『サウザンドメモリーズ』をはじめ幅広いジャンルのゲームで支持を集めているアカツキ(開発実績はこちら)、同社は上記アプリを軸にして順調な成長を遂げ、先日は事業拡大に従いオフィスを増床。
そんなアカツキでは、一体どんな体制でゲームの開発が行われているのか。今回、クリエイティブチームに所属する3名にインタビューを行い、クリエイティブの意識から社内の環境まで、さまざまな話を聞いてきた。
Social Game Division
シニアアートディレクター
yoichi (写真左)
UI/UXデザイナー
yuka(写真中央)
リードデザイナー
atsuhiro(写真右)
――本日は、アカツキさんのクリエーターが一体どんな意識で働き、そしてどのような体制でサービスを生み出しているのかをお話いただければと思います。まずは、みなさんの経歴から教えてもらってもいいですか。
yoichi:私はデザインとは全く違う職種の仕事をしていたのですが、昔からイラスト、漫画が大好きだったこともあり、仕事をしつつ、イラスト制作やweb漫画の投稿を行っていました。元々、ゲームが大好きだったこともあり、この業界に転職し、ゲームの世界観構築に携われるアートディレクターの道を選択しました。
yuka:私は以前、旅行関係のwebページ制作やグラフィックデザインのディレクションを行う仕事に就いていましたが、より良いものづくりをするためにデザイナーに転身することにしました。
もっと幅広く自分達の意思で0から1のデザインを作り上げることや、これまで培ってきたwebページ制作の技術やディレクションのノウハウを駆使しながら、ワクワクするようなクリエイティブを実現する為にアカツキに入社しました。
atsuhiro:僕は大学でデザインを学んでいたこともあり、最初はITコンサルティングの企業へデザイナーとして入社しました。スポーツ情報のモバイル配信サービスのデザイン業務や同サービスで配信する動画の編集などに携わっていたのですが、より上流からのものづくりをしたいと考えるようになりました。そういった迷いの中で、デザイナーとして企画の段階から参加でき、ユーザーに様々な感情や体験を届けることの出来るゲーム制作のものづくりを知り、凄く魅力を感じて、この業界に転職することに決めました。
――みなさんゲームとは別の業界も経験されていたのですね。では、ゲーム業界を経験してみて、これまでとの違いは感じましたか?
yoichi:前職がデザインとまったく関係のない仕事だったので、クリエイティビティや仕事へのこだわり、そしてスピード感の違いは感じますね。イラストであれば、ドット単位で修正を入れたりしますし、キャラクターデザインでは、キャラクターの制作指示書などを通してキャラを生み出す楽しさがあります。反対に言えば産みの苦しみを味わうこともあったりしますがとてもやり甲斐を感じています!
yuka:旅行関係の仕事をしている時でも、ターゲットの興味に寄り添った施策を考え、お客様に新しい喜びや体験を提供することを常に考えていたんですが、ゲームでも、その基本的な考え方は、そのままに、更に「面白さ」「お客さまにどのように楽しんで頂けるか」というところに焦点を当てて考えるようにしています。今までの経験が、とても活かされていると思います。
atsuhiro:ゲームはクライアントワークとは違って自分たちの意思というのが、とても大切だと思っています。ユーザーに楽しい時間を過ごして貰えるよう、色々な施策やアイデアを考えるようになり、僕自身の表現の幅もとても広がったと思います。
――苦労した点はありましたか?
atsuhiro:規模が大きいだけに、コミュニケーションの難しさは感じましたね。多くのスタッフの意思をひとつにして作品に落とし込むのは、今も苦労しているところです。苦労も多いのですが、それが成長に繋がっている実感はとても強くあります。そういう時に独りでは感じることのできない皆で作るものづくりの面白さを感じますし、みんなで作るからこそ、ワクワクする未来が思い描けたりもするんですよね。
――では、具体的にみなさんがどのような業務に携わっているのか教えてもらえますか?
yoichi:僕は新規タイトルの開発を行っていまして、シニアアートディレクターと全社のアートディレクターの取りまとめを兼任しています。主にイラストの企画段階から参加し、キャラクターの設定から制作指示書の作成、出来上がった作品の監修をしています。アートに関わる全てのクオリティを担保するのが責務です。
あとはレタッチやアイテム画像、ちびキャラなど、イラスト関連の進捗管理を行っています。企画段階からプロジェクトに参加し、イラストのディレクションだけでなく、全体を見通してのスケジュール立案や各種レギュレーションの制作など頭を使う機会も多いです。
元々はイラストが描きたくてゲーム業界に入ったのですが、アートディレクターの業務にチャレンジする機会があって、思い切って挑戦して今に至ります。今ではイラストだけでなくシナリオやキャラクターボイスのディレクション部分にも関わらせてもらい、広い範囲でゲームに携わることができ、日々成長を実感してます!
ラフ画 ▶ 赤字入れ ▶ 線画 ▶ 完成
▲アートディレクション過程
atsuhiro:僕も同じく新規タイトルの開発に携わっています。そこでUI・UXの設計や世界観の構築、演出関連を全体的にディレクションし、チームが目指しているビジュアルを具現化しています。特にUIは特殊で、とにかく多い情報からどれが必要でどれが不要かを俯瞰的に見ながら考えていきます。
僕も、もともとUIデザインをメインでやっていましたが、アカツキでは1つのことだけでなく自分からの提案で、アニメーションのディレクションや、アート、3D領域など幅広くいろいろなチャンスや可能性が巡ってきます。
yuka:私は特定のプロダクトに限るわけではなく、アカツキ全体のプロダクトをより多くの人に楽しんでもらうためにPR周りを主に担当し、さまざまな作品の広告を制作しています。どういったクリエイティブが受け手の心に伝わり届くのかを検証しながら、制作にあたっています。
また、各ゲームのWebサイトについても、常に改善点を考えより多くのおもしろさを創出するために日々奮闘しています。私の場合はゲーム開発チームメンバーと話し合う場面も多く、プロダクトチームとプロモーションチーム間でのコミュニケーションハブとなり、より広い範囲で連携を取りながら制作をしています。
――ゲームとなると、まずは世界観やストーリーが大本として存在しますよね。デザインを考えるとき、それらをどのように表現しようと考えていますか?
yoichi:プロダクトによって変わってきますが、一つの例だと世界観の構築が先にあって、その後に住んでいるキャラクターや、その世界の文化が生まれてくるのだと思います。キャラクターだけで世界が構築されているわけではなく、目に見えていない人物や風景がたくさんあるはずです。そういった裏側のストーリーまで徹底して考えたうえで、良いデザインのアウトができるようイメージをつくっていきます。
atsuhiro:世界観を構築するときは、デザインに意味を持たせるところから始めます。ボタンなどのUIパーツひとつひとつ、全体の配色にも、ちゃんとした意味や規則性を持たせることで、世界観の統一感や、没入感、そして遊びやすさなど、そういった感情を感じてもらえるように設計することを心がけていますね。
yuka:広告でも同じく、世界観は強く意識します。ユーザー様が最初に目にするのは広告である機会が多いですし、そこで、よりそのゲームの良さを伝えられるようにと意識してます。その一方で、最近は敢えて世界観から少し外すことで、ユーザー様にユーモアや楽しさを伝え、より親しみやすく気軽にプレイしてもらえる雰囲気の広告を考えるケースもあります。
さまざまな案を出しながら、ユーザー様がどういう反応を示すか確認し、次のデザインに活かしています。もちろん、あまりにも世界観からかけ離れるのもダメですが、弊社は面白いデザインや斬新なアイデアには、みんな前向きに受け取ってくれますね。
――ゲームを運営していく中では、ユーザー様からの反響ももちろんあると思います。届いた声が、デザイン面に反映されるケースもあるのですか?
yoichi:作品によっては、よりユーザー様のニーズに沿ったものづくりをしていきたいという想いからユーザーインタビューを実施していて、直接ユーザー様を会社に呼んで対話する取り組みをしています。その中ではもちろんデザイン面に関する話題も出てきますし、毎回検討の題材になりますね。
つい最近も実施したところでして、現在はその声をゲームにどう反映していくか、考えているところです。
――中には、反映が難しいものあるのではないでしょうか。
yoichi:もちろんありますが、熱心なファンの方ばかりですので、頂いた意見は真摯に受け止めて検討を重ねています。
yuka:ユーザー様からの言葉は本当に気づきも多く、よりサービスをよくするためにとても重要です。インタビュー中に熱い思いを語ってくださるユーザー様もいますし、ゲームのプレイだけでなく、去年開催したリアルイベントに参加して頂いたり、色々とグッズを購入してくれるユーザー様もいらっしゃって…
そういった方々と直に話していると本当に弊社のゲームを愛好してもらえてることを肌で感じられるので、とても良い取り組みだと思っています。もっと良いものを作りたい原動力にもなっています。
――リアルイベントやグッズのお話がありましたが、そのような取り組みがあると、またクリエイティブチームの活躍の場が広がりそうですね。
yoichi:実際にこれまでにも、ユーザーへの感謝を伝えたいという意味を込めて自分たちがグッズをデザインして販売する機会はありました。今後も普段のゲーム内だけでなく、グッズなどさまざまな展開にも携わりたいですね。
▲過去に販売したグッズ
――他には、ゲームをより盛り上げるためにゲームの周辺でどのような展開をしたいか考えることはありますか?
yoichi:アニメ化やコミカライズは挑戦してみたい分野ですね。弊社では美少女系だけでなくファンタジー系のゲームも多く、さまざまな展開が考えられるラインナップになっています。ゆくゆくはメディアミックスをできるような作品へ育てていきたいですね。個人的にも、自分が生み出したキャラクターが生き生きと動く姿を見るのが夢なんです。
yuka:ゲーム以外になにができるかは、私たちがいつも話し合っていることです。やるのであれば、弊社がコンセプトとして持っているワクワク感やつながりを元にゲームを通してどんなことが出来るのか考えながら、面白いコンテンツを生み出したいですね。
atsuhiro:アカツキはゲーム会社ですが、ゲームだけでは訴求できない層も確実にいます。そういった方々に、どういったアプローチをするべきかは大きなテーマですね。
今までゲームに興味のなかった人達でもプレイできる新たなジャンルのゲームづくりや、ゲームの解釈を広げることでより多くの人に届けたいです。
――次に製作現場の環境についてお伺いしたいのですが、社内の雰囲気はいかがですか?
yoichi:一言で言うと楽しさにあふれています。スタッフは皆情熱があり、さまざまな場面でディスカッションする文化があります。あとはプロダクトに対する愛情が強く、『サウザンドメモリーズ』が2周年を迎えたときには、グッズとして用意したパーカーを着て仕事をする人が、サウザンドメモリーズのチームだけでなく他のチームにもかなりいました(笑)。こういったプロダクト愛とかチームを超えた一体感が、情熱の源であり、良いゲームを作る根幹を担っているのだと思っています。
――他のチームとの交流も普段からあるのですね。
yoichi:もちろんです。毎日出社すると、24時間以内にあった良いことを発表する「Good & NEW」を行っていまして、そのときは全社員がランダムでグループを作るので、普段あまり接することのない部署の人とも関係が築けます。
yuka:私はプロダクトチームやさまざまな部署の方とコミュニケーションを取っていますが、話をする気楽さは感じますね。気軽に色んな相談が出来るくらい、みんな仲が良いです。一方で仕事を始めるととことんストイックで、切り替えの上手さもあって、凄くメリハリの雰囲気だと思います。
atsuhiro:ゲームの開発現場となると、「良いものを作りたい」というピュアな感情を持っている人が多いです。ゲームを作る過程でぶつかることももちろんありますが、それはお互いに遠慮をしていないからこそです。向いている方向が同じという意味では、とても良い環境だと思います。
――会社の環境面で、御社ならではのものはありますか?
yoichi:全体を通してリラックスできる空間になっているのが気に入っていますね。木や自然を意識した温かみのある内装だったり、社内は土足禁止なので、まるで家にいるようなリラックスした環境の中で仕事ができます。アイデアが生まれやすい環境を重視しているんですね。
中には畳の部屋もあり、ちょっと横になりながらスタッフと会話もできます。制作フロアには共有スペースがあり、デスクに座り続けて疲れたときには、気分転換の意味も込めて共有の場に移動したりもしています。自由なスタイルで仕事を進められ、良いコミュニケーションを作る場になってもいます。
――では、イベントや会社全体の制度の中で独自の取り組みだと思うものはありますか?
yoichi:珍しい取り組みといえば合宿を年に4回行っています。普段のオフィスから遠く離れた場所で、通常業務の中では、なかなか話し合う機会がない会社の未来に繋がるような議題を皆で考え、メンバーの絆を深める為に実施しています。毎回面白いアイディアが出てくるので、僕自身も楽しみにしています。
atsuhiro:未来をつくるために、重要ではあるけど、なかなか話し合う機会がない議題って結構ありますよね。合宿は、そういった話題を中心に掘り起こして、未来へつなげていこうという取り組みになります。
――合宿は、議題を話し合う場とのことですが、どんな内容を行うのですか?
yoichi: 会社の未来を考える場なので、アカツキという会社で働いて行くうえでのメンバーの心構えや意識付けに重きを置いています。合宿を通して自分達の考えを見直したり、新たに意識しなおす点も必ず出てきます。これによって仕事との向き合い方も変わってくるので、もっと頑張んなきゃっていう、やる気が湧いてきたりしますね。
atsuhiro:他には会社全体のビジョンを、全員でディスカッションする場になっていたりもしますね。
――では、今後に向けて、なにかチャレンジしたいことはありますか。
yoichi:クリエイティブチームでは3Dに力を入れていこうとしているところで、勉強会も積極的に開催しているところです。他にも新しい技術があれば、どんどんチャレンジしていきたいです。最近だと、VRやARなども興味深いと思っています。
また内部だけではなく外のプロフェッショナルとも組んでいろいろと面白い取り組みをしています。
yuka:今までの常識にとらわれないで、新しい表現でなにができるかを追求していきたいです。
atsuhiro:僕らは時代や環境の大きな変化にも対応できるクリエイティブを目指しているので、新しい技術のキャッチアップは必須だと考えています。個人個人が普段から新しい技術の重要性を感じているからこそ、貪欲に新しいことにチャレンジできていると思います。勉強会なども、そういう想いの現れです。全社員が新しい技術のノウハウを吸収し活躍できる職場にしたいですね。
――では最後に、アカツキさんの魅力を教えてください。
yoichi:クリエイティブチームでは、意識や目指すものを統一させるためのチームビジョンを作っています。これは、ユーザー様に良いものを届けるために、クリエーターとしてなにをするべきか、また何がしたいかを明確にする為に、チームメンバー全員で作り上げたものです。これによりメンバー全員がより高い場所を目指せるようになっていると思います。
yuka:作るゲームの方向性だけでなく、会社の内装にもメンバーひとりひとりの声が反映されています。上司や部下といった縦の関係性ではなくフラットで、主体性に重きを置いて、あらゆる面で意見が取り入れられるのは魅力ですね。
atsuhiro:他社に比べて、任されることの規模が大きいのは感じます。自分で提案できる範囲が本当に広い。僕も入社したころはコンテンツのいちデザイナーでしかなかったのですが、わずか半年で新規タイトルのリーダーに挑戦させてもらってます。
さらには、クリエイティブチームの今後やブランディングについても根底から関わっています。主体的に動き提案していけば、いくらでも成長できる会社だと思います。
――ありがとうございました。
そんなアカツキでは、一体どんな体制でゲームの開発が行われているのか。今回、クリエイティブチームに所属する3名にインタビューを行い、クリエイティブの意識から社内の環境まで、さまざまな話を聞いてきた。
■ワクワクするクリエイティブをチームでつくる
株式会社アカツキ
Social Game Division
シニアアートディレクター
yoichi (写真左)
UI/UXデザイナー
yuka(写真中央)
リードデザイナー
atsuhiro(写真右)
――本日は、アカツキさんのクリエーターが一体どんな意識で働き、そしてどのような体制でサービスを生み出しているのかをお話いただければと思います。まずは、みなさんの経歴から教えてもらってもいいですか。
yoichi:私はデザインとは全く違う職種の仕事をしていたのですが、昔からイラスト、漫画が大好きだったこともあり、仕事をしつつ、イラスト制作やweb漫画の投稿を行っていました。元々、ゲームが大好きだったこともあり、この業界に転職し、ゲームの世界観構築に携われるアートディレクターの道を選択しました。
yuka:私は以前、旅行関係のwebページ制作やグラフィックデザインのディレクションを行う仕事に就いていましたが、より良いものづくりをするためにデザイナーに転身することにしました。
もっと幅広く自分達の意思で0から1のデザインを作り上げることや、これまで培ってきたwebページ制作の技術やディレクションのノウハウを駆使しながら、ワクワクするようなクリエイティブを実現する為にアカツキに入社しました。
atsuhiro:僕は大学でデザインを学んでいたこともあり、最初はITコンサルティングの企業へデザイナーとして入社しました。スポーツ情報のモバイル配信サービスのデザイン業務や同サービスで配信する動画の編集などに携わっていたのですが、より上流からのものづくりをしたいと考えるようになりました。そういった迷いの中で、デザイナーとして企画の段階から参加でき、ユーザーに様々な感情や体験を届けることの出来るゲーム制作のものづくりを知り、凄く魅力を感じて、この業界に転職することに決めました。
――みなさんゲームとは別の業界も経験されていたのですね。では、ゲーム業界を経験してみて、これまでとの違いは感じましたか?
yoichi:前職がデザインとまったく関係のない仕事だったので、クリエイティビティや仕事へのこだわり、そしてスピード感の違いは感じますね。イラストであれば、ドット単位で修正を入れたりしますし、キャラクターデザインでは、キャラクターの制作指示書などを通してキャラを生み出す楽しさがあります。反対に言えば産みの苦しみを味わうこともあったりしますがとてもやり甲斐を感じています!
yuka:旅行関係の仕事をしている時でも、ターゲットの興味に寄り添った施策を考え、お客様に新しい喜びや体験を提供することを常に考えていたんですが、ゲームでも、その基本的な考え方は、そのままに、更に「面白さ」「お客さまにどのように楽しんで頂けるか」というところに焦点を当てて考えるようにしています。今までの経験が、とても活かされていると思います。
atsuhiro:ゲームはクライアントワークとは違って自分たちの意思というのが、とても大切だと思っています。ユーザーに楽しい時間を過ごして貰えるよう、色々な施策やアイデアを考えるようになり、僕自身の表現の幅もとても広がったと思います。
――苦労した点はありましたか?
atsuhiro:規模が大きいだけに、コミュニケーションの難しさは感じましたね。多くのスタッフの意思をひとつにして作品に落とし込むのは、今も苦労しているところです。苦労も多いのですが、それが成長に繋がっている実感はとても強くあります。そういう時に独りでは感じることのできない皆で作るものづくりの面白さを感じますし、みんなで作るからこそ、ワクワクする未来が思い描けたりもするんですよね。
――では、具体的にみなさんがどのような業務に携わっているのか教えてもらえますか?
yoichi:僕は新規タイトルの開発を行っていまして、シニアアートディレクターと全社のアートディレクターの取りまとめを兼任しています。主にイラストの企画段階から参加し、キャラクターの設定から制作指示書の作成、出来上がった作品の監修をしています。アートに関わる全てのクオリティを担保するのが責務です。
あとはレタッチやアイテム画像、ちびキャラなど、イラスト関連の進捗管理を行っています。企画段階からプロジェクトに参加し、イラストのディレクションだけでなく、全体を見通してのスケジュール立案や各種レギュレーションの制作など頭を使う機会も多いです。
元々はイラストが描きたくてゲーム業界に入ったのですが、アートディレクターの業務にチャレンジする機会があって、思い切って挑戦して今に至ります。今ではイラストだけでなくシナリオやキャラクターボイスのディレクション部分にも関わらせてもらい、広い範囲でゲームに携わることができ、日々成長を実感してます!
ラフ画 ▶ 赤字入れ ▶ 線画 ▶ 完成
▲アートディレクション過程
atsuhiro:僕も同じく新規タイトルの開発に携わっています。そこでUI・UXの設計や世界観の構築、演出関連を全体的にディレクションし、チームが目指しているビジュアルを具現化しています。特にUIは特殊で、とにかく多い情報からどれが必要でどれが不要かを俯瞰的に見ながら考えていきます。
僕も、もともとUIデザインをメインでやっていましたが、アカツキでは1つのことだけでなく自分からの提案で、アニメーションのディレクションや、アート、3D領域など幅広くいろいろなチャンスや可能性が巡ってきます。
yuka:私は特定のプロダクトに限るわけではなく、アカツキ全体のプロダクトをより多くの人に楽しんでもらうためにPR周りを主に担当し、さまざまな作品の広告を制作しています。どういったクリエイティブが受け手の心に伝わり届くのかを検証しながら、制作にあたっています。
また、各ゲームのWebサイトについても、常に改善点を考えより多くのおもしろさを創出するために日々奮闘しています。私の場合はゲーム開発チームメンバーと話し合う場面も多く、プロダクトチームとプロモーションチーム間でのコミュニケーションハブとなり、より広い範囲で連携を取りながら制作をしています。
――ゲームとなると、まずは世界観やストーリーが大本として存在しますよね。デザインを考えるとき、それらをどのように表現しようと考えていますか?
yoichi:プロダクトによって変わってきますが、一つの例だと世界観の構築が先にあって、その後に住んでいるキャラクターや、その世界の文化が生まれてくるのだと思います。キャラクターだけで世界が構築されているわけではなく、目に見えていない人物や風景がたくさんあるはずです。そういった裏側のストーリーまで徹底して考えたうえで、良いデザインのアウトができるようイメージをつくっていきます。
atsuhiro:世界観を構築するときは、デザインに意味を持たせるところから始めます。ボタンなどのUIパーツひとつひとつ、全体の配色にも、ちゃんとした意味や規則性を持たせることで、世界観の統一感や、没入感、そして遊びやすさなど、そういった感情を感じてもらえるように設計することを心がけていますね。
yuka:広告でも同じく、世界観は強く意識します。ユーザー様が最初に目にするのは広告である機会が多いですし、そこで、よりそのゲームの良さを伝えられるようにと意識してます。その一方で、最近は敢えて世界観から少し外すことで、ユーザー様にユーモアや楽しさを伝え、より親しみやすく気軽にプレイしてもらえる雰囲気の広告を考えるケースもあります。
さまざまな案を出しながら、ユーザー様がどういう反応を示すか確認し、次のデザインに活かしています。もちろん、あまりにも世界観からかけ離れるのもダメですが、弊社は面白いデザインや斬新なアイデアには、みんな前向きに受け取ってくれますね。
yoichi:作品によっては、よりユーザー様のニーズに沿ったものづくりをしていきたいという想いからユーザーインタビューを実施していて、直接ユーザー様を会社に呼んで対話する取り組みをしています。その中ではもちろんデザイン面に関する話題も出てきますし、毎回検討の題材になりますね。
つい最近も実施したところでして、現在はその声をゲームにどう反映していくか、考えているところです。
――中には、反映が難しいものあるのではないでしょうか。
yoichi:もちろんありますが、熱心なファンの方ばかりですので、頂いた意見は真摯に受け止めて検討を重ねています。
yuka:ユーザー様からの言葉は本当に気づきも多く、よりサービスをよくするためにとても重要です。インタビュー中に熱い思いを語ってくださるユーザー様もいますし、ゲームのプレイだけでなく、去年開催したリアルイベントに参加して頂いたり、色々とグッズを購入してくれるユーザー様もいらっしゃって…
そういった方々と直に話していると本当に弊社のゲームを愛好してもらえてることを肌で感じられるので、とても良い取り組みだと思っています。もっと良いものを作りたい原動力にもなっています。
――リアルイベントやグッズのお話がありましたが、そのような取り組みがあると、またクリエイティブチームの活躍の場が広がりそうですね。
yoichi:実際にこれまでにも、ユーザーへの感謝を伝えたいという意味を込めて自分たちがグッズをデザインして販売する機会はありました。今後も普段のゲーム内だけでなく、グッズなどさまざまな展開にも携わりたいですね。
▲過去に販売したグッズ
――他には、ゲームをより盛り上げるためにゲームの周辺でどのような展開をしたいか考えることはありますか?
yoichi:アニメ化やコミカライズは挑戦してみたい分野ですね。弊社では美少女系だけでなくファンタジー系のゲームも多く、さまざまな展開が考えられるラインナップになっています。ゆくゆくはメディアミックスをできるような作品へ育てていきたいですね。個人的にも、自分が生み出したキャラクターが生き生きと動く姿を見るのが夢なんです。
yuka:ゲーム以外になにができるかは、私たちがいつも話し合っていることです。やるのであれば、弊社がコンセプトとして持っているワクワク感やつながりを元にゲームを通してどんなことが出来るのか考えながら、面白いコンテンツを生み出したいですね。
atsuhiro:アカツキはゲーム会社ですが、ゲームだけでは訴求できない層も確実にいます。そういった方々に、どういったアプローチをするべきかは大きなテーマですね。
今までゲームに興味のなかった人達でもプレイできる新たなジャンルのゲームづくりや、ゲームの解釈を広げることでより多くの人に届けたいです。
■「良いものを作りたい」というピュアな感情を持っている人が多い開発現場
――次に製作現場の環境についてお伺いしたいのですが、社内の雰囲気はいかがですか?
yoichi:一言で言うと楽しさにあふれています。スタッフは皆情熱があり、さまざまな場面でディスカッションする文化があります。あとはプロダクトに対する愛情が強く、『サウザンドメモリーズ』が2周年を迎えたときには、グッズとして用意したパーカーを着て仕事をする人が、サウザンドメモリーズのチームだけでなく他のチームにもかなりいました(笑)。こういったプロダクト愛とかチームを超えた一体感が、情熱の源であり、良いゲームを作る根幹を担っているのだと思っています。
――他のチームとの交流も普段からあるのですね。
yoichi:もちろんです。毎日出社すると、24時間以内にあった良いことを発表する「Good & NEW」を行っていまして、そのときは全社員がランダムでグループを作るので、普段あまり接することのない部署の人とも関係が築けます。
yuka:私はプロダクトチームやさまざまな部署の方とコミュニケーションを取っていますが、話をする気楽さは感じますね。気軽に色んな相談が出来るくらい、みんな仲が良いです。一方で仕事を始めるととことんストイックで、切り替えの上手さもあって、凄くメリハリの雰囲気だと思います。
atsuhiro:ゲームの開発現場となると、「良いものを作りたい」というピュアな感情を持っている人が多いです。ゲームを作る過程でぶつかることももちろんありますが、それはお互いに遠慮をしていないからこそです。向いている方向が同じという意味では、とても良い環境だと思います。
――会社の環境面で、御社ならではのものはありますか?
yoichi:全体を通してリラックスできる空間になっているのが気に入っていますね。木や自然を意識した温かみのある内装だったり、社内は土足禁止なので、まるで家にいるようなリラックスした環境の中で仕事ができます。アイデアが生まれやすい環境を重視しているんですね。
中には畳の部屋もあり、ちょっと横になりながらスタッフと会話もできます。制作フロアには共有スペースがあり、デスクに座り続けて疲れたときには、気分転換の意味も込めて共有の場に移動したりもしています。自由なスタイルで仕事を進められ、良いコミュニケーションを作る場になってもいます。
――では、イベントや会社全体の制度の中で独自の取り組みだと思うものはありますか?
yoichi:珍しい取り組みといえば合宿を年に4回行っています。普段のオフィスから遠く離れた場所で、通常業務の中では、なかなか話し合う機会がない会社の未来に繋がるような議題を皆で考え、メンバーの絆を深める為に実施しています。毎回面白いアイディアが出てくるので、僕自身も楽しみにしています。
atsuhiro:未来をつくるために、重要ではあるけど、なかなか話し合う機会がない議題って結構ありますよね。合宿は、そういった話題を中心に掘り起こして、未来へつなげていこうという取り組みになります。
――合宿は、議題を話し合う場とのことですが、どんな内容を行うのですか?
yoichi: 会社の未来を考える場なので、アカツキという会社で働いて行くうえでのメンバーの心構えや意識付けに重きを置いています。合宿を通して自分達の考えを見直したり、新たに意識しなおす点も必ず出てきます。これによって仕事との向き合い方も変わってくるので、もっと頑張んなきゃっていう、やる気が湧いてきたりしますね。
atsuhiro:他には会社全体のビジョンを、全員でディスカッションする場になっていたりもしますね。
――では、今後に向けて、なにかチャレンジしたいことはありますか。
yoichi:クリエイティブチームでは3Dに力を入れていこうとしているところで、勉強会も積極的に開催しているところです。他にも新しい技術があれば、どんどんチャレンジしていきたいです。最近だと、VRやARなども興味深いと思っています。
また内部だけではなく外のプロフェッショナルとも組んでいろいろと面白い取り組みをしています。
yuka:今までの常識にとらわれないで、新しい表現でなにができるかを追求していきたいです。
atsuhiro:僕らは時代や環境の大きな変化にも対応できるクリエイティブを目指しているので、新しい技術のキャッチアップは必須だと考えています。個人個人が普段から新しい技術の重要性を感じているからこそ、貪欲に新しいことにチャレンジできていると思います。勉強会なども、そういう想いの現れです。全社員が新しい技術のノウハウを吸収し活躍できる職場にしたいですね。
――では最後に、アカツキさんの魅力を教えてください。
yoichi:クリエイティブチームでは、意識や目指すものを統一させるためのチームビジョンを作っています。これは、ユーザー様に良いものを届けるために、クリエーターとしてなにをするべきか、また何がしたいかを明確にする為に、チームメンバー全員で作り上げたものです。これによりメンバー全員がより高い場所を目指せるようになっていると思います。
yuka:作るゲームの方向性だけでなく、会社の内装にもメンバーひとりひとりの声が反映されています。上司や部下といった縦の関係性ではなくフラットで、主体性に重きを置いて、あらゆる面で意見が取り入れられるのは魅力ですね。
atsuhiro:他社に比べて、任されることの規模が大きいのは感じます。自分で提案できる範囲が本当に広い。僕も入社したころはコンテンツのいちデザイナーでしかなかったのですが、わずか半年で新規タイトルのリーダーに挑戦させてもらってます。
さらには、クリエイティブチームの今後やブランディングについても根底から関わっています。主体的に動き提案していけば、いくらでも成長できる会社だと思います。
――ありがとうございました。
(取材・文:ライター ユマ)
会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932