向けコンテンツ提供に特化した。

さらに、12年12月に福岡オフィスを分社化し株式会社gumi Westを設立、翌13年3月にはエイリム、同11月にはFenrisを設立するなど、開発体制の強化を推進。13年12月にフジ・メディア・ホールディングスと資本業務提携、14年6月にセガネットワークスと資本業務提携、同9月にLINEと資本業務提携を結ぶなどアライアンス展開にも注力している・

事業内容は、モバイルオンラインゲーム事業のみの単一事業で、その中身はネイティブアプリサービス、ブラウザゲームサービス、パブリッシングサービスという3つのサービスで構成されている。現在、収益の成長を担っているのはネイティブアプリサービスで、14年10月末時点でリリースしているタイトル数は17本、累計ダウンロード数は2,215万件となっている。
 
【同社グループの主なネイティブアプリ】

一方、ブラウザゲームサービスは、「GREE」を中心に「Mobage」「mobcast」「dゲーム」など各プラットフォームへのゲームコンテンツ提供を展開。14年10月末時点でリリースしているタイトル数は6本、累計登録者数は323万件となっている。

特徴的なのが、パブリッシングサービスだ。同サービスでは他社が開発したゲームコンテンツを、同社グループが『ブレイブ フロンティア』などの海外展開で培ったローカライズ力・マーケティングノウハウなどを生かして海外の多地域で展開。自社開発のゲームコンテンツと比較して、開発コストの低減が図れることに加え、複数の地域への展開を進めることでヒットタイトルの有無のリスクが低減されるというメリットをもたらしているという。なお、14年10月末時点でリリースしているタイトル数は6本、累計ダウンロード数は844万件となっているが、今後は資本業務提携を締結したセガネットワークスの「チェインクロニクル」などのタイトルも配信していく予定となっている。
 
【パブリッシュの主なネイティブアプリ】

続いて業績面を見てみると、13年4月期と14年4月期に2期続けての赤字計上となっている。これは13年4月期はブラウザゲームからネイティブアプリへの開発シフトを行っていく過程での人件費コストの増加、14年4月期は『ブレイブ フロンティア』の海外展開に伴う先行コストの影響が大きく出ているものとのこと。今期(15年4月期)は計画通りの着地となれば、それらの投資の回収期に入ってきたと言うことができるだろう。また、今期は第1四半期(5~7月)時点の実績で、販売先の80%超がGoogleとAppleに、配信ゲームコンテンツの44%が海外言語となっていることも、それらの先行投資の成果と捉えられる。
 
【gumiの売上高の推移(単位:百万円)】


【gumiの経常利益の推移(単位:百万円)】
※12年4月期までは単独決算。15年4月期は予想(会社発表)
※グラフは有価証券届出書および会社側発表資料より作成

上場に伴う手取り概算金は、46億7750万円となる見通し。これに第三者割当増資の手取概算額55億8030万円と合わせた調達資金の使途は、①設備資金として5億4000万円を海外拠点の開設・運営にかかる費用に充当(15年4月期に1億8000万円、16年4月期に3億6000万円)、②海外拠点の開設等に伴う開発人員の人件費の増加に23億3200万円を充当(15年4月期に1億6300万円、16年4月期に21億6900万円)する予定。残額の73億8580万円は、運転資金として、グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費に充当(15年4月期に28億4200万円、16年4月期に45億4380万円)する予定としている。
※野村證券を割当先とする普通株式178万株の第三者割当増資を実施予定

なお、上場時発行済み株式2866万4500株と有価証券届出書提出時における想定発行価格3300円から計算した想定時価総額は、約945億9285万円となる。


〈連結業績予想〉
注)単位は百万円。2014年8月1日付で1対500株の株式分割を実施しており、一株利益は分割修正を考慮した数字


〈会社概要〉
本社=東京都新宿区西新宿四丁目34番7号
URL=http://gu3.co.jp/
社長=國光 宏尚
設立=2007年6月13日
発行済株式数=2866万4500株(上場時)
資本金=64億8173万4000円(2014年11月14日現在)
大株主=ジャフコ・スーパーV3共有投資事業有限責任組合416万1000株(13.92%)、グリー363万5000株(12.16%)、國光宏尚304万4500株(10.19%)LINE244万5000株(8.18%)、WiL Fund Ⅰ,L.P.(常任代理人 株式会社WiL)207万9000株(6.96%)、フジ・メディア・ホールディングス140万1000株(4.69%)、NEXT BIG THING140万株(4.68%)、DBJキャピタル投資事業有限責任組合97万8500株(3.27%)、セガネットワークス82万3000株(2.75%)、新生銀行80万株(2.68%)


〈上場要項〉
公開株式数=1364万7200株(公募=150万株、売出し=1036万7200株、オーバーアロットメントによる売出し=178万株)
仮条件=3000円~3300円
ブックビルディング期間=12月2日~12月8日
公開価格=12月9日決定予定
申込期間=12月10日~12月15日
払込期日=12月17日
売買単位=100株
主幹事証券=野村
監査法人=新日本有限責任監査法人
株式会社gumi
http://gu3.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社gumi
設立
2007年6月
代表者
川本 寛之
決算期
4月
直近業績
売上高120億6600万、営業損益50億4000万円の赤字、経常損益45億1400万円の赤字、最終損益59億3400万円の赤字(2024年4月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3903
企業データを見る