ケイブ<3760>は、7月14日、アナリスト向けの決算説明会資料を開示した。同社では、2012年5月の業績について、売上高33億円(前期比8.0%増)、経常利益3億円(同41.1%減)、当期純利益1億8000万円(同58.6%減)と、減益になる見通しとしているが、どういった事業展開にする方針なのか。開示された決算説明会資料から、今後の方針をまとめてみた。
同社では、今期(2012年5月期)については来期以降の成長を見据えた「投資」の年としている。前期(2011年5月期)は、ソーシャルゲーム事業を中心とした事業構造への転換期であり、来期は投資の収穫期=成長期としている。
では、今期はどういった投資を行うのか。そのキーワードとして、「スマホ対応」「ソーシャル要素」「ブランド創造」をあげ、看板タイトル「しろつく」をアプリ単体での収益だけでなく、事業ととらえて拡大を図るほか、新ブランドや、他ジャンルタイトルへのソーシャル要素の導入を通じて、新しい収益を生み出せる体制を確立するとのこと。
■「しろつく」事業について
主力の「しろつく」については、すでに会員数が300万人を突破し、スマホ・ブラウザ版の会員・売り上げは伸びているという。iOS版「しろつく」の開発や、「Mobage」版への対応のほか、イベントやライツ化、コレクションカードの販売、タイアップ広告など会員数と認知度を活かした事業を展開していく。スマホ版のガラケー版との比率は約10%となっている模様。
「しろつく」のコレクションカードは、第0弾は2万パックを完売し、第1弾は8月出荷予定で、12万パックの受注が完了した。アニメ化やノベルの発売も決定。リアルイベントやタイアップ広告で注目を集めた同タイトルだが、同社も指摘するように大きな広がりを見せている。
このほか、ソーシャルゲーム事業として、「北斗の拳」が会員数が56万人。カードバトルの仕組みを徹底して導入し、ARPUは増加傾向にあるようだ。また「シムシティ」については、引き続き高い継続率であり、今後、ARPUを高めるためのイベント機能を追加して効果を見るとしている。
また興味深い点として、今後の開発コンセプトをあげており、
(1)パターン化したゲームモデル・・・競合が多いが当れば大きい。
(2)オリジナルでゲームモデルを開発・・・難易度が高いが作れれば利益が大きく長い。
(3)ブランドタイアップ・・・利益は減るが、集客をリスクヘッジ
と分類したうえで、「勝つための条件」として、「当たり前の工夫をもれなくやる」、「低コスト・短期間で立ち上げる」、「スマホ対応」をあげている。コンセプトの組み合わせと勝つための条件を徹底し、年間5本程度を制作していく予定。
■スマートフォン対応について
スマートフォン対応について、同社では、ガラケーの半数を超えるのは数年以内と見込んでいるという。国内スマートフォンでも収益化が見えてきた状況で、日本語と英語には必ず対応している。今後は開発要員の増強を図りつつ、スマホにおけるアイテム課金モデルを早急に確立し、売上利益を拡大させる方針。
現在、シューティングゲーム2タイトルと、しろつく(海外対応含む)、紙芝居部、Facebookアプリ、オンラインMMOの6タイトルを開発している模様。さらっと触れているが、スマートフォン版「Facebook」がオープン化するなどといわれているが、それに合わせた対応なのだろう。
■海外対応について
海外対応については「Facebook」ゲームとして、7月中旬に3D競馬シミュレーションゲーム「ダービークラシックス」を7月中旬にもリリースする予定。このほか、OpenFeintを活用したスマートフォンアプリや海外社名をCAVE Interactive CO.,LTD.に変更すること、海外向けのHPのリニューアルも行っているという。
■位置情報プラットフォーム
注目されるのは、位置情報プラットフォームであろう。コンセプトは、位置情報とゲームを連動させるコミュニティー機能で、位置情報と集客による広告売上が収益モデルになる。2012年初頭のリリースを目指しており、システム開発と平行してタイアップ広告の獲得や位置情報プラットフォームで展開できサービス開発も同時に行っていくとしている。どのような内容になるのか、明らかでない部分が多いが、この点も興味深い。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ケイブ
- 設立
- 1994年6月
- 代表者
- 代表取締役社長 秋田 英好/代表取締役CFO 伊藤 裕章
- 決算期
- 5月
- 直近業績
- 売上高122億7400万円、営業利益18億7000万円、経常利益19億4300万円、最終利益14億4100万円(2024年5月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3760