【インタビュー】スマホゲームに新しい体験を…アメージング『ビーナスイレブンびびっど!』がPCプラットフォーム「AndApp」へ参画した舞台裏に迫る


 
アメージングは2017年8月、同社が配信するスマートフォンアプリ『ビーナスイレブンびびっど!』を、ディー・エヌ・エーが運営するプラットフォーム「AndApp」での提供を開始した。AndAppは“スマホアプリをPCで遊べるプラットフォーム”としてスタートし、今では『アイドルマスターシンデレラガールズ』や『メルクストーリア』など人気タイトルも多数参画している。スマートフォンで着実に成長していた『ビーナスイレブンびびっど!』にとっても、大きな挑戦と言える展開だ。
 
今回アメージングで名物広報として活躍するアメージングマシン・ドス(写真左)と、ディー・エヌ・エーでAndAppの運営に携わる深井氏(写真中央)、萱島氏(写真右)にインタビューを実施。『ビーナスイレブンびびっど!』がAndAppで配信されることになった背景に迫った。
 

■AndAppはやりたいことに寄り添ってくれる

 
――まずは皆さんがご担当されている分野について教えてください。
 
アメージングマシン・ドス(以下、ドス):
全国200万人『ビーナス』シリーズファン皆さんこんにちは!


覆面広報のアメージングマシン・ドスです!普段は大阪の小さなソフトハウス「アメージング」で、広報を担当しています!今日は特別にディー・エヌ・エーさんをお伺いすることができて、とても興奮しています!
 

――会議室で騒ぐのは止めてもらえますか(笑)。お二方もよろしくお願いします。

深井氏(以下、深井):(笑)。ディー・エヌ・エーの深井と申します。まずはAndAppで『ビーナスイレブンびびっど!』を楽しんで頂いているユーザーの皆様、本当にありがとうございます。喜んで頂けてとても嬉しく思っています。私はAndAppのタイトル獲得業務に携わっており、リリースまでの調整や、サポートなどを行っています。
 
萱島氏(以下、萱島):ディー・エヌ・エーの萱島(かやしま)と申します。AndAppではプロモーション周りに携わっており、どうやったらプラットフォームをより知って頂けるか、新規のユーザーさんにサービスを触って頂けるかを考えています。

 

――今回はAndAppに参画した『ビーナスイレブンびびっど!』についてお話を伺いたいのですが、まずは本作がどんなゲームか、あらためて教えてもらえますか。
 
ドス:『ビーナスイレブンびびっど!』は2015年の11月にリリースした、美少女育成サッカーシミュレーションゲームです。作中には400人以上の美少女選手が登場、チームを結成し、試合を重ねていきます。試合は自分自身で操作するマニュアルモードと、オートで進行するセミオートモードがあり、サッカーに詳しくない人でも遊べるようになっています。

また試合だけでなく、選手の育成、クラブの経営といったやり込み要素もあり、コアゲームが好きな人にも楽しんでいただけます。「ここまで無料でも遊べるの?!」となるくらい、遊びがいのあるゲームです。
 



 
――そんな『ビーナスイレブンびびっど!』がAndAppに参画することになったきっかけはなんだったのですか?
 
ドス:実は、本作の企画立ち上げ最初期にはPCブラウザゲームとしての企画の時期があったんです。弊社の代表も以前から「PC向けのシミュレーションゲームを出したい」との考えを持っていました。そんな本作にとってAndAppの存在は渡りに船だったというわけです。

技術的な面での障害も少なく、さらにSDKやAPIをディー・エヌ・エーさんがご用意してくれたことで、簡単に組み込むことができ、想定よりもはやくリリースすることができました。
 
深井: AndAppの初期から提案は進めており、前向きに話を進めさせて頂いておりました。とはいえ、工数に実際どれぐらいかかるかは余裕をもって想定しており正直リリースは先になるかと考えておりました。

そんなとき、突然AndAppのTwitterアカウントを『ビーナスイレブンびびっど!』公式アカウントがフォローしてくれて、それとほぼ同じタイミングでアプリの申請が上がってきたんです。すぐに丸永社長に連絡しましたところ「サプライズです!」と(笑)。まさにアメージングな対応で、印象的でした。
 
ドス:「アメージング」という社名通り、サプライズとしてご連絡させていただきました。弊社代表もそういったことが好きなんです(笑)。

 


――ディー・エヌ・エーさんとしては、『ビーナスイレブンびびっど!』とAndAppの相性の良さは感じていたのですか?
 
深井:シミュレーションゲームはPCとの相性もいいですし、セミオートでサクサクプレイできるのも魅力的でした。
 
ドス:ボクはどちらかというと、美少女ゲームである点が魅力的に映ったのかと思っていました(笑)。AndAppというお店のラインナップを見たとき、カードゲームやコアゲームがある中で、美少女ゲームも揃えたい、といったところで注目されたのかなと。

 

――ではアメージングさんから見たAndAppと相性が良さそうだと感じるジャンルなどはありますか?
 
ドス:ワンプレイに時間のかかるゲームは間違いなく相性が良いです。またスマートフォンのバッテリーを消費するゲームも、PCで遊べるとなれば重宝するでしょうね。特に弊社のアプリの場合は登場キャラクター分ボイスも実装していて容量も大きく、高負荷の処理がある箇所ではバッテリーを消費しがちでした。

その意味でもAndAppで展開できたことはとても良かったと感じています。パケット代や電池使用量などユーザーの負担が減ることで、ゲームを楽しみたい人にとってより良い環境になると思うのですが、その環境が揃っているのがAndAppだと思っています。

 

――アメージングさんがAndAppへ参画するに至った、最大の決め手となったのはなんでしょう。
 
ドス:もともとPCでの展開を考えていたこともあって、技術検証しているうちにAndApp版ができあがったイメージで、ボクたちが想像していたより遥かに負担が少なく開発できたんです。また、弊社は以前からマルチプラットフォーム展開をしていて、これまでにも楽天アプリ市場さんやアマゾンアプリストアさんでもリリースしていました。既存ユーザーの競合と考えず、顧客へのリーチを増やすという意味でも積極的でした。
 

――スマートフォンアプリをPCでリリースするに当たり、開発で意識することはありましたか?
 
ドス:特別意識することは少なかったですね。もともと『ビーナスイレブンびびっど!』が横画面で遊ぶ作品だったこともあり、PCだからと身構えることもなかったです。
 

――導入する際、ディー・エヌ・エーさんからの支援はあったのですか?
 
ドス:基本的なドキュメントも充実していますし、実行環境も整っていましたので、詰まったところだけをディー・エヌ・エーさんに聞けばいいという感覚でした。実際に開発を行う弊社プログラマーも非常にスムーズに開発を進めることができていました。
 
深井:テクニカルコンサルを担当するスタッフがいまして、開発周りに関してお問い合わせ頂いた際に、ご不明な点はすぐに対応できる環境を整えています。弊社サービスの特徴の1つだと思いますね。
 

ドス:AndAppはMobage時代から運営の大変さを知っている人が設計している背景もあってか、ボクたちがやりたいことに寄り添ってくれる印象がありました。
 
深井:導入に関してはスムーズでしたので、どちらかというとリリース後にスマートフォンとPCで併用して遊んでもらうための施策をどうするかについて話し合う時間を多くとることができました。いくつか施策について弊社からご提案し、実際にゲーム内で採用頂いています。

 

――導入に当たって、セキュリティ面で検案することはありましたか?
 
ドス:一般的なツールを使っており、ボクたちくらいの規模のデベロッパーでも問題ない工数で対応できました。Androidをはじめとしたスマートフォン端末と変わらない感覚ですし、さらに言えばこれまでに得たノウハウも充分に活かせます。
 

――実際にAndAppからリリースしての反響はいかがでしたか?
 

萱島:Twitterでユーザーさんの反応を見ていると、AndAppの中でも一際好評という感触がありました。大画面で好きなキャラクターを見れること、よりサクサクとゲームをプレイできるようになったことは特に高い評価を得ていました。また本作はサッカーゲームということもあって、「サッカーの試合を観戦している気分になる」という意見もあり、とても印象に残っています。
 
ドス:ユーザーさんの中にはAndAppの名前を初めて知った人もいて、知名度アップに貢献できたのかなと思います。PCを普段から使う人は情報の発信力も高く、AndAppへの展開によって、そんな濃いユーザーさんがいち早く反応し、味方につけることができたと嬉しく感じています。

PCでウィンドウを2つ出して生放送を観ながらゲームをしていたり、くつろいだ状態でプレイしてくれているようです。AndAppが想定しているゲーム好きがゲームを遊ぶペルソナに、ビーナスイレブンユーザーがうまく合致したのだと思います。


 

■『ビーナスイレブンびびっど!』は永久に終わらないアプリを目指す

 
――ビジネスの視点で、KPIなどに変化はありましたか?
 
ドス:具体的な数字は明かせませんが、想定より売れた手応えがあるのは確かです。面が増えたことで既存ユーザーが競合状態になる可能性もありましたが、アプリ側含め全体で上手く底上げができています。DAUに関しても、PCがあることでユーザーのライフスタイルに上手く入り込み、離脱を防ぐという意味合いでも弊社のタイトルの場合はかなりプラスに寄与しています。AndApp側のプラットフォームとしての施策も含め、トータルでユーザーの行動に良い影響があったと思います。
 

――AndAppでプレイするユーザー層に、これまでとの変化は感じますか?
 
ドス:それも8月にリリースしたばかりなので確定的ではないですが、熱心にプレイする人、例えばTwitterでゲームに関する発言をするような人は、PCでも遊んでいただいているようです。ゲームがコア寄りなことも幸いして、もともと存在するユーザー層との相性も良かったんだと思います。
 

――新規ユーザーの獲得という意味ではどうですか?
 
萱島:半分が新規、半分が既存のユーザーさんですね。AndAppで展開したことで、スマートフォンではアプローチできないより幅広い層にプロモーションが可能になりました。また、AndAppは会員登録不要のプラットフォームですので、広告を見て気になった人がすぐにそのゲームを始めやすい環境にあることも要素として大きいと思います。
 


――幅広いプロモーションというと、PCゲームならではのプロモーションというものも存在するのですか?
 
萱島:そうですね、スマートフォン側と傾向が異なるケースも多く、まずはどんなクリエイティブが刺さるのかを探るところからスタートしましたね。


今回ゲームのジャンルが「美少女×スポーツ」でしたのでキャラクター推しだったり、サッカー推しだったり、さまざまな試行錯誤をしました。キャラクターだけを見ても、コスチューム別で作るなどいろいろな策を考えました。そしてそれぞれの効果検証をしていったという形です。その中ではサッカー推しの広告は反応が良かった印象です。
 
ドス:スマートフォン側の効果検証結果とは異なる傾向だったので、プロモーション視点でも新しい発見でした。

 

――プロモーションといえば事前登録も行ったと思います。こちらの反響についても教えてください。
 

深井:AndAppの事前登録は2種類の方法がありまして、AndAppクライアントをインストールしていただくのと、公式Twitterをフォローしていただくやり方です。PC版リリースにあたり、強めのインセンティブをアメージング様にご用意頂いたのですが、惹きも強く今回は特にそちらが初動で効果を発揮しました。
 
ドス:PC版『ビーナスイレブンびびっど!』のインストールによって、ガチャができる「ビーナスハート」を10連ガチャ1回分配布しまして、これが特に既存のユーザーさんへの強い魅力となったようです。そのおかげもあってAndAppのランキングでは2位まで上昇して、かなりの効果を実感しました。
 
萱島:リリース後も10連ガチャ1回分のビーナスハートだけでなく、PC版限定ログインボーナスやスマートフォンとPCの連携ミッション導入など、ユーザーがPC版を始めやすい土壌づくりをアメージング様と一緒に進められたかなと思います。ゲーム内施策に関してはゲーム会社様側のご協力あってのことですので、ご実施頂き非常に有難かったです。

 

――AndAppとしては、今後どのような施策を展開していこうと考えていますか?
 
深井:アメージングさんもAndAppを盛り上げる施策として考えていただいており、我々としても一緒に新しい体験を提供できるよう企画を考えています。先日にはAndApp専用のユニフォームを配信しました。次はAndApp専用のパックの販売や企画もできると嬉しいのですが、ドスさんいかがでしょう!?
 
ドス:まだ決まっていないことですけど…(笑)。…わかりました!やりましょう!対談記念ということで(笑)。


▲不意にロックアップ(※レスラーがリング上で交わす組手)をとるドス氏と深井氏。
 

――会議室で暴れるのは止めてもらえますか(笑)。…とにかく、AndAppと絡めたキャンペーンも随時行っていくと。
 
ドス:そうですね。どのようなキャンペーンが喜ばれるかはこれから検討する必要がありますが、その中で特に刺さるもの、あるいは新しい体験も入れていきたいです。プラットフォームにゲームをただ出すだけでなく、AndAppの場合、アイデアから出してくれて「やりましょう」とご提案いただける。プラットフォーム側が熱意を持って動いてくれるので、一緒に働いていて嬉しいですね。
 
▲『ビーナスイレブンびびっど!×AndApp』ユニフォーム
 

――それでは、アメージングさんとディー・エヌ・エーさん、それぞれの今後の展望についてもお聞かせください。
 
ドス:AndAppでの展開は、これから話し合いながらじっくりと決まっていくと思います。『ビーナスイレブンびびっど!』としては、永久に終わらないアプリを本気で目指しています。そのためにインフレしないゲームシステムを意識して作っていますし、ユーザーさんの期待に応え続けるみんなの遊び場でありたいです。その中でAndAppという強力な武器を手に入れたと思っています。
 
深井:AndAppとしては『ビーナスイレブンびびっど!』のユーザーさんが喜んでいただけたような体験を増やしていくべく、プラットフォーム基盤の拡大に努めていきます。プラットフォームとして日々成長しておりますので、このペースを維持しつつ、さらに多くの人に知ってもらえるサービスになりたいですね。
 
萱島:プラットフォーマーとして、やったことがないゲームにユーザーさんがチャレンジするキッカケを作ってみたり、いろいろなゲームを長く楽しんでいただく仕組みを整えているところです。タイトルの拡充だけでなく、プラットフォームの快適な仕組みづくりも並行して取り組んでいきたいです。ユーザーさんのAndAppに関するコメントはTwitterを通していつもチェックしていますので、サービスの良いところ改善してほしいところはドシドシ頂きたいですね。

 

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
 
萱島:スマートフォンゲームをPCでプレイする文化は昨年ごろから徐々に増え、今ではかなりスタンダードな遊び方になってきました。PCへの展開に至っていないデベロッパーさんにも、気軽に相談していただけると嬉しいです。またAndAppは会員登録なしで利用できるのも魅力で、手間がかかりそうでインストールしていないユーザーさんにもぜひ触れてもらいたいです。
 
深井:AndAppは徐々にタイトルも増えてきて、それに比例して認知度も上がってきました。また私たちも、PC版展開に関するナレッジがプラットフォーム内に溜まってきています。アプリゲーム運営において、ゲームのバッテリー消費が多くて困っている、動作が重くて改善が大変などお悩みの企業様もいらっしゃるかと思いますが、AndAppはこれらの悩みの解になりうるものと考えておりますので、是非お問い合わせください。また、ユーザーの皆様におかれましても、今後さらにタイトル数も増えて参りますので、楽しみにして頂けますと幸いです!
 
ドス:PCの前でSocial Game Infoを読んでいるみんな、AndAppをインストールして『ビーナスイレブンびびっど!』を遊ぶんだ!

アディオス!アスタ ルエゴ!

 

――(笑)。ありがとうございました。
 

『ビーナスイレブンびびっど!』AndAppページ

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
企業データを見る
株式会社アメージング
http://www.amazing-game.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社アメージング
設立
2002年1月
代表者
丸永克己
直近業績
非公開
上場区分
非上場
企業データを見る