【NDC18】アメリカのモバイル向けインタラクティブ・ストーリージャンルを牽引するPixelberry Studiosは如何にして生まれたのか
ネクソン<3659>連結子会社のNEXON Koreaは、4月24日~26日の3日間、韓国最大規模のゲーム開発者向けカンファレンス「Nexon Developers Conference 18(NDC18)」を開催した。
本稿では、25日にPixelberry Studios エグゼクティブチームCEOのオリバー・ミャオ氏によって行われた「『Choices: Stories You Play』のポストモーテム」のセッションについてレポートしていく。本セッションでは、オリバー氏がモバイルゲーム業界で17年間を通して積み上げてきた経験を基に、どのようにして新しいゲームを作り上げたかが語られた。
▲Pixelberry Studiosのオリバー・ミャオ氏。
『Choices: Stories You Play』は、2016年にリリースされ、モバイル向けインタラクティブ・ストーリージャンルを牽引してきたタイトルだ。ロマンス、アドベンチャーなど様々なジャンルの物語が盛り込まれたアプリで、アメリカのApp Store売上ランキングではTOP25にも輝いたことがある。
18年前となる2000年にスタンフォード大学を卒業したオリバー氏は、友人とゲームスタジオを立ち上げることになる。元々ゲーム好きだったことが幸いしてゲームは作れたものの、その後、どのように収益化に繋げればよいかの部分が悩みになったという。そこに友人から連絡があったことをきっかけにモバイルゲームの業界へと足を踏み入れることとなる。
モバイルゲームが登場してからはマーケットにも多くの変化があり、投資先を探している企業も数多く存在していたことから、オリバー氏は高校を題材にしたオリジナルゲーム『Surviving High School』を作ろうと思い立ったと話を続ける。
▲ゲームの舞台に「高校」を選んだのは、誰もが共感できる普遍的なテーマだったためとのこと。当時は画面もまだ小さかったことから、グラフィックよりストーリーが重視されることが決定し、今もそれはスタジオの強みになっている。
▲その後、iPhoneが登場したことによりグラフィックを強化。メモリが増えたため、スト-リーだけでなくミニゲームも一緒に提供できるようになったとオリバー氏は話す。
そんな中、当時、モバイルゲームで最も成功していたのは有料アプリだったという。オリバー氏は、有料アプリで無料アップデートが実施されるたびに順位が一気に上がっていたのを目の当たりにしたと振り返った。多くのハードルを乗り越えてiOS向けにリリースされた『Surviving High School』は、App Store売上ランキングの8位を獲得する。これは、小額決済や部分有料化の導入が大きかったと語る。
このタイミングでPixelberry Studiosが設立される。その後は、ビルダーゲームとストーリーゲームを融合し、学校を建設することを目的とした『HIGH SCHOOL STORY』を経て、改めてストーリーに注力したゲームを作成しようとなったことから『Choices: Stories You Play』が誕生する。その際、新たに「様々なジャンルのストーリーが入っていること」「無料で進める選択肢のほか、課金によって進めるプレミアムな選択を追加」といった要素が加えられた。
▲『HIGH SCHOOL STORY』はApp Storeの売上ランキングでTOP10にランクインする。
しかし、ここで競争他社が登場する。『Episode』というオリジナルのストーリーゲームに、オリバー氏らも考えていた「マルチストーリー」や「エネルギーシステム」が搭載されていたのだ。だが、『Episode』が大ヒットすることはなかった。そこで、『Choices: Stories You Play』は各エピソードの終盤にクリフハンガーを入れ、有料・無料をユーザーが選択できるようにしたという。結果的に、こうした要素が後の成功へと繋がったとオリバー氏は述べた。
▲一方、『Episode』も「プレミアムチョイス」や、歌手や映画を起用した「ライセンシングコンテンツ」の導入、さらに「アート改善」により順位を上げていた。
また、『Choices: Stories You Play』のシナリオは品質の一貫性を保つため、内部ライターが執筆したものを採用。『Episode』はユーザー投稿が可能となっていたので量は多かったが、クオリティに重きを置いて勝負しようと決めたという経緯を明かした。
さらに、週単位でコンテンツを追加することによりユーザーの継続率も高かったほか、ユーザーからの質問への回答も素早く行えるよう工夫していたので信頼も厚かったとのこと。
▲オリジナルコンテンツにこだわったのは、ライセンシングコンテンツは変更や追加でどうしてもチェックに時間がかかってしまうという懸念があったことも要因のひとつだったという。
そのほか、オリバー氏は組織体制について、良いストーリーライターを迎えることは重要だが、より大切なのは迎えた職員の離脱を防ぐことだと話す。Pixelberry Studiosでは、チームメンバーと密にコミュニケーションを図ることで、他社に優秀なストーリーライターを奪われたことがないという。オリバー氏は、Pixelberry Studiosのストーリーライターを他社で獲得することは非常に難しいことだと断言した。
また、『Choices: Stories You Play』を運営する中でオリバー氏は、本作は本・テレビ・ゲームの交差地点に存在するコンテンツではないかと考えるようになったという。今後、モバイルフィクションがより大規模になれば新たなメディアフォーマットとなり得るのではないかとコメントして講演の締めとした。
■関連サイト
本稿では、25日にPixelberry Studios エグゼクティブチームCEOのオリバー・ミャオ氏によって行われた「『Choices: Stories You Play』のポストモーテム」のセッションについてレポートしていく。本セッションでは、オリバー氏がモバイルゲーム業界で17年間を通して積み上げてきた経験を基に、どのようにして新しいゲームを作り上げたかが語られた。
▲Pixelberry Studiosのオリバー・ミャオ氏。
『Choices: Stories You Play』は、2016年にリリースされ、モバイル向けインタラクティブ・ストーリージャンルを牽引してきたタイトルだ。ロマンス、アドベンチャーなど様々なジャンルの物語が盛り込まれたアプリで、アメリカのApp Store売上ランキングではTOP25にも輝いたことがある。
18年前となる2000年にスタンフォード大学を卒業したオリバー氏は、友人とゲームスタジオを立ち上げることになる。元々ゲーム好きだったことが幸いしてゲームは作れたものの、その後、どのように収益化に繋げればよいかの部分が悩みになったという。そこに友人から連絡があったことをきっかけにモバイルゲームの業界へと足を踏み入れることとなる。
モバイルゲームが登場してからはマーケットにも多くの変化があり、投資先を探している企業も数多く存在していたことから、オリバー氏は高校を題材にしたオリジナルゲーム『Surviving High School』を作ろうと思い立ったと話を続ける。
▲ゲームの舞台に「高校」を選んだのは、誰もが共感できる普遍的なテーマだったためとのこと。当時は画面もまだ小さかったことから、グラフィックよりストーリーが重視されることが決定し、今もそれはスタジオの強みになっている。
▲その後、iPhoneが登場したことによりグラフィックを強化。メモリが増えたため、スト-リーだけでなくミニゲームも一緒に提供できるようになったとオリバー氏は話す。
そんな中、当時、モバイルゲームで最も成功していたのは有料アプリだったという。オリバー氏は、有料アプリで無料アップデートが実施されるたびに順位が一気に上がっていたのを目の当たりにしたと振り返った。多くのハードルを乗り越えてiOS向けにリリースされた『Surviving High School』は、App Store売上ランキングの8位を獲得する。これは、小額決済や部分有料化の導入が大きかったと語る。
このタイミングでPixelberry Studiosが設立される。その後は、ビルダーゲームとストーリーゲームを融合し、学校を建設することを目的とした『HIGH SCHOOL STORY』を経て、改めてストーリーに注力したゲームを作成しようとなったことから『Choices: Stories You Play』が誕生する。その際、新たに「様々なジャンルのストーリーが入っていること」「無料で進める選択肢のほか、課金によって進めるプレミアムな選択を追加」といった要素が加えられた。
▲『HIGH SCHOOL STORY』はApp Storeの売上ランキングでTOP10にランクインする。
しかし、ここで競争他社が登場する。『Episode』というオリジナルのストーリーゲームに、オリバー氏らも考えていた「マルチストーリー」や「エネルギーシステム」が搭載されていたのだ。だが、『Episode』が大ヒットすることはなかった。そこで、『Choices: Stories You Play』は各エピソードの終盤にクリフハンガーを入れ、有料・無料をユーザーが選択できるようにしたという。結果的に、こうした要素が後の成功へと繋がったとオリバー氏は述べた。
▲一方、『Episode』も「プレミアムチョイス」や、歌手や映画を起用した「ライセンシングコンテンツ」の導入、さらに「アート改善」により順位を上げていた。
また、『Choices: Stories You Play』のシナリオは品質の一貫性を保つため、内部ライターが執筆したものを採用。『Episode』はユーザー投稿が可能となっていたので量は多かったが、クオリティに重きを置いて勝負しようと決めたという経緯を明かした。
さらに、週単位でコンテンツを追加することによりユーザーの継続率も高かったほか、ユーザーからの質問への回答も素早く行えるよう工夫していたので信頼も厚かったとのこと。
▲オリジナルコンテンツにこだわったのは、ライセンシングコンテンツは変更や追加でどうしてもチェックに時間がかかってしまうという懸念があったことも要因のひとつだったという。
そのほか、オリバー氏は組織体制について、良いストーリーライターを迎えることは重要だが、より大切なのは迎えた職員の離脱を防ぐことだと話す。Pixelberry Studiosでは、チームメンバーと密にコミュニケーションを図ることで、他社に優秀なストーリーライターを奪われたことがないという。オリバー氏は、Pixelberry Studiosのストーリーライターを他社で獲得することは非常に難しいことだと断言した。
また、『Choices: Stories You Play』を運営する中でオリバー氏は、本作は本・テレビ・ゲームの交差地点に存在するコンテンツではないかと考えるようになったという。今後、モバイルフィクションがより大規模になれば新たなメディアフォーマットとなり得るのではないかとコメントして講演の締めとした。
(取材・文 編集部:山岡広樹)
■関連サイト
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659
会社情報
- 会社名
- NEXON Korea(ネクソンコリア)