ブリザード・エンターテイメントは、デジタルカードゲーム『ハースストーン』において、6月4日、5日の2日間にわたり、日本選手権の春季大会を開催した。
本大会の優勝者は「ハースストーンアジア太平洋春季選手権」に出場し、韓国や台湾、オーストラリアなどアジア太平洋地域の強豪と、今年の11月に行われる「ハースストーン世界選手権」の出場権をかけて対戦する。
大会にはオンライン予選で各グループ上位8名の計32名のプレイヤーが参加。6月4日には、ダブルイリミネーション方式のトーナメントが行われ、勝者側のトーナメントの勝者と敗者側トーナメントの勝者、計8名がシングルイリミネーションのプレイオフに進出し、プレイオフの1回戦で勝利した4名が翌日(5日)へと進出した。
本稿では、準決勝・決勝戦が行われた、6月5日の大会の様子をレポートする。
大会の会場となったのは、世界初の3DCGホログラフィック専用エンタテイメント劇場の「DMM VR THEATER YOKOHAMA」。当日は天候には恵まれなかったものの、多くの来場者が訪れた。
「炉端の集い」では、入場の際にもらう「コイン」をかけて、他の来場者と対戦を行う。コインを多く集めた人には、各ヒーローのポスターや映画「ウォークラフト」のチケットといった、豪華賞品が贈られることもあり、少しでも多くのコイン手に入れようと、参加者は周囲の来場者と、しきりに対戦を行っていた。『ハースストーン』という共通の話題で、お互いを知らない来場者同士がコミュニケーションをとっており、まさに“暖炉の前”に集まっているように見受けられたイベントだった。
2日目の決勝大会では、前日の「4ヒーロー1禁止のコンクエスト」から「5ヒーロー1禁止のコンクエスト(5人のヒーローのうち、対戦相手に1人のヒーローを禁止され、残ったヒーローで対戦する)」にレギュレーションが変化する。ヒーローが増えることで、対戦相手がどのヒーローを選出するのか、そしてそのデッキタイプがどういうものなのか、それに有利なデッキタイプで戦うことができるのかが重要となる。
ARST選手はウォリアー、ローグ、ハンター、シャーマン、ウォーロックを選択。対するJako1910選手は、ウォリアー、シャーマン、メイジ、ウォーロック、ドルイドを選択した。ARST選手はウォリアーを、Jako1910選手はウォーロックをBAN(禁止)された。
1戦目はARST選手がハンターを使用し、Jako1910選手がメイジを選ぶ。終始、獣タイプのミニオンを並べて、体力を奪うARST選手だったが、Jako1910選手も負けずと呪文を駆使して体力を奪う。最後はJako1910選手が「アイスブロック(体力がゼロ以下になるダメージを受けたとしても、そのダメージを無効化し、そのターンは無敵になる)」で猛攻を凌いで、10点のダメージを与える「パイロブラスト」で勝負を決めた。
2戦目はJako1910選手がシャーマンを選択、ARST選手は引き続きハンターを選んだ。シャーマンにはオーバーロード(次のターン、指定された数の分、マナを使うことができない)を持つカードが多かったが、上手くマナを管理し、その強さを存分に引き出したJako1910選手がフィールドを制圧。2戦目もJako1910選手の勝利となった。
3戦目はARST選手のハンターとJako1910選手のウォリアーの対戦となる。全体除去や、武器を使用するウォリアーにフィールドのミニオンをやられ、厳しい展開を強いられたARST選手。体力を8点にまで減らすことはできたが、手札には「連射の一矢(3ダメージ+手札がない場合は1ドロー)」の1枚のみ。ここで3ダメージ以上を与えられるカードを引かなければ負けてしまう場面で、5ダメージを与えられる「荒野の呼び声」をドローし、連敗を止めた。
4戦目はARST選手がローグ、Jako1910選手がウォリアーを選択する。コンボ(既にミニオンや呪文を使っていた場合、能力がアップする)を使用してフィールドの有利を取っていくローグは、この試合では後手に回り続ける展開となり、体力が減っていく。最後は非常に厳しい状況に追い込まれ、長考から時間切れとなってしまうミス。十分に動ききれなかったこともあり、Jako1910選手の勝利となった。
5戦目はARST選手のローグとJako1910選手のドルイド。ここで負けると後がないARST選手だったが、複数のミニオンを展開する呪文や、味方全体を強化する呪文で一気にフィールドを制圧するJako1910選手。全体除去の呪文を引けず、対処が追い付かないARST選手は投了となった。
Tredsred選手はウォリアー、ドルイド、ハンター、シャーマン、ローグを選択。対するZarathustra選手は、ウォーロック、メイジ、ウォリアー、シャーマン、ローグを選択した。Tredsred選手はドルイドを、Zarathustra選手はウォーロックをBAN(禁止)された。
1戦目はTredsred選手がウォリアー、Zarathustra選手がシャーマンを選択する。海賊のミニオンが多いTredsred選手のウォリアーは武器とミニオンを駆使して戦うデッキだが、ドローカードや武器を強化するカードをテンポよく引けず、1戦目をZarathustra選手が取った。
2戦目はTredsred選手がハンター、Zarathustra選手はメイジを選択。フリーズメイジ(アイスブロックなどを使用したメイジのデッキタイプの1種)対策には絶対の自信がある、と語っていたTredsred選手だったが、メイジの強力な呪文に盤面のミニオンが耐え切れず、Zarathustra選手の体力を削りきることは叶わなかった。
3戦目はTredsred選手が再びハンターを選択、Zarathustra選手はウォリアーを選択する。Tredsred選手は他のハンターデッキにはあまり見られなかった「フフラン王女(味方のミニオン1体の断末魔を発動させる)」を採用しており、その能力をハンターデッキの中核になっている「サバンナ・ハイメイン(断末魔で、2体の2/2ミニオンを召喚する)」に使用。強力なコンボが決まり、盤面を制圧したTredsred選手の勝利となった。
4戦目はTredsred選手のウォリアー、Zarathustra選手のローグの試合に。1戦目と違い、武器や武器の強化を行うカードをテンポよく引いたTredsred選手が終始盤面をコントロール。お互いに2勝2敗のイーブンとなる。
5戦目ではTredsred選手がシャーマンを選択し、Zarathustra選手がドルイドを選択する。Tredsred選手の初手はマリガン後に理想的なハンドとなり、序盤から盤面をコントロール。一時は、「ダークアイアン・スカルカー(ダメージを受けていない敵のミニオン全てに、2ダメージを与える)」に盤面をリセットされるが、「ドゥームハンマー(攻撃力2、疾風」」と「炎まとう無貌のもの(7/7 オーバーロード2)」を駆使し、ローグの体力を減らしきった。
6戦目は互いにローグを選択、ミラー対決となる。3連敗と後のないZarathustra選手だったが、Tredsred選手の繰り出す6/6の「エドウィン・ヴァンクリーフ(コンボ、このターンにプレイされたカード1枚ごとに+2/+2)」に隠れ身が付与され、体力を減らされてしまう。最後には「冷血(攻撃力を+2、コンボ:攻撃力を+4)」で更に強力になった「エドウィン・ヴァンクリーフ」が勝負を決めた。
決勝戦は、予選から無敗で進んできたTredsred選手と18歳の若さで勝ち上がってきたJako1910選手の戦いに。Tredsred選手はハンターを、Jako1910選手はウォーロックをBANされる形となった。
1戦目はTredsred選手がローグを、Jako1910選手がウォリアーを選択する。Tredsred選手は「ガジェッツァンの競売人(呪文を使用するたびに1ドロー)」で手札を回しつつ、「エドウィン・ヴァンクリーフ」を場に出すことで、強力な場を形成する。続く「リロイ・ジェンキンス(突撃を持つ、6/2のミニオン)」での攻撃や、「隠蔽」の隠れ身付与で、Jako1910選手の体力を減らしつつ除去への体制も高めていた。このままではやられてしまうJako1910選手は「鎧職人(味方のミニオンがダメージを受けるたびに装甲を1獲得する)」と「死憎悔いのグール(自身以外の全てのミニオンに1ダメージ)」のコンボで、総合体力を増やしつつも反撃を行う。これによって体力を減らしきれないと判断したTredsred選手は投了。1戦目をJako1910選手が先取した。
2戦目はTredsred選手のドルイド、Jako1910選手のシャーマンとの試合になった。試合序盤はJako1910選手が軽いコストで強力なミニオンを展開するが、Tredsred選手はそれに対してマナ加速で対応。2ターン目には「アジュア・ドレイク(5マナ4/4のミニオン、呪文ダメージ+1で、登場時に1ドロー)」を展開し、互いに譲らない好調な動きを見せた。試合を決定づけたのは終盤、Tredsred選手による「アジュア・ドレイク」と「なぎ払い(敵キャラクター1体に4点ダメージ、他の敵全てに1ダメージ)」による全体除去だった。体力では負けていたものの、早い段階でのマナ加速と、ドローソースの多さがTredsred選手に勝利をもたらした。
3戦目はTredsred選手がウォリアー、Jako1910選手がシャーマンを選択する。序盤に武器を装備しつつミニオンを展開したいTredsred選手は攻撃力1、使用回数3の武器を装備。自身のヒーローパワーを変更する「サー・フィンレー・マルグルトン」を場に出しウォーロックのヒーローパワー(2ダメージを受けて1ドロー)へ変更する。ミニオンを素早く展開するが、Jako1910選手の「ライトニングストーム(敵のミニオン全てに2~3点ダメージ)」で一掃されてしまう。Jako1910選手の体力を7にまで減らすことはできたが、試合を決めきるカードを引くことはできず、3戦目はJako1910選手の勝利となった。
4戦目はTredsred選手が引き続きウォリアー、Jako1910選手がドルイドを選択。Jako1910選手は1ターン目に「練気(このターンに限り、マナを2つ得る)」と「コイン(このターンに限り、マナを1つ得る)」をプレイ。マナクリスタルを1つ増やせる「古代地の番人」と続き、1ターン目から最高とも言える展開だ。さらに「練気」から、マナクリスタルを2つ得る「滋養」をプレイし、マナブーストが止まらない。4ターン目には「旧神のささやかな灯」でウィスプ(1/1のミニオン)を7体召喚。味方のミニオンを全て+1/+1する「野生の力」で強化し、Jako1910選手が優勝へとリーチをかけた。
5戦目はTredsred選手がローグ、Jako1910選手が残るメイジを選択する。Tredsred選手はメイジのデッキタイプ、フリーズメイジとの戦いを研究しており、自信があると話していただけに、その対処法に注目が集まった。少しでも早く、Jako1910選手の体力を減らしきりたいTredsred選手は「コイン」を使用して5/4のミニオン「墓荒し(断末魔でコインを得る)」をプレイ。即座に処理できないと判断したJako1910選手は「終末預言者(自分のターン開始時に全てのミニオンを破壊する)」で対応。0/7と高い体力を持つミニオンを盾に時間を稼いだ。
序盤からドローを進めていたJako1910選手は6ターン目にキーカードでもある「ソーサリアン皇帝(自分のターン終了時に手札のカードのマナコストを1下げる)」をプレイ。ダメージ呪文がなく、ダメージソースでもあるミニオンを使って処理するわけにもいかないTredsred選手は「昏倒(相手のミニオンを1体手札に戻す)」で対処するが、再度「ソーサリアン皇帝」をプレイされ、厳しい展開に。
Jako1910選手は場のミニオンからの攻撃を受けてしまうと敗北してしまうため、「フロストノヴァ」で敵ミニオンを凍らせつつ、攻撃呪文を手札に集める。最後は「アイスブロック」でTredsred選手の攻撃を捌きつつ2ターンをかけて「パイロブラスト(10点ダメージ)」と「ファイアーボール(6点ダメージ)」、「フロストボルト(3点ダメージ+凍結)」に「アイスランス(凍結した相手に4ダメージ)」全てをローグに撃ちこみ、Tredsred選手を撃破。Jako1910選手の優勝が決まった。
優勝したJako1910選手は「最後の試合は、勝利が見えたことで簡単なミスをしてしまった。こういうことがないように気をつけたい。アジア太平洋選手権では、絶対に優勝してBlizzconに行きます!」とコメント。日本代表として18歳のヒーローが世界へ羽ばたく姿に、ぜひとも注目したい。
■『Hearthstone』
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本大会の優勝者は「ハースストーンアジア太平洋春季選手権」に出場し、韓国や台湾、オーストラリアなどアジア太平洋地域の強豪と、今年の11月に行われる「ハースストーン世界選手権」の出場権をかけて対戦する。
大会にはオンライン予選で各グループ上位8名の計32名のプレイヤーが参加。6月4日には、ダブルイリミネーション方式のトーナメントが行われ、勝者側のトーナメントの勝者と敗者側トーナメントの勝者、計8名がシングルイリミネーションのプレイオフに進出し、プレイオフの1回戦で勝利した4名が翌日(5日)へと進出した。
本稿では、準決勝・決勝戦が行われた、6月5日の大会の様子をレポートする。
■入場者全員が楽しめる「炉端の集い」も同時開催
大会の会場となったのは、世界初の3DCGホログラフィック専用エンタテイメント劇場の「DMM VR THEATER YOKOHAMA」。当日は天候には恵まれなかったものの、多くの来場者が訪れた。
「炉端の集い」では、入場の際にもらう「コイン」をかけて、他の来場者と対戦を行う。コインを多く集めた人には、各ヒーローのポスターや映画「ウォークラフト」のチケットといった、豪華賞品が贈られることもあり、少しでも多くのコイン手に入れようと、参加者は周囲の来場者と、しきりに対戦を行っていた。『ハースストーン』という共通の話題で、お互いを知らない来場者同士がコミュニケーションをとっており、まさに“暖炉の前”に集まっているように見受けられたイベントだった。
■準決勝第一試合 ARST選手 vs Jako1910選手
2日目の決勝大会では、前日の「4ヒーロー1禁止のコンクエスト」から「5ヒーロー1禁止のコンクエスト(5人のヒーローのうち、対戦相手に1人のヒーローを禁止され、残ったヒーローで対戦する)」にレギュレーションが変化する。ヒーローが増えることで、対戦相手がどのヒーローを選出するのか、そしてそのデッキタイプがどういうものなのか、それに有利なデッキタイプで戦うことができるのかが重要となる。
ARST選手はウォリアー、ローグ、ハンター、シャーマン、ウォーロックを選択。対するJako1910選手は、ウォリアー、シャーマン、メイジ、ウォーロック、ドルイドを選択した。ARST選手はウォリアーを、Jako1910選手はウォーロックをBAN(禁止)された。
1戦目はARST選手がハンターを使用し、Jako1910選手がメイジを選ぶ。終始、獣タイプのミニオンを並べて、体力を奪うARST選手だったが、Jako1910選手も負けずと呪文を駆使して体力を奪う。最後はJako1910選手が「アイスブロック(体力がゼロ以下になるダメージを受けたとしても、そのダメージを無効化し、そのターンは無敵になる)」で猛攻を凌いで、10点のダメージを与える「パイロブラスト」で勝負を決めた。
2戦目はJako1910選手がシャーマンを選択、ARST選手は引き続きハンターを選んだ。シャーマンにはオーバーロード(次のターン、指定された数の分、マナを使うことができない)を持つカードが多かったが、上手くマナを管理し、その強さを存分に引き出したJako1910選手がフィールドを制圧。2戦目もJako1910選手の勝利となった。
3戦目はARST選手のハンターとJako1910選手のウォリアーの対戦となる。全体除去や、武器を使用するウォリアーにフィールドのミニオンをやられ、厳しい展開を強いられたARST選手。体力を8点にまで減らすことはできたが、手札には「連射の一矢(3ダメージ+手札がない場合は1ドロー)」の1枚のみ。ここで3ダメージ以上を与えられるカードを引かなければ負けてしまう場面で、5ダメージを与えられる「荒野の呼び声」をドローし、連敗を止めた。
4戦目はARST選手がローグ、Jako1910選手がウォリアーを選択する。コンボ(既にミニオンや呪文を使っていた場合、能力がアップする)を使用してフィールドの有利を取っていくローグは、この試合では後手に回り続ける展開となり、体力が減っていく。最後は非常に厳しい状況に追い込まれ、長考から時間切れとなってしまうミス。十分に動ききれなかったこともあり、Jako1910選手の勝利となった。
5戦目はARST選手のローグとJako1910選手のドルイド。ここで負けると後がないARST選手だったが、複数のミニオンを展開する呪文や、味方全体を強化する呪文で一気にフィールドを制圧するJako1910選手。全体除去の呪文を引けず、対処が追い付かないARST選手は投了となった。
■準決勝第二試合 Tredsred選手 vs Zarathustra選手
Tredsred選手はウォリアー、ドルイド、ハンター、シャーマン、ローグを選択。対するZarathustra選手は、ウォーロック、メイジ、ウォリアー、シャーマン、ローグを選択した。Tredsred選手はドルイドを、Zarathustra選手はウォーロックをBAN(禁止)された。
1戦目はTredsred選手がウォリアー、Zarathustra選手がシャーマンを選択する。海賊のミニオンが多いTredsred選手のウォリアーは武器とミニオンを駆使して戦うデッキだが、ドローカードや武器を強化するカードをテンポよく引けず、1戦目をZarathustra選手が取った。
2戦目はTredsred選手がハンター、Zarathustra選手はメイジを選択。フリーズメイジ(アイスブロックなどを使用したメイジのデッキタイプの1種)対策には絶対の自信がある、と語っていたTredsred選手だったが、メイジの強力な呪文に盤面のミニオンが耐え切れず、Zarathustra選手の体力を削りきることは叶わなかった。
3戦目はTredsred選手が再びハンターを選択、Zarathustra選手はウォリアーを選択する。Tredsred選手は他のハンターデッキにはあまり見られなかった「フフラン王女(味方のミニオン1体の断末魔を発動させる)」を採用しており、その能力をハンターデッキの中核になっている「サバンナ・ハイメイン(断末魔で、2体の2/2ミニオンを召喚する)」に使用。強力なコンボが決まり、盤面を制圧したTredsred選手の勝利となった。
4戦目はTredsred選手のウォリアー、Zarathustra選手のローグの試合に。1戦目と違い、武器や武器の強化を行うカードをテンポよく引いたTredsred選手が終始盤面をコントロール。お互いに2勝2敗のイーブンとなる。
5戦目ではTredsred選手がシャーマンを選択し、Zarathustra選手がドルイドを選択する。Tredsred選手の初手はマリガン後に理想的なハンドとなり、序盤から盤面をコントロール。一時は、「ダークアイアン・スカルカー(ダメージを受けていない敵のミニオン全てに、2ダメージを与える)」に盤面をリセットされるが、「ドゥームハンマー(攻撃力2、疾風」」と「炎まとう無貌のもの(7/7 オーバーロード2)」を駆使し、ローグの体力を減らしきった。
6戦目は互いにローグを選択、ミラー対決となる。3連敗と後のないZarathustra選手だったが、Tredsred選手の繰り出す6/6の「エドウィン・ヴァンクリーフ(コンボ、このターンにプレイされたカード1枚ごとに+2/+2)」に隠れ身が付与され、体力を減らされてしまう。最後には「冷血(攻撃力を+2、コンボ:攻撃力を+4)」で更に強力になった「エドウィン・ヴァンクリーフ」が勝負を決めた。
■決勝戦 Jako1910選手 vs Tredsred選手
決勝戦は、予選から無敗で進んできたTredsred選手と18歳の若さで勝ち上がってきたJako1910選手の戦いに。Tredsred選手はハンターを、Jako1910選手はウォーロックをBANされる形となった。
1戦目はTredsred選手がローグを、Jako1910選手がウォリアーを選択する。Tredsred選手は「ガジェッツァンの競売人(呪文を使用するたびに1ドロー)」で手札を回しつつ、「エドウィン・ヴァンクリーフ」を場に出すことで、強力な場を形成する。続く「リロイ・ジェンキンス(突撃を持つ、6/2のミニオン)」での攻撃や、「隠蔽」の隠れ身付与で、Jako1910選手の体力を減らしつつ除去への体制も高めていた。このままではやられてしまうJako1910選手は「鎧職人(味方のミニオンがダメージを受けるたびに装甲を1獲得する)」と「死憎悔いのグール(自身以外の全てのミニオンに1ダメージ)」のコンボで、総合体力を増やしつつも反撃を行う。これによって体力を減らしきれないと判断したTredsred選手は投了。1戦目をJako1910選手が先取した。
2戦目はTredsred選手のドルイド、Jako1910選手のシャーマンとの試合になった。試合序盤はJako1910選手が軽いコストで強力なミニオンを展開するが、Tredsred選手はそれに対してマナ加速で対応。2ターン目には「アジュア・ドレイク(5マナ4/4のミニオン、呪文ダメージ+1で、登場時に1ドロー)」を展開し、互いに譲らない好調な動きを見せた。試合を決定づけたのは終盤、Tredsred選手による「アジュア・ドレイク」と「なぎ払い(敵キャラクター1体に4点ダメージ、他の敵全てに1ダメージ)」による全体除去だった。体力では負けていたものの、早い段階でのマナ加速と、ドローソースの多さがTredsred選手に勝利をもたらした。
3戦目はTredsred選手がウォリアー、Jako1910選手がシャーマンを選択する。序盤に武器を装備しつつミニオンを展開したいTredsred選手は攻撃力1、使用回数3の武器を装備。自身のヒーローパワーを変更する「サー・フィンレー・マルグルトン」を場に出しウォーロックのヒーローパワー(2ダメージを受けて1ドロー)へ変更する。ミニオンを素早く展開するが、Jako1910選手の「ライトニングストーム(敵のミニオン全てに2~3点ダメージ)」で一掃されてしまう。Jako1910選手の体力を7にまで減らすことはできたが、試合を決めきるカードを引くことはできず、3戦目はJako1910選手の勝利となった。
4戦目はTredsred選手が引き続きウォリアー、Jako1910選手がドルイドを選択。Jako1910選手は1ターン目に「練気(このターンに限り、マナを2つ得る)」と「コイン(このターンに限り、マナを1つ得る)」をプレイ。マナクリスタルを1つ増やせる「古代地の番人」と続き、1ターン目から最高とも言える展開だ。さらに「練気」から、マナクリスタルを2つ得る「滋養」をプレイし、マナブーストが止まらない。4ターン目には「旧神のささやかな灯」でウィスプ(1/1のミニオン)を7体召喚。味方のミニオンを全て+1/+1する「野生の力」で強化し、Jako1910選手が優勝へとリーチをかけた。
5戦目はTredsred選手がローグ、Jako1910選手が残るメイジを選択する。Tredsred選手はメイジのデッキタイプ、フリーズメイジとの戦いを研究しており、自信があると話していただけに、その対処法に注目が集まった。少しでも早く、Jako1910選手の体力を減らしきりたいTredsred選手は「コイン」を使用して5/4のミニオン「墓荒し(断末魔でコインを得る)」をプレイ。即座に処理できないと判断したJako1910選手は「終末預言者(自分のターン開始時に全てのミニオンを破壊する)」で対応。0/7と高い体力を持つミニオンを盾に時間を稼いだ。
序盤からドローを進めていたJako1910選手は6ターン目にキーカードでもある「ソーサリアン皇帝(自分のターン終了時に手札のカードのマナコストを1下げる)」をプレイ。ダメージ呪文がなく、ダメージソースでもあるミニオンを使って処理するわけにもいかないTredsred選手は「昏倒(相手のミニオンを1体手札に戻す)」で対処するが、再度「ソーサリアン皇帝」をプレイされ、厳しい展開に。
Jako1910選手は場のミニオンからの攻撃を受けてしまうと敗北してしまうため、「フロストノヴァ」で敵ミニオンを凍らせつつ、攻撃呪文を手札に集める。最後は「アイスブロック」でTredsred選手の攻撃を捌きつつ2ターンをかけて「パイロブラスト(10点ダメージ)」と「ファイアーボール(6点ダメージ)」、「フロストボルト(3点ダメージ+凍結)」に「アイスランス(凍結した相手に4ダメージ)」全てをローグに撃ちこみ、Tredsred選手を撃破。Jako1910選手の優勝が決まった。
優勝したJako1910選手は「最後の試合は、勝利が見えたことで簡単なミスをしてしまった。こういうことがないように気をつけたい。アジア太平洋選手権では、絶対に優勝してBlizzconに行きます!」とコメント。日本代表として18歳のヒーローが世界へ羽ばたく姿に、ぜひとも注目したい。
(取材・文:ライター 間浩人)
■『Hearthstone』
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