【マイネット決算説明会】7~9月期は増収・黒字転換 上原社長「既存タイトルの成長で売上を伸ばした」 踊り場脱し来期に向けた「攻め」の局面に



マイネット<3928>は、11月14日、第3四半期(1~9月)の決算説明会を東京都内で開催した。前日に発表した決算は、売上高88億8300万円(前年同期比2.0倍)、営業利益3億2800万円(同63.1%増)、経常利益2億9400万円(同53.0%増)、四半期純損益1億3400万円の赤字(前年同期1億6400万円の黒字)と増収・営業増益となった。

また、第3四半期会計期間(7~9月)の業績は、売上高30億6300万円(前四半期比[QonQ]で4.8%増)、営業利益1億1600万円(前四半期は3600万円の赤字)、経常利益1億0500万円(同4400万円の赤字)、最終利益4300万円(同2億7500万円の赤字)となり、QonQでは増収・黒字転換を達成した。売上高は四半期ベースとして過去最高を更新した。

説明会に臨んだ上原仁社長(写真)は、「新たなタイトルの買い入れを行わなかったが、既存タイトルを成長させることで、売上を伸ばすことができた」と振り返った。前四半期で苦戦したタイトルの改修を行い、回復・成長させたとのことだった。一時的な踊り場となった前四半期だが、財務基盤も安定化し、再び「攻め」の方針に舵を切る。


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■第3四半期はQonQで増収・営業黒字に 既存タイトル復調

まず、第2四半期(4~6月)を振り返ろう。売上高はQonQで0.8%増の29億2000万円だった。『モンスターギアバーサス』など仕入れた5タイトルが収益に貢献した。増収となったものの、営業損益については3600万円の赤字となった。リスタートに伴う投資・費用がかさんだことや、一部タイトルで施策ロスなどが発生し、売上が大幅に低下したという。
 


続く第3四半期(7~9月)の売上高は、QonQで4.8%増の30億6300万円だった。増収はタイトルの仕入れに伴う売上増ではなく、既存タイトルの運営成績が復調したことによる。営業損益も3600万円の赤字から1億1600万円の黒字に転換した。落ち込んだタイトルの復調に加え、第2四半期に仕入れたタイトルのコスト抑制も奏功した。

また、減価償却費が減少したことも利益改善要因となった。第2四半期に減損したタイトルがあったほか、1タイトルの減価償却が完了したとのこと。同社では、仕入れたタイトルについては原則、24カ月で償却しているとのことだが、これから2015年に仕入れたタイトルの減価償却が順次、完了することになるという。
 


償却費に関連して、買取タイトルの回収実績も公表した。年次別では2014年と2015年に仕入れたタイトルの回収が完了し、回収率はそれぞれ219%、134%だった。2016年と2017年のタイトルが回収途中にある。また案件ベースの実績も公表され、ポケラボタイトルは想定より早く完了し、回収率162%だった。クルーズは33%だが、順調に回収が進んでいるという。
 


なお、財務基盤については、引き続き「盤石」であるとした。借入金5億円の返済を行い、自己資本比率を78%に引き上げる一方、金融機関からの当座貸越の融資枠の増強を行い、大型の買取などの際にも機動的に資金調達ができる体制を整えた。2018年12月期に向けた「攻め」の財務基盤の構築を行ったとのこと。
 


 
■上流工程に向かう仕入れ

すでに発表されていることだが、仕入れについても徐々に「上流工程」に向かっている。かつては一定期間運営し、売上の落ちてきたゲームアプリなどを買い取り、付加価値を追加して再成長や売上低下の逓減、あるいは運営の効率化で収益を出してきたが、より早い段階から買い取りや協力などを行い、より高収益を目指していく方針だ。
 


その一つが再設計型とよばれるものだ。利益成長の潜在力は高いが低迷しているタイトルを買い取り、これまで培った再設計ノウハウでゲーム構造に手を入れて回復させるタイプである。二つ目は、リリース前の段階からメーカーに協力し、同社の運営ノウハウを注入することで高収益を狙う「サービス構築型」がある。

「再設計型」についてはすでに事例が出ているとのこと。第1弾は海外版の開発も平行して行い、直近では10月に売上が大きく伸びたようだ。海外展開で実績のあるシリコンスタジオのメンバーが加わったことで、海外版の開発も順調に進んだという。第4四半期の収益に貢献する見通し。第2弾については一時回復したが、再度低下した。
 


また「サービス構築型」は引き合いも順調のようだ。スマートフォンゲーム市場は成熟化し、いわゆる寡占化が進んでいる。2年、3年かけて開発しタイトルがわずか3ヶ月で終了してしまうケースも珍しくない。こうしたなか、37タイトルを運用し、運用に関してノウハウとデータを持つ同社への引き合いは強いようである。

また、今年に入って2015年頃に開発を始めたタイトルがリリースされているが、開発ラインを増やす会社や、新作開発を始める会社が出ている。リソースや資金を確保するために、タイトルの売買が再び活発になっているそうだ。追い風になりそうだが、ここで直近行った財務基盤の強化が生きてくることになるだろう。

なお、2017年12月期通期の業績予想については、レンジ形式で開示しており、売上高119億~120億円(前期比75.0~76.4%増)、営業利益4億6000万~5億1000万円(同8.2%減~1.8%増)、経常利益3億5000万~4億円(同14.8%~2.7%減)、当期純利益2000万円~6000万円(前期は8億8200万円)としている。
株式会社マイネット
http://mynet.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社マイネット
設立
2006年7月
代表者
代表取締役社長CEO 岩城 農
決算期
12月
直近業績
売上高87億1700万円、営業利益1億6800万円、経常利益1億2500万円、最終利益1億4300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3928
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