【2017年のゲーム株概況】サイバーステップが年間上昇率542%と驚異的な上昇 『DQライバルズ』のトーセ、『欅のキセキ』のenishも2倍超の株価に
2017年もあと2日となるなど、今年もはや終わりを迎えようとしている。株式市場も前日29日に大納会を終えて、2017年の取引もすべて終了した。そこで今回は主なゲーム株の年間のパフォーマンスを分析しつつ、2017年のゲーム株の動向を振り返ってみたい。
下の表は、主なゲーム株52銘柄の年初(1月6日)始値と年末(12月29日)終値と、その年間での騰落率を一覧にしたものとなる。なお、参考のために日経平均株価の年間騰落率も算出し、一緒に比較してみた。日経平均株価よりも年間でのパフォーマンスが上回ったのは52銘柄中28銘柄で、下回ったのは24銘柄となる。また、年間でのパフォーマンスがマイナスとなったのは13銘柄となっている。
上昇率が最も高かったのは、年間で6.4倍に株価が上昇したサイバーステップ<3810>だ。ちなみに同社は6月27日に7980円の年間高値を付けており、この時点で見ると上昇率は19.1倍という驚異的なものになる。クレーンゲームアプリ『トレバ』により、収益が急改善したことがその最大の要因だが、もともとの値動きの軽さも手伝ったことがこうした上昇率につながったものと思われる。
続いて、2番目に上昇率が高かったのは、年間で2.4倍に上昇したトーセ<4728>だ。トーセは、11月6日に3830円という高値を形成しており、こちらもこの時点では4.6倍まで上昇している形になっている。この引き金となったのは、スクウェア・エニックスのスマートフォン向け対戦デジタルカードゲーム『ドラゴンクエストライバルズ』の開発を同社が担当していることが明らかになったことで、実際に本作がリリースされて好スタートを切ったところが高値形成のポイントにあたる。
そして3番目の上昇率となったのは、年間で2.3倍に上昇したenish<3667>となる。enishは、7月20日に年間高値3760円を記録したが、これは、同社が今年リリースした「欅坂46」初の公式ゲームアプリ『欅のキセキ』のティザーサイトが公開され、カウントダウンが開始されたあたりとなる。同社が本作の制作を正式発表したのが6月26日で、このカウントダウン開始のタイミングでリリースが迫っているのではとの思惑が株価を大きく押し上げた格好だ。
このほかにも子会社リベルの『A3!』好調で業績が好転したアエリア<3758>や、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が収益をけん引しているアカツキ<3932>なども高パフォーマンスを記録している。
一方、年間下落率が46.7%とパフォーマンスが低調だったのがマイネット<3928>だ。マイネットは、8月15日、翌16日にマドを空けて急落する格好となったが、これは8月10日に発表された第2四半期決算が四半期ベースで9四半期ぶりの営業赤字計上となり、急速な業績拡大が続いていた同社に異変が起きたのではないかという懸念が広がったためとなる。なお、同社はこの後、第3四半期に仕入を低減し、継続的な成長構造の確立に向けて、運営体制を強化や、協業スキームからのステップ買取の活用などに取り組んでいる。
これに続く下落率となったイグニス<3689>は、主力タイトル『ぼくとドラゴン』の落ち込みと、新事業などへの先行投資の影響で収益性が急激に悪化したことが下落の要因となっている。イグニスは、次の新作『メガスマッシュ』の事前登録が12月18日より開始となっており、今期の業績立て直しがどのように進んでいくかが、2018年の株価の見直しにつながるかどうかのポイントとなってきそうだ。
ここまで目立った動きを取り上げてきたが、総じて見ると、2017年のゲーム株は日経平均株価と比べてみても好調さが目立った1年だったのではないだろうか。任天堂<7974>やスクウェア・エニックス<9684>など大手ゲーム株も高パフォーマンスが目立つことが、そうした印象に拍車をかけている。
一方で、ゲーム市場、中でもスマホゲーム市場は海外メーカーの攻勢がさらに目立ってきており、2018年はより厳しい環境の中でそれぞれの企業がどのように対抗し、どのように収益を上げていくことができるのかどうかが、注目されることとなるのではないだろうか
下の表は、主なゲーム株52銘柄の年初(1月6日)始値と年末(12月29日)終値と、その年間での騰落率を一覧にしたものとなる。なお、参考のために日経平均株価の年間騰落率も算出し、一緒に比較してみた。日経平均株価よりも年間でのパフォーマンスが上回ったのは52銘柄中28銘柄で、下回ったのは24銘柄となる。また、年間でのパフォーマンスがマイナスとなったのは13銘柄となっている。
■年間上昇率トップはサイバーステップ トーセやenishも急上昇
上昇率が最も高かったのは、年間で6.4倍に株価が上昇したサイバーステップ<3810>だ。ちなみに同社は6月27日に7980円の年間高値を付けており、この時点で見ると上昇率は19.1倍という驚異的なものになる。クレーンゲームアプリ『トレバ』により、収益が急改善したことがその最大の要因だが、もともとの値動きの軽さも手伝ったことがこうした上昇率につながったものと思われる。
続いて、2番目に上昇率が高かったのは、年間で2.4倍に上昇したトーセ<4728>だ。トーセは、11月6日に3830円という高値を形成しており、こちらもこの時点では4.6倍まで上昇している形になっている。この引き金となったのは、スクウェア・エニックスのスマートフォン向け対戦デジタルカードゲーム『ドラゴンクエストライバルズ』の開発を同社が担当していることが明らかになったことで、実際に本作がリリースされて好スタートを切ったところが高値形成のポイントにあたる。
そして3番目の上昇率となったのは、年間で2.3倍に上昇したenish<3667>となる。enishは、7月20日に年間高値3760円を記録したが、これは、同社が今年リリースした「欅坂46」初の公式ゲームアプリ『欅のキセキ』のティザーサイトが公開され、カウントダウンが開始されたあたりとなる。同社が本作の制作を正式発表したのが6月26日で、このカウントダウン開始のタイミングでリリースが迫っているのではとの思惑が株価を大きく押し上げた格好だ。
このほかにも子会社リベルの『A3!』好調で業績が好転したアエリア<3758>や、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が収益をけん引しているアカツキ<3932>なども高パフォーマンスを記録している。
■高成長路線にブレーキのマイネットが低迷
一方、年間下落率が46.7%とパフォーマンスが低調だったのがマイネット<3928>だ。マイネットは、8月15日、翌16日にマドを空けて急落する格好となったが、これは8月10日に発表された第2四半期決算が四半期ベースで9四半期ぶりの営業赤字計上となり、急速な業績拡大が続いていた同社に異変が起きたのではないかという懸念が広がったためとなる。なお、同社はこの後、第3四半期に仕入を低減し、継続的な成長構造の確立に向けて、運営体制を強化や、協業スキームからのステップ買取の活用などに取り組んでいる。
これに続く下落率となったイグニス<3689>は、主力タイトル『ぼくとドラゴン』の落ち込みと、新事業などへの先行投資の影響で収益性が急激に悪化したことが下落の要因となっている。イグニスは、次の新作『メガスマッシュ』の事前登録が12月18日より開始となっており、今期の業績立て直しがどのように進んでいくかが、2018年の株価の見直しにつながるかどうかのポイントとなってきそうだ。
■まとめ
ここまで目立った動きを取り上げてきたが、総じて見ると、2017年のゲーム株は日経平均株価と比べてみても好調さが目立った1年だったのではないだろうか。任天堂<7974>やスクウェア・エニックス<9684>など大手ゲーム株も高パフォーマンスが目立つことが、そうした印象に拍車をかけている。
一方で、ゲーム市場、中でもスマホゲーム市場は海外メーカーの攻勢がさらに目立ってきており、2018年はより厳しい環境の中でそれぞれの企業がどのように対抗し、どのように収益を上げていくことができるのかどうかが、注目されることとなるのではないだろうか
会社情報
- 会社名
- 株式会社enish
- 設立
- 2009年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 安徳 孝平
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高35億800万円、営業損益12億600万円の赤字、経常損益12億6500万円の赤字、最終損益13億7400万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3667
会社情報
- 会社名
- 株式会社トーセ
- 設立
- 1979年11月
- 代表者
- 代表取締役会長 齋藤 茂/代表取締役社長 渡辺 康人
- 決算期
- 8月
- 直近業績
- 売上高46億1500万円、営業損益5億2200万円の赤字、経常損益5億100万円の赤字、最終損益2億6000万円の赤字(2024年8月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 4728
会社情報
- 会社名
- 株式会社マイネット
- 設立
- 2006年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 岩城 農
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高87億1700万円、営業利益1億6800万円、経常利益1億2500万円、最終利益1億4300万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3928
会社情報
- 会社名
- サイバーステップ株式会社
- 設立
- 2000年4月
- 代表者
- 代表取締役社長 佐藤 類
- 決算期
- 5月
- 直近業績
- 売上高29億8600万円、営業損益14億5500万円の赤字、経常損益15億2000万円の赤字、最終損益14億5800万円の赤字(2024年5月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3810
会社情報
- 会社名
- 株式会社イグニス
- 設立
- 2010年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 銭 錕(センコン)/代表取締役CTO 鈴木 貴明
- 決算期
- 9月