メディア工房<3815>は、2015年1月、新ゲームブランド「OBOKAID’EM」(オボカイドイーエム、略称:オボック)を始動した。
現在、新感覚ドバドバ系パズルゲーム『BOOST BEAST』を皮切りに、放置系エコゲーム『みどりのほし』など、奇抜なゲームアプリをリリースし、世界中で注目を集めている。
占い事業をメインコンテンツに据える同社は、果たして今後どのような思想でゲームタイトルを世に送り出していくのか。キーマンである「オボック」の総合プロデューサー、中山法夫氏に話しを訊いた。
■「OBOKAID’EM」
■同社が目指す真の意味の「Worldwide」とは
メディア工房 執行役員 ゲーム事業部長
「OBOKAIDEM」総合プロデューサー
中山法夫氏
――:本日はよろしくお願いします。はじめに改めて「OBOKAIDEM」の概要について教えてください。
恐らくゲームアプリ市場で言えば、「OBOKAIDEM」は日本最後発のゲームブランドだと勝手に思っています。そのため、本ブランドでは「新しい+αがあるゲーム」「男女ともに楽しめるゲーム」「世界へ届けるゲーム」という3つのコンセプトを掲げています。なかでも3番目の「世界へ届けるゲーム」は、いわゆる「Worldwide」として合言葉や順次という形ではなく、プラットフォーム様や海外パブリッシャーと協力し、頭から一気に多言語での海外同時展開を実現しています。ぜひ、「オボック」の愛称で親しんでいただければ幸いです。
――:ありがとうございます。そもそも「オボック」のプロジェクト設立経緯は何だったのでしょうか。
もともと私はコンシューマゲームメーカーで、スマホ事業の立ち上げを担当していました。2008年頃の当時はプラットフォーム様がアプリストアを立ち上げようと言うときで、明確な彼らの思想を聞いた時にようやく「自分たちで日本に居ながら世界にコンテンツを一気に発信できる場ができるのか…」と思ったものです。これまでは世界にゲームを出そうと考えても、とくにモバイルゲームで言えば一カ国3社くらいあるキャリアさんに回らないと実現できなかったので、それこそ世界一周する勢いで苦労しました。
そして、メディア工房でゲーム事業を立ち上げる折、市場でもスマホネイティブの波が来ていて、海外の各社から「今の日本のゲームメーカーはプラットフォームの当初のドメインに添えてない」という意見をいただいたのです。特に最近の日本発のゲームの正しい成功法は、まず日本向けにしっかりゲームを作って、その後海外に向けて一カ国ずつローカライズ・カルチャライズを施し展開していくという事が正しいとされています。
――:たしかに。日本市場ありきでゲームのコンセプトが決められていますね。
ええ。「そのへんどうなの」と聞かれたときに、たしかに日本では当初各プラットフォーム様がストア立ち上げの際に仰ってた「日本に居ながら世界へ出せるマーケット」という試みは空席だなと考え、「世界同時リリース」を主軸にしたゲームブランドを立ち上げることにしたのです。これはただの合言葉ではなくて、実際にすべてのゲームで打ち出していきますし、文字通りの「Worldwide」となります。
――:なかなか骨の折れる作業かと思いますが、そういう意味ではゲームの中身自体もブレなさそうですね。
はい。たとえば、ターゲットは細かく絞っていきませんし、地域ドメスティックなものは作らないと思います。純粋に、世界中の人たちが誰でも簡単に遊べて、「これ新しくて面白いよね」と思ってもらえるようなタイトルを送り出していきます。
日本に居ながらという部分に拘っているのであまりターゲット論を細かくしても無駄だと思っているので、兎に角モックアップを沢山作って世界各国でQAを何度も繰り返しスクラッチビルドをしています。
正直なところ、世界でリリースするのは、ストア管理画面の配信国のチェックボックスに全部チェックすれば出すことは出せるのです。ただ、実際にはリリースされたあとの運営体制のほうが何よりも大切で、カスタマー体制やリアルタイムの翻訳体制をきちんと構築する必要があります。
そのため、現在リリースしているタイトルのお客様の問い合わせは、世界中から、ここ日本のメディア工房に届きます。提携会社さんの協力のもと、ひとつずつ対応していきますし、そのほか運営や情報配信なども世界中に向けて行っています。本当に大変な作業ですが、ようやく世界展開に向けた体制が整ってきたと思っています。
――:Worldwideで打ち出す際に、何か特別気を付けていることはありますか。
ひとつは単価面ですね。ワンソース、ワンチームでのワン運営に拘っているので国ごとで単価を変えることはできないため、日本の100円も他国で言えばその金銭感覚も変わっていきます。そのため、従来の課金モデルだけでは厳しく、広告モデルと組み合わせたハイブリッドモデルが中心になっていきます。
また、現在対策中ですが、ロシア・中国で海賊版が横行していることも問題視しています。中国の様々なプラットフォームで海賊版があちこちでオススメフィーチャーされてますし、先日「チャイナジョイ」(中国のゲームショウ)に行った際も「あなたのゲームは最高だ!」と言ってきた人々が海賊版でのプレイだったり。このあたりは今後、早急に対策していきます。
――:なるほど。そのほかいかがでしょうか。
あとは容量や通信頻度等の環境面です。たとえば、海外の会社さんと現地で一緒に飲んだ際、我々のゲームを見せてあげようと思ったときに、通信が悪くて最善の状態で見せることができませんでした。ついつい日本では当たり前のことが海外では全く違い、どうやら彼らが言うには「10MB超えたら世界向けゲームとしては失格」とのことです(笑)。
これは極端な話ですけど、通信は一切なし、ましてやゲームの説明もあってはダメという持論で成功されている会社様も世界には普通にありますね。恐らくこれが、真の意味でのWorldwideでしょうが日本のゲーム作りの良さを活かせる良いバランスはどこかと模索をしています。ただ実際に海外の方々にお話を聞くと、世界で戦うにはまだまだ足りないなと痛感したものです。
――:分かりました。現在の開発体制はどのような形になっていますか。
――:ちなみに『BOOST BEAST』『みどりのほし』の 2タイトルの現状はいかがですか。
第1弾の『BOOST BEAST』は、おかげさまで120ヵ国以上4プラットフォーム(App Store・Google Play・FacebookCanvas・Amazon)同時でオープニングフィーチャーをいただきました。日本発のWorldwideタイトルで公開翌日から全プラットフォームでワールドワイドフィーチャーされたのは、例がなく珍しかったみたいです。現在は完全オーガニックで45万ダウンロード、継続率は60%弱(1day)をリリース3ヵ月後も維持しています。お客様の総数で言うと、北米・日本・中国が非常に多いですが、タイなどの東南アジアでもプチブレイクしています。
また、9月10日よりシェア機能を含めた大型アップデートを実施しました。新エリアも追加して、より遊びの幅も広がっています。
© OBOKAIDEM © ARZEST Corporation
――:『みどりのほし』はいかがですか。
もともとPUMOさんが開発を行っていたタイトルですが、2015年4月末より業務提携を開始しました。弊社が配信・プロモーションを、開発・運営はPUMOさんが担うという新体制を構築しました。エコというテーマと可愛いキャラクターもあって世界中のお客様が喜んで遊んで頂いているみたいです。9月17日よりゲーム内言語対応アップデートを行い、さらなる世界展開に向けて昇華していきます。
これで「オボック」は2タイトルで全世界200万ダウンロードを超え、地域やターゲットに合わせてアプリ内課金+広告収益のハイブリッドモデルを確立出来たと思っています。
© OBOKAIDEM © PUMO
■本邦初公開の新作ゲームを大紹介
――:今後のラインナップタイトルで言えるものについて教えてください。
■『PICK-XELL-ピックセル-』
配信予定日:2015年秋
料金:アプリ内課金+広告ハイブリッドモデル
言語:10言語対応(日英西繁簡韓仏独露泰)予定
開発会社: Glasshead
内容:爽快穴掘りアクションゲーム。ドクロを避けながら地中深く掘り進めていく。宝石を集めて能力をパワーアップし、より深みを目指そう。
『PICK-XELL-ピックセル-』は、画面の左右をタップするだけのシンプルな穴掘りアクションゲームです。エンドレスモードとステージモードの2種類あり、ステージモードでは、それぞれミッションが決められています。ドクロを掘らないように、いかに正確に早く進めていくかが鍵となります。ドット絵や8bit音などレトロゲームの雰囲気を備えており、海外QAの受けもいいです。
■『Bermuda treasure』
配信予定日:今冬
料金:アプリ内課金モデル+広告ハイブリッドモデル
言語:10言語対応(日英西繁簡韓仏独露泰)予定
開発会社: KEYROUTE(キールート)
内容:魔のバミューダ海域のお宝を、クレーンを使って引き上げよう。深海探索クレーンアクション。
キールートさんは、マーベラス社等で家庭用ゲーム開発で多くの実績を持つ中野さんと、レベルファイブ社で複数のコンシューマ・モバイルゲームを手掛けられた小倉健さんが代表を務めている会社です。そして本作は、クレーンゲームのようにコインや宝箱を集めていくゲームです。なかでもこだわっているのは、クレーンの動きです。細かいところではありますが、左右に動かしたときの振り幅や、実際に宝箱を回収するときの時間・挙動など徹底してこだわって作っています。いい感じに滑らかな操作を味わえるので、ぜひお楽しみください。
■『2016 -WORLD CRISIS-』
配信予定日:2016年初頭
料金:アプリ内課金モデル
言語:10言語対応(日英西繁簡韓仏独露泰)予定
開発会社: OBOKAIDEM(内製)
内容:全年齢水鉄砲シューティングゲーム。絵本の文字や絵を食べてしまったモンスター倒して絵本のストーリーを取り戻そう。
じつは『2016 –WORLD CRISIS-』は大幅にゲーム性を変更しました。これまでは、謎のモンスターから逃げるステルスゲームでしたが、QAを繰り返すうちに思い切って現在の全年齢向けのシューティングゲームにしました。プレイヤーは、誰もが知っている『シンデレラ』など物語の世界に入り込んで、モンスターを倒してはお話の色や挿絵などを取り戻していきます。「子供でも遊べるシューティングゲーム」をコンセプトに、タップするだけの直感的な操作にしています。
配信予定日:2016年初頭
料金:アプリ内課金モデル
言語:10言語対応(日英西繁簡韓仏独露泰)予定
開発会社: OBOKAIDEM(内製)
内容:全年齢水鉄砲シューティングゲーム。絵本の文字や絵を食べてしまったモンスター倒して絵本のストーリーを取り戻そう。
じつは『2016 –WORLD CRISIS-』は大幅にゲーム性を変更しました。これまでは、謎のモンスターから逃げるステルスゲームでしたが、QAを繰り返すうちに思い切って現在の全年齢向けのシューティングゲームにしました。プレイヤーは、誰もが知っている『シンデレラ』など物語の世界に入り込んで、モンスターを倒してはお話の色や挿絵などを取り戻していきます。「子供でも遊べるシューティングゲーム」をコンセプトに、タップするだけの直感的な操作にしています。
■『Lady Diamond』
配信予定日:今冬
料金:アプリ内モデル+広告ハイブリッドモデル
言語:10言語対応(日英西繁簡韓仏独露泰)予定
開発会社:PUMO
内容:新感覚「ステルスパズルゲーム」。様々なギミックやトラップ、そして監視の目をかいくぐり、宝石を盗んで脱出しよう。
『みどりのほし』に続き、PUMOさんとの共同タイトル第2弾も進んでいます。もともと前職のときに、代表の柴田さん(PUMO代表取締役 CEO 柴田真人氏)とは先輩・後輩のなかでしたので、非常に意思の疎通が分かりやすく、スケジュールも結構早く決まっていきました。内容は、宝箱を手に入れて脱出するまでの工程を、敵に見つからないようにゴールを目指していくステルスゲームです。敵の動きも考えて、タイミングを見計らうなども重要なアクションとなっていきます。お客様に緊張感を伝えるために、現在は演出面に力を入れています。
――:ん、(資料を指差しながら)もう1タイトル、カジュアルゲームラインがあるのですが、こちらは……?
■『N PROJECT』
配信予定日:2015年冬
料金:広告モデル
言語:多言語対応予定
開発会社:?????
詳細は秋頃に発表できる見込みですが、いまはまだ秘密です(笑)。ただ言えることは、恐らく世界中の人が遊んだであろう、あの有名なゲームを手掛けた方々と一緒に開発しているタイトルです。本当にみなさん、驚くかと思います。ご期待ください。
――:これは楽しみです。それでは、最後に「オボック」の今後の展望を教えてください。
■『N PROJECT』
配信予定日:2015年冬
料金:広告モデル
言語:多言語対応予定
開発会社:?????
詳細は秋頃に発表できる見込みですが、いまはまだ秘密です(笑)。ただ言えることは、恐らく世界中の人が遊んだであろう、あの有名なゲームを手掛けた方々と一緒に開発しているタイトルです。本当にみなさん、驚くかと思います。ご期待ください。
――:これは楽しみです。それでは、最後に「オボック」の今後の展望を教えてください。
世界でゲームを出して成功している方を見ると、それこそ数億・数十億ダウンロードを越えるようなタイトルも狙えるのかと思っています。ゲーム屋である以上、我々としてもたくさんの人が遊んで喜んでもらえるようなタイトルを作っていきます。
メディア工房はこれまで日本国内の占い事業を中心に行う会社でしたが、今後「オボック」がゲーム事業で先に世界展開の形を構築できれば、別事業でもノウハウを共有することも可能だと思っています。
世界中のお客様に向けてゲームを出すということが、どういうことなのか。その答えを「オボック」が明示していきますし、今から半年後には世界中の人が「オボック」のゲームを遊んでいて、「面白いよね」と言っていただけるブランドにしていきます。
また、我々のコンセプトに賛同いただけるパートナー様との共同事業には、今後も積極的に取り組ませていただきます。ぜひ、お声がけください。
――:本日はありがとうございました。
メディア工房はこれまで日本国内の占い事業を中心に行う会社でしたが、今後「オボック」がゲーム事業で先に世界展開の形を構築できれば、別事業でもノウハウを共有することも可能だと思っています。
世界中のお客様に向けてゲームを出すということが、どういうことなのか。その答えを「オボック」が明示していきますし、今から半年後には世界中の人が「オボック」のゲームを遊んでいて、「面白いよね」と言っていただけるブランドにしていきます。
また、我々のコンセプトに賛同いただけるパートナー様との共同事業には、今後も積極的に取り組ませていただきます。ぜひ、お声がけください。
――:本日はありがとうございました。
(取材・文:編集部 原孝則)
■「OBOKAID’EM」
会社情報
- 会社名
- 株式会社メディア工房
- 設立
- 1997年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 長沢 一男
- 決算期
- 8月
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3815