【イグニス決算説明会】前期は利益の大半を今後の成長に向けた事業投資に振り分け 最新作『GK』は「『ぼくドラ』と同じ規模感」(銭錕社長)で開発中


イグニス<3689>は、11月14日、東京都内で2017年9月期の連結決算の決算説明会を開催した。決算説明会に先立ち、11月13日に発表された2017年9月期の決算は、売上高55億7700万円(前々期比0.1%減)、営業利益8300万円(同94.3%減)、経常利益7100万円(同95.1%減)、当期純損益3500万円の赤字(前々期10億8700万円の黒字)となった。

決算説明会では、同社の銭錕(センコン)社長がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。その内容も踏まえつつ、業績数字の内容を中心に会見の様子をまとめてみた。
 

■2017年9月期は利益の大半を投資に振り分け


まずは業績を四半期推移(QonQ)で見ると、売上高は前四半期比14.7%増の14億6800万円、営業損益は4000万円の赤字(前四半期7100万円の赤字)、経常損益は4100万円の赤字(同7200万円の赤字)、四半期純損益5600万円の赤字(同8100万円の赤字)となった。

利益については、2018年9月期をさらなる成長を目指した事業投資の年として、もともと先行投資を行う予定としていただけに通期での黒字を確保しつつ着実に投資を行った結果と言えそうだ。
 

実際に2017年9月期通期の売上高と営業利益の前々期との増減要因を見てみると、売上高についてはネイティブゲームの経年減少分をコミュニティの増加分で補い、ほぼ横ばいでの着地となっている。

一方、利益面については、新プロダクト・新規事業の開発・立上げに向けた研究開発費の増加や、婚活サービス「with」を中心とした広告宣伝費の増加、オフィスの増床などで販管費が前々期比で約12億円増加する形となっており、利益の大半を投資に振り分けたことを見て取ることができる。
 

 

■「ライフハック事業」と「VR事業」の成長の芽


では、その新プロダクト・新規事業の芽はいつごろから出始めると同社はみているのかだが、2018年9月期には「ライフハック事業」と「VR事業」の芽が出始めるとみているようだ。
 

「ライフハック事業」は、子会社mellowが手掛ける「TLUNCH(トランチ)」サービスの引き合いが徐々に強まってきており、「プラスのスパイラルに入ってきた」(銭錕社長)とのことだ。
 

また、「VR事業」は「子会社パルスのいくつかのプロジェクトが今期市場に登場して売り上げに貢献してくると考えている」(同)という。複数のプロジェクトを推進中であり、現在は認知症予防など「VR×医療プロジェクト」や「VR×アイドルプロジェクト」が動きとして明らかになっているが、今後の動向に注目しておきたい。
 

 

■最新作『GK』の開発が大詰めに 「開発の規模感は『ぼくドラ』と同じ」(銭錕社長)


主力のネイティブゲームについては、最新作となる3Dアクションゲーム『GK』の開発が大詰めに入っている。リリース時期は未定としているが、「開発の規模感は『ぼくドラ』と同じ」(同)としており、大きな期待がかかっているようだ。
 

なお、2018年9月期通期の予想は、売上高予想のみを開示しており、前期比25.5%増の70億円を見込んでいる。70億円の内訳については、『ぼくとドラゴン』などネイティブゲームが40億円とほぼ横ばい、婚活サービス「with」などコミュニティサービスが20億円と前期の倍以上、その他の複数の事業で10億円という前提になっているとのこと。
 
 

■まとめ


主力タイトルの『ぼくドラ』は、リリースして2年半が経ち、さすがに売り上げが減少してきているものの、コミュニティサービスの「with」や「ライフハック事業」などストック型の事業がこの1年で伸びてきたことを会社側では評価していた。

新作『GK』は大きな変動要素となってくるが、ストック型事業の展開によるリスクヘッジができつつあることは素直に評価したいところだ。
 
(編集部:柴田正之)


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株式会社イグニス
http://1923.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社イグニス
設立
2010年5月
代表者
代表取締役社長 銭 錕(センコン)/代表取締役CTO 鈴木 貴明
決算期
9月
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