【コロプラ決算説明会】既存タイトルの伸長で四半期ベースで過去最高収益に 海外売上高はQonQで倍増 新作タイトルは「PvP」要素もポイントに


コロプラ<3668>は、1月28日、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した2015年9月期の第1四半期(10~12月)決算は、売上高164億円(前年同期比48.5%増)、営業利益71億円(同46.4%増)、経常利益72億円(同48.1%増)、四半期純利益42億円(同55.1%増)となった。また、QonQ(前四半期比)で見ても、売上高が3.7%増、営業利益は7.7%増、経常利益は8.8%増、四半期純利益は24.4%増となっている。新作アプリの投入がない中で、既存タイトルの伸長により、まずは順調なスタートを切ったと言えるだろう。

決算説明会では、馬場功淳社長(写真)がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。質疑応答では、『白猫プロジェクト』など既存のタイトルについてに加え、海外展開についてや、新作タイトルのことなど多彩な質問が行われた。そうした内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■営業利益率が直前四半期で1.6ポイント改善


まずは、直前四半期(2014年9月期第4四半期、7~9月)のことを振り返りつつ、第1四半期の内容を見てみたい。2014年9月期の第4四半期は、『白猫プロジェクト』のTVCMの積極的な展開などで広告宣伝費が拡大し、QonQで10.8%の増収ながら営業利益は1.6%の減益となっていた。それに対し、2015年9月期の第1四半期は、営業利益率が43.5%と直前四半期の41.9%から1.6ポイント改善したこともあって、前述のようにQonQで3.7%の増収ながら、7.7%の営業増益となっている。ちなみに売上高・営業利益とも過去最高を更新している。その最大の要因はコストマネジメントの成果で、「広告宣伝費を抑えつつ、ふなっしーコラボなど工夫をこらした効率的なものを展開した」(馬場社長)ことが功を奏した結果としている。なお、広告宣伝費率は11.1%とQonQで1.2ポイント改善した。
 

続いて、国内向けアプリ全体の状況を表しているのが下のグラフだ。QAU(ダウンロードから7日以上経過したユーザーを対象に集計した四半期アクティブユーザー数)は、前四半期にQonQで3割を超える伸びを見せた反動や。この四半期に新作の投入がなかったこともあって低下したものの、ARPQU(QAUあたりの売上高)は3四半期ぶりに上昇している。これは前述のふなっしーコラボの効果も寄与しているとのことだ。
 

次に、今回の決算説明会から新たに同社が開示を始めたアプリのリリース時期別のセグメントに目を移してみよう。これは、2012年にリリースされたタイトル、2013年にリリースされたタイトル、2014年にリリースされたタイトルとリリース時期ごとの売上高推移をまとめたもので、アプリの立ち上がりから、ピーク入り、そしてピークアウト後のトレンドなどが目に見えて分かる内容となっている。下のグラフはその数字を積み上げ棒グラフで表記したもので、2012年リリースタイトルが安定した微減トレンド、2013年リリースタイトルが2014年の第3四半期をピークに縮小期入り、2014年リリースタイトルがまさにピークに向かって伸びている段階となっている。なお、「リリース後1年間くらいで売上高はなかなか伸びなくなったり、下がり始める。それをなるべく維持しつつ、さらに新作を投入することで安定した全社売上高の伸びを実現する」(同)というのが基本的な方針だという。
 

リリース時期別のQAUとARPQUがまとめられたのが下のグラフだ。リリース時期が古くなれば、QAUは維持が難しくなり、低下することになるが、ARPQUはその半面で上昇傾向を見せている。これはいわゆるコアユーザーが定着している状況で、その結果として課金率が高まっていることを示している。2014年リリースタイトルはアクティブユーザーが急増している半面、本格的な収穫期入りはこれからが本番ということになるのだろう。
 
 

■海外売上高はQonQで倍増


続いて、海外展開の状況を見てみよう。同社は、今期より海外専門部署を設置し、海外展開を進めているが、その成果が早くも表れてきている。この第1四半期は韓国向け『白猫プロジェクト』の配信を開始したほか、同じく韓国向け『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』も好調に推移し、売上高がQonQで倍増している。また、海外展開については、質疑応答でも話題となり、自社展開と他社とのアライアンス展開との違いなどについて興味深い話があった。同社は、直近のニュースでは、gumi<3903>と『白猫プロジェクト』の中国配信の契約を締結している(関連記事)が、他社アライアンス展開のメリットは「自社リソースを使わないため、数が打てることにある」(同)という。その半面、「自社展開と比べてコントロールが効かず、リターンも小さくなる」(同)だけに、今後も様々な状況を複合的に判断して、自社展開とアライアンス展開を使い分けていくようだ。
 

前回に続き、各アプリのポートフォリオを見てみると、全般にARPPU(課金ユーザー当たり売上高)の上昇・改善が目立つ結果となっている。特に『白猫プロジェクト』は直前四半期はDAU(日次アクティブユーザー数)の急拡大の反動でARPPUが低下していたが、この第1四半期は大きく改善している。この図からも『白猫プロジェクト』が徐々に収穫期に入りつつあることが見て取れる。なお、『白猫プロジェクト』については、質疑応答で今後のプロモーションについての質問が出たが、取締役CSOの長谷部潤氏(写真)は「ふなっしーコラボのようにCMとアプリ内のコラボも意識し、複合的に組み合わせて広告効果を高めていく」としていた。
 

この第1四半期の新たなトピックスとなったのは、同社がJリーグのトップパートナーとなったこと(関連記事)と、「Oculus Rift」向けゲームアプリをリリースし、コントローラーアプリも発表したこと(関連記事)だ。Jリーグのトップパートナーとなったことで、今後はJリーグを主題としたゲームアプリの開発なども進めていくとしており、今後の新たな情報の発表にも期待したい。
 

 

■『東京カジノプロジェクト』は事前登録数が過去最高ペース


最後に新作タイトルの状況(パイプライン)について取り上げたい。新作タイトルは現在、10本が開発承認(直前四半期比1本増)の段階にあり、その内訳はアクションが3本、スポーツが3本、シミュレーションが2本、RPGが1本、位置ゲーが1本となっている。直前四半期に「シミュレーション」としていたものが1つ「位置ゲー」に移行したとのことで、新規承認されたタイトルは「アクション」ということになりそうだ。なお、10本のうち、3本が昨年12月17日の新作発表会で『東京カジノプロジェクト』『バトルガール ハイスクール』『Rumble City』の3タイトルであることが明らかになっている。うち、『東京カジノプロジェクト』と『Rumble City』は現在、事前登録を実施中だ。このうちの『東京カジノプロジェクト』については、数字は明らかにしていないものの、「事前登録数が『白猫プロジェクト』を含めたすべてのタイトルの中で最も数が多い。当社としては挑戦したタイトルだったのだが、挑戦した分のリターンがもしかしたらあるのでは」(馬場社長)とのことだ。

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また、馬場社長は、弊社の年始企画のインタビュー(関連記事)においても、「PvP」と「スポーツ」を2015年の注目トレンドとして挙げていたが、「今後出てくるタイトルはほとんどPvP要素が入っている」(同)としている。また、新作のうち2タイトルがシミュレーションということで課金率の質問も質疑応答で出てきたが、「PvP要素などによって、普通のシミュレーションよりも課金率が高くなるようにしていく」(同)としていた。なお、現在発表されている3タイトルの次は「アクション性が高いもので、スポーツや分かりやすいアクションあたり」(同)になる見通し。「いずれもぷにコンが高い割合で搭載されており、新しい操作感でゲームを楽しんでいただけるのではないか」(同)とのこと。
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
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