“魔法乙女”と“魔法少女”という分かりやすいコラボレーションだが、これは一体どのような経緯で誕生したのか。ケイブの古川守氏と藁科禎之氏、さらに「魔法少女育成計画」の宣伝を担当するスロウカーブ・前川亮氏の3名にインタビューを実施し、その全貌を伺った。
株式会社ケイブ
ゴシックは魔法乙女 制作ディレクター
古川 守 氏(写真右)
プロモーション部 マーケティングディレクター
藁科 禎之 氏(写真左)
株式会社スロウカーブ
魔法少女育成計画 宣伝プロデューサー
前川 亮 氏(写真中央)
◼︎アニメ放送と同じタイミングで始まったコラボレーション
――本日はよろしくお願いします。今回は『ゴ魔乙』と『まほいく』のコラボレーションについてお話を聞かせていただければと思います。まずは皆さんが現在携わっている業務から教えてもらえますか。
古川氏:よろしくお願いします。私は『ゴ魔乙』の制作ディレクターとして、主にキャラクターやイベントの企画などを担当しています。
藁科氏:僕はケイブのコンテンツ全般でプロモーションを担当しています。現在は『ゴ魔乙』に注力しているところですね。
前川氏:私はスロウカーブという、コンテンツのプロデュースやプランニング、プロモーションなどを行う会社でアニメのプロモーションを担当しています。そして『まほいく』には、宣伝プロデューサーという形で参加しています。
――そもそも今回のコラボレーションはどんな内容になっているのか、あらためて教えてもらってもいいですか。
古川氏:『ゴ魔乙』はシューティングゲームであると同時にソーシャルゲームの要素も併せ持ったタイトルで、期間限定のイベントなども定期的に行っています。今回は『まほいく』とコラボレーションしたイベントを開催し、その中では「マジカルキャンディー」というアイテムを集めることで『まほいく』のキャラクターが手に入る仕組みになっています。キャラクターにはスノーホワイトやラ・ピュセル、リップル、カラミティ・メアリ、スイムスイムの5人が用意されています。イベント内のストーリーで『ゴ魔乙』キャラクターとの掛け合いが行われたり、限定の衣装が手に入ったりと、さまざまな楽しみが得られます。
さらに目玉としては、物語の中心人物である、東山奈央さん演じるスノーホワイトには『ゴ魔乙』ユーザーの中で評判の高い『DDPレーザー』という大人気ショットを実装しているんです!
藁科氏:最近では徳島県で行われたマチ★アソビにも参加しまして、製作委員会のひとつであるジェンコさんのブースでフライヤーを配布しました。『ゴ魔乙』ファンの方から声をかけられたり、面白い試みができたかなと思います。
――かなりボリュームのあるコラボレーションなんですね。
古川氏:シューティングでは重要なポイントでもあるステージBGMにも気を配っていまして、サウンドを担当した松本大輔が今回のコラボレーションのために、スノーホワイトをイメージして作った新曲を実装しています。こちらのBGMは『まほいく』の放送中に流れるCMにも使われているので、聞いてくれた方も多いと思います。
――コラボレーションが始まるきっかけとしては、どちらから声をかけたのでしょうか。
古川氏:ケイブ側からですね。『ゴ魔乙』は以前からさまざまなタイトルとコラボレーションを行ってきましたが、新たな展開を考えたとき、スタッフ内から『まほいく』の話が出たのが始まりでした。私自身もそこから原作を読んだところすぐにハマってしまって(笑)。しかも『ゴ魔乙』との世界観も非常にマッチしていましたし、「これはもうコラボしない選択肢はない」と思い、トントン拍子で話が進んでいきましたね。
――コラボレーションの話を聞いて、前川さんとしてはどんな印象を持ちましたか?
前川氏:私自身、以前はオンラインゲームの仕事に関わった経験があったのです。そのおかげもあって、ゲーム会社とアニメコンテンツサイドとの間に入ってコラボを実現させる機会がこれまでにもあり、ゲームに関する知識も持ち合わせていました。
そのため『まほいく』の宣伝を担当することになったときも「『ゴ魔乙』とコラボできたら面白そうだな」とは密かに思っていて、本当に話をいただいたときは驚きましたね。
藁科氏:実は以前から前川さんとは何度かお仕事をご一緒させていただいていて、それもスムーズに話が進んだ要因のひとつでした。『まほいく』とコラボしたいけど誰に話を持ちかけようか相談したときに、知っている人が宣伝担当になったわけですからね(笑)。
――かなり運命的というか、さまざまな縁があって実現したのですね。
前川氏:もちろん私の一存で決めることではなく、製作委員会の承認などは必要でした。でも相性が良いことは最初から感じていたことですね。
――CMも積極的に投下していますが、こちらの反響はいかがですか?
藁科氏:SNSなどでユーザーの声は注視していますが、コラボの予告をした段階から楽しみにしてくださっている方が多かった印象です。実際にアニメが始まったときも、ゲーム内のイベントを楽しみながら視聴する方が結構いたみたいです。また、CMを見たことでアプリをインストールするケースも多く見受けられました。これまでのコラボと比較しても、これだけの熱量は今までになかった規模です。
【TVCM】魔法少女育成計画 × ゴシックは魔法乙女 コラボ篇
――CMをはじめとした各コンテンツを制作する際にこだわった点はありますか?
藁科氏:世界観を崩さないことは絶対なので、スタッフ間でも慎重に制作していきました。サウンド担当のの松本に対しても世界観に合った楽曲を作っていただくよう、作品のイメージを想起できるものを集めてから音作りに着手していただきました。ほかにもキャラクターのモデルはもちろん、背景なども元々のイメージを大事にすることを特に意識して制作にとりかかっていただきしました。
古川氏:ゲームプレイ中に撃つショットもキャラクターの特徴に合わせて設定しています。その様子をCMでも見てもらい、原作やアニメのファンに対して愛着のあるキャラクターが使えることをアピールしているんです。『まほいく』には魅力的なキャラクターがたくさんいるので、本当は全員ショットを設定して実装したかったです。
――ボイスもイベント用にすべて録り下ろしたんですよね。
藁科氏:ええ。アニメにご出演されているキャストの方々が非常に豪華だということもあり、ゲーム内イベント、そしてアニメもさらに盛り上げ、ユーザーに楽しんでいただけるようにと考えた時、ボイスも当然必須になるだろうと考えました。
――前川さんや製作委員会側からは、なにか要望を出したのですか?
前川氏:作品の世界観に沿っていただくこと、イメージを壊さないことは大前提としてお願いしました。あとはネタバレにも細心の注意をはらいました。コラボレーションイベントが第1話放送とほぼ同じタイミングで、まだまだ話してはいけない部分がたくさんある状態です。放送が始まった今ですら、あまり言えることは多くないですから(笑)。
――これから物語が動き始めるタイミングですからね(笑)。
前川氏:『まほいく』は、ネタバレ要素の多い作品ですので、番宣時期にどこまで見せるかは悩んだところです。すべてを隠したままだとPRにはなりませんからね。
◼︎過去最大規模のコラボレーションに
――ゲームからアニメを知るだけでなく、アニメからゲームを始める人もいるかと思います。
藁科氏:そこも気を付けた部分のひとつで、極力万人受けする内容に仕上げようと考えました。ゲームとアニメ、どちらを入り口にしても双方を好きになってもらえることが目標でした。
前川氏:ファンの方の反響を確認すると、CMを見て『ゴ魔乙』を始めてみようと思った人もいるみたいです。ゲームをダウンロードするまでのハードルを下げることには一役買えたのかなと思っています。
――では、アクティブユーザーなどデータの面にも表れているのでしょうか。
藁科氏:まず新規ユーザーの流入数は想定の域を超えて多く、同じタイミングの継続率やDAUにも大きく寄与しています。また、ここ最近は離れていたユーザーが復帰するケースも見受けられますね。過去のコラボレーションと比較しても最高の結果が出ていて、当初目標としていた数字も、最初の3日間週間で達成しているくらいなんです。
前川氏:『まほいく』もスマートフォンアプリが物語を動かす題材となっているので、根本的なところで相性が良かったのかもしれませんね。アニメとゲームは元々近い関係にありますが、その中でも『まほいく』は特に親和性が高いと思いました。
――なるほど。ここまではアニメからゲームを知るパターンのお話でしたが、逆にゲームからアニメを知った人もいるのでしょうか。
藁科氏:ユーザーの反応を見る限り、少なからずいらっしゃいましたね。アニメの放送開始と同じタイミングでコラボレーションイベントがスタートしたのも、良い影響があったのだと思います。ただ、両作品の雰囲気が本当に似ていることもあって、『ゴ魔乙』のアニメが始まったと勘違いした方もいたみたいです(笑)。
――本当にお互いが良い影響を受けているんですね。
藁科氏:そうですね。良い影響が長く続くよう、コラボレーションイベントの実施期間も約1ヶ月間と、既存のイベントよりも長めに設定しています。上級者の方であればサクサク進めると思いますが、『まほいく』から入った方でもゆっくり楽しめます。
――わかりました。それでは最後に、両作品のファンにメッセージがあればお願いします。
古川氏:アニメから『ゴ魔乙』を知っていただいたまほいくファンの方にもぜひ遊んでもらいたいです。シューティングを難しそうと感じる方もいるかもしれませんが、本作は簡単で遊びやすい作品なので、ぜひこの機会に触れてみてください。
藁科氏:まずは『まほいく』とのコラボレーションを楽しんでいただきつつ、アニメもぜひご覧いただければと思います。今後も面白いコンテンツを届けてまいりますのでご期待ください。
前川氏:コラボレーションの影響でゲームが盛り上がっているのは、私としてもとても嬉しいことで、やってよかったと思います。ゲームをプレイしたら、その後はアニメの方も楽しんでいただけたらと思います。
――ありがとうございました。
(取材・文:ライター ユマ)
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(C)2015 CAVE Interactive CO., LTD.
(C) 2016 遠藤浅蜊・宝島社/まほいく
会社情報
- 会社名
- 株式会社ケイブ
- 設立
- 1994年6月
- 代表者
- 代表取締役社長 秋田 英好/代表取締役CFO 伊藤 裕章
- 決算期
- 5月
- 直近業績
- 売上高122億7400万円、営業利益18億7000万円、経常利益19億4300万円、最終利益14億4100万円(2024年5月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3760