【オルトプラス決算説明会】新作投入、投資回収期の遅れで第2四半期は赤字幅が拡大 下期リリースラッシュでばん回目指す…国内外で7タイトルのネイティブゲーム投入へ


オルトプラス<3672>は、5月11日、東京都内で決算説明会を開催した。決算説明会に先立ち、5月7日に発表された2015年9月期の第2四半期(10~3月)累計の連結決算は、売上高13億8200万円(前年同期比5.5%減)、営業損益3億9100万円の赤字(前年同期2億2900万円の黒字)、経常損益3億8800万円の赤字(同2億100万円の黒字)、四半期純損益3億6500万円の赤字(同8800万円の黒字)と会社側の当初計画を下回って着地。同時に15年9月期通期の連結業績予想も売上高44億6500万円(前回予想53億4400万円)、営業利益1億100万円(同1億5000万円)、経常利益1億200万円(同1億4800万円)、当期純損益1000万円の赤字(同4500万円の黒字)に下方修正された。

決算説明会では、代表取締役CEOの石井武氏がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。石井CEOは、売上高で2億6000万円の未達に終わった上期について、「遺憾に思っている。下期に取り戻していく」とし、通期予想の下方修正については、「上期の影響がそのまま出ているものに加え、昨今の状況を踏まえ、より厳しく精査した結果」としていた。以下は、質疑応答の内容なども踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■投資回収期入りが遅れ、第2四半期は厳しい結果に


まずは業績を四半期推移(QonQ)で見てみたい。下のグラフは2013年9月からの四半期決算の推移となるが、売上高はQonQで10%減、営業損益も9500万円の赤字幅拡大となっている。これについて、石井CEOは「第2四半期の売り上げは、思いのほか厳しくなった。第1四半期くらいまでは積極的な投資という計画で、その回収期に入るタイミングを予定していた第2四半期だが、遅れてしまった」としていた。さらに下の表は事業別の上期実績となるが、上期の計画未達分2億6000万円のうち、1億9100万円がネイティブゲームの部分となっている。新作の投入時期の遅れが大きく響いた結果と言えそうだ。
 


次に下の資料は、同社タイトルのユーザーコイン消費額(ユーザーか同社サービスに使用するグロスの金額)の過去6期分の推移となる。ここでも上期実績が前年同期を下回ってしまったことがはっきりと分かる。ただ、下期については、「新作リリースラッシュがくるので通期のユーザー消費額は前年同期を上回る見通し」(石井CEO)だという。
 

では、「課題のウェブゲームからネイティブゲームへのシフトの状況は?」ということで、見てみたいのが下のグラフだ。SNSタイトルの売り上げ構成比が全体の56%くらいに落ち、ストア経由のネイティブアプリが37%まで上昇した。これは新作2タイトル(『サモンナイト メモリーズ』『アストラルゲイザー』)による影響が大きいようだ。
 

続いて、四半期ごとの従業員数の推移を見てみると、今期は第1四半期、第2四半期とも増加ペースが緩やかになった印象だ。ただ、第3四半期は先日発表した台湾スタジオの開設(関連記事)の影響もあり、再び増加することも予想される。なお、台湾スタジオは、「将来的にはパブリッシュもあるかもしれないが、当面は開発メーンで、まずは日本と一緒に開発を行う」(石井CEO)とし、「12名くらいのエンジニア」(同)でスタートするようだ。今回の台湾スタジオ開設は、「外注費が増えてきたことに対する内製化の一環」(同)という側面が大きいようだ。
 

同社の2015年3月末時点でのタイトルをまとめたのが、以下の表となる。ネイティブゲームは3月末時点で、契約上情報を開示できないタイトルを含め、4本となっている。なお、下期は国内外合わせて、7本の投入が予定されている模様で、これについては以下の今後の展開部分でさらに詳しく取り上げていく。
 
 

■下期は7タイトルリリースでネイティブシフトが鮮明化へ


冒頭部分で触れた、修正後の通期業績見通しと下期の業績見通しが以下の表、グラフとなる。修正後下期見通しの当期利益のところは資料上、誤植になっている(おそらく3億5500万円の黒字が正解)ようだが、各利益項目とも下期だけで見ると大きく黒字化する見通しとなっている。さらに下の表は事業別の下期見通しで、これを見るとウェブゲームからネイティブゲームへのシフトがより鮮明になっていく見通しだ。
 


先日発表されたSHIFT<3697>との合弁会社SHIFT PLUSについては、「5月18日事務所開きを予定しており、30名くらいの体制でスタートする」(石井CEO)とのことで、同社ネイティブゲームのサポートサービスなども担っていくことになるようだ。
 

続いて新作タイトルの状況を見てみよう。まずは韓国子会社AltPlus Koreaが韓国マーケットで近日リリース予定の『キャッスル -王子と8人の城主-』。こちらはまもなく韓国で事前登録が開始となる予定で、「韓国の後は中国、その後日本やその他東南アジアに展開したい」(石井CEO)としていた。
 

こちらもAltPlus Koreaが配信元だが、日本マーケットで近日リリース予定なのが、『アストロ娘』だ。SFシミュレーションの本作は、「近日中に事前登録を開始し、リリースする予定」(石井CEO)とのことだ。
 

中国マーケット向けに展開される予定なのが、同社の『バハムートブレイブ』の世界観を生かしたネイティブアプリ『バハムートオンライン』だ。こちらはネット売り上げとなる案件で、中国での展開後に韓国での展開も準備を進めているという。
 

2015年2月に終了した『ダービーズキングの伝説』に変わる新たな競馬関連タイトルも開発中となっている。こちらは競馬ゲームとしての要素はもちろん、「(コミュニティとか)競馬のポータル的な要素も作っていきたい」(石井CEO)としていた。
 

今回、完全に新しい情報として公開されたのが、アニメ「Wake Up, Girls!」のゲーム化に関するライセンス契約を締結し、スマホネイティブゲームの開発を進めていることだ。こちらは「原作の良さを生かした形でゲーム化する」(石井CEO)とのこと。
 

そして、先日、Social Game Infoでも取り上げた「ニンジャスレイヤー」のiOS/Android版ゲームアプリ化(関連記事)も進んでいる。こちらは、「比較的広い範囲で展開するようなライセンス契約を結んでいる」(石井CEO)とのことで、「ゲーム性とかをいろいろ考えている。海外展開も視野に入れている」(同)ともしていた。
 

上記6タイトルのほか、もう1タイトル契約上まだ開示できないIPタイトルをリリース予定とのことで、合計7タイトルが下期にリリースされる予定だ。
 

■スケジュール通りにリリースできるかが課題に


決算説明会で、今下期にリリース予定のタイトルの姿がはっきりとしてきたことで、ようやくこれまで進めていたネイティブシフトが結果として出てきそうなことが確認できた。そういう意味では、決算内容は厳しいものだったが、ようやく長いトンネルの出口が見えてきたとも言えるだろう。あとは、スケジュール通りにリリースが進んでいくかどうかが、やはり大きな課題で、これについては第3四半期以降をじっくりと見守る必要がある。「ウェブゲームを安定した収益源としつつ、ネイティブゲームをきちんとリリース、投資回収し、次を開発する体制作りへ」(石井CEO)という言葉を実現できるかどうか、下期は1つの正念場ではないか
 
(編集部:柴田正之)
株式会社オルトプラス
http://www.altplus.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社オルトプラス
設立
2010年5月
代表者
代表取締役CEO 石井 武
決算期
9月
直近業績
売上高43億8700万円、営業損益5億5600万円の赤字、経常損益5億2200万円の赤字、最終損益4億2000万円の赤字(2023年9月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3672
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