【DeNA決算説明会】『逆転オセロニア』が10億円タイトルに成長 3Qも広告宣伝費投じ成長見込む 『どうぶつの森』は予想に織り込まず



ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、11月9日、第2四半期累計(4~9月)の決算発表を行うとともに、東京都内で決算説明会を開催した。説明会に先立ち発表された2018年3月期の第1四半期(4~6月)の連結決算(IFRS)は、売上収益733億円(前年同期比4.2%減)、営業利益136億円(同10.3%減)、最終利益103億円(同7.9%減)となった。

第2四半期(7~9月)に限定すると、売上収益369億円(前四半期比[QonQ]1%増)、営業利益73億円(同14%増)、Non-GAAP営業利益72億円(同3%減)、最終利益50億円(同6%減)となった。横浜DeNAベイスターズを中心とするスポーツ事業を除くと、売上収益307億円(同2%増)、Non-GAAP営業利益51億円(同2%減)となる。

決算説明会に臨んだ守安功社長(写真)は、第2四半期の決算について「売上収益が予想に比べて若干のプラス、営業利益は若干のマイナスとなったが、第1四半期との比較ではほぼ横ばいとなった。想定の範囲内」と総括した。落ち着いた決算だったが、『逆転オセロニア』の月商10億円超えや、横浜DeNAベイスターズの日本シリーズ進出、『SHOWROOM』で一部単月黒字化など明るさのみられた決算だった。

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■第2四半期はほぼ横ばい 広告宣伝費を増額

まず、前四半期(4~6月)から振り返ると、売上収益はQonQで4%増の365億円、Non-GAAP営業利益は同27%増の74億円となった。これはプロ野球のシーズンインとともにスポーツ事業の収益が伸びたことによるもので、スポーツ事業を除くと、売上収益は前四半期比11%減、Non-GAAP営業利益は28%減となった。主力のゲーム事業で『ファイアーエムブレムヒーローズ』の好調だった前の四半期の反動などが出たという。
 


今回発表となった第2四半期(7~9月)の業績は、売上収益がQonQで1%増の369億円、Non-GAAP営業利益は同3%減の72億円、スポーツ事業を除くNon-GAAP営業利益は2%減の51億円だった。セグメント別に見ると変動があったものの、全体としては、前四半期からほぼ横ばいであったといっていいだろう。
 


セグメント別に見ると、主力のゲーム事業のセグメント利益が17%減の61億円と低下した。これは、同社のオリジナルタイトル『逆転オセロニア』の広告宣伝費を増やしたことによる。「会社全体として毎四半期30億円弱の広告宣伝費を投じているが、この四半期は通常に比べて投下した(33億円)」とのこと。ゲーム運営の強化に伴い、外注費なども増えた。
 


広告宣伝費の増加に伴い、『逆転オセロニア』は月商10億円を超える月が出てきたことも明らかになった。「リリース直後は評判が良かったが、継続率が想定より低かった。その後、改善を行い、継続率は納得いくレベルになった段階で、テレビCMを放映し、新しいユーザーの獲得が進み、アクティブユーザー数と売上が伸びた。山を作りながら右肩上がりに成長している」。
 



他方、EC事業の収益が回復した。前四半期の5億円の赤字から4億円の黒字に転じた。前四半期においては、過年度の決算で一部原価の計上漏れがあり、決算修正を行ったとのこと。特にトラベルの取扱高が伸びているそうだ。売上は伸び悩んでいるが、LCCなど単価の低い案件が伸びており、売上にはつながりづらい状況にあるとした。

▲前四半期に昨年度以前のDeNAトラベルの一部取引に係る原価計上漏れの修正を行ったことにより、営業赤字となったが、この四半期はプラスとなった。


 
■第3四半期の見通し

第3四半期は、売上収益333億円(QonQ9.7%減)、営業利益31億円(同57.5%減)、Non-GAAP営業利益33億円(同54%減)と大幅な減益を見込む。これはプロ野球がシーズンオフとなり、スポーツ事業の収益が大きく減るためだ。スポーツ事業を除いた業績は、売上収益320億円(同4.2%増)、営業収益50億円(同1%減)とほぼ横ばいを見込んでいるとのこと。
 


スポーツを除く売上収益が増える見通しだが、これは主力のゲーム事業の収益の伸びを見込んでいるためだ。『逆転オセロニア』など既存タイトルのコイン消費が増加する。年度末から年始にかけてのスマートフォンゲームの収益がピークとなる。広告宣伝費も第2四半期よりも増やすため、営業利益については横ばいとなる見通しだ。

なお、任天堂との協業タイトル『どうぶつの森ポケットキャンプ』については11月下旬にリリースする予定だ。先行してオーストラリアで配信されているが、『どうぶつの森』の世界観がきちんと表現されているとのコメントがあるなど総じて評価が高いという。ただ、業績への影響は織り込んでいないとのことで、第3四半期の上ブレ要因となる可能性がある。

また、ベイスターズが第3四半期中にクライマックスシリーズと日本シリーズに進出したが、その影響についてはほとんどないとのこと。というのは、クライマックスシリーズ(CS)は3位なのでホーム開催できなかったこと、日本シリーズは日本プロ野球機構の主催試合となるため、通常の試合と違って業績に大きな影響を与えるものではないとのことだった。
 
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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