薄くて静かでハイパワー、NVIDIAのゲーミングノートPCに革命を行った新アプローチ「MAX-Q」に迫る


NVIDIAは、6月9日、東京都内において、ゲーミングノートPCのデザインアプローチとなるMax-Qのプレスブリーフィングを行った。

ブリーフィングでは、同社のアジア太平洋地域担当テクニカルマーケティングディレクターであるジェフ・イェン氏(写真)が登壇し、Max-Qについて説明した。

本稿ではそのプレスブリーフィングに関してお届けする。


■聞きなれない言葉「Max-Q」とは?

まず結論から言ってしまうと「Max-Q」はハイパワーな上に、より軽く、より薄いゲーミングノートPCを作るために、ハードウェアとソフトウェアを効率的に利用するためのソリューションと考えていいだろう。

ゲーミングノートPCというと非常にハイパワーであるがゆえに、熱処理の問題などで筐体は熱く重くなってしまうが、Max-Qというソリューションを取り入れることで、前世代の製品と比較して厚さは3分の1、パフォーマンスは最大3倍のノートブックをOEM が構築できるようにしている。
そして、実際に完成したのは、厚さ18ミリでMacBook Airと同じくらい薄く、ゲーミングパフォーマンスは、現在提供されているプラットフォームよりも最大70%高い、ハイパフォーマンスなゲーミングプラットフォームになったという。

では、更に詳細を追っていこう。
ジェフ氏いわく、MAX-Qで重要なことは、ピークパフォーマンスではなく、効率のピークだという。上記の図でもわかるようにある一定パワーのラインを超えると、パフォーマンスの増加の割合は低くなり、効率が悪い。
もう一つの図を見てみよう。Peak Efficiency(効率のピーク)という緑のポイントがあるが、パワーを上げれば挙げるほど、このポイントまではパフォーマンスが上がるが、ここを起点に急激に下がっていくのだ。

つまり「Max-Q」においては、この緑のポイントをピークの効率を重視した設計なのだという。これによって消費電力を抑えることができ、それがハードウェアの薄さや軽さ、そしてファンの回転などで発生するノイズを抑えることで静音性に繋がっていくということになる。

ただし、このポイントがわかったからといってそれを反映するにはかなりの苦労があっただろう。設計においては、"各パートナーとの協力"があってこそという話をしきりにしていたのが印象的だ。
熱が出れば出るほど、それを抑えるためにファンの回転数が上がり、かなり耳障りな状態となる。

上記の図からMax-Qを用いることで、騒音レベルを40dbまで抑えることが、それがバッテリーの保ちにもつながっている。
静音への対策はこれだけにとどまらない。今回ウィスパーモードというパフォーマンスを下げずにノイズレベルを下げる機能を新たに盛り込んでいる。

例えば『オーバーウォッチ』のような絶えずゲームでは60fps、『ウィッチャー』では30fpsとったように、この機能は、ゲームによってクロックを減少させることなくフレームレートを最適化するというものだ。現在400タイトル以上のゲームのカスタマイズがされている。

なお、Geforceが搭載されているノートPCのほとんど使用できるこの機能は近日中に公開予定だという。
 
同社の究極目的として挙げているのは、「できるだけ薄く、静かなものを作る」ということで、Max-Qはそのゴールに対してハードウェア・ソフトウェア両面からのアプローチとなる。
 

実際に「Max-Q」で設計されGTX1080が搭載されたPCを見てみた。筐体は非常に薄く、この薄さにあのハイエンドGPUが乗っていると思えないほど薄かった。(写真)

なお、質疑応答では「Max-Q」でのVR上の動作について質問が飛んだ。性能と処理のバランスを取る動きをする「Max-Q」では問題ないかという点について、VR機器は問題なく動くのか?という内容だ。

これに関して、ジェフ氏は実際に実機を使ってVRのデモを行ったが、問題なく動いており、今のところ課題は感じていないと、安心できる回答を行っていた。

昨今の同社はAIや自動運転といった様々な分野での活躍がめざましく、謎の半導体メーカーともされているが、今回400タイトル以上のゲームのプロファイルを制作するなどゲームの領域でもまだまだ健在という印象だ。

もちろん、GPUはゲーム以外のVRや、動画のエンコード、Photoshopといったジャンルでの活用もできるため、簡単に持ち運べる薄型ノートPCにおいて、様々な可能性に期待できる発表となった。

 
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