【セミナー】FGO PROJECT流のマーケティングとは…『Fate/Grand Order』における人を動かす”3つのマ法”&”コウホウ支援”を紹介

 
ディライトワークスは、7月4日、同社内にて、FGO PROJECT総合プロデュースチームでの仕事に興味のある方々を対象に、ざっくばらんな情報交換や交流、キャリアの相談を行えるディライトワークスの肉会(Meat Meetup)の第2回を開催した。
 
第2回となる今回は、「FGO PROJECT流のマーケティングとは」というテーマで、これまで外部に伝えてこなかった『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)の裏側に隠された”3つのマーケティング方法”略して、”3つの魔法”(マ法)を初公開する。「宣伝」と「広報」、似ていると言われることが多い2つの担当で、それぞれどのような機能や役割を担っているかについても話が展開された。本稿では、そんなトークセッションについてのレポートをお届けしていく。
 
【会社紹介】

▲平均年齢がやや高めとなっているのは、同社にコンシューマーゲームの開発経験者が数多く在籍しているため。「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という企業理念のもと、日々面白いゲームを作るために邁進しているとの話だった。
 
【登壇者】

▲ディライトワークス 執行役員 マーケティング部 部長の石倉正啓氏。FGOマーケティングディレクターを担当しており、『FGO』サービス開始前から様々なマーケティングプランを立案してきた。
 

▲ディライトワークス マーケティング部 広報セクションマネージャーの市川伸氏。同社ではマーケティング部の中でも「宣伝」と「広報」が分かれており、その中で市川氏は広報を担当している。広報分野では10年以上のキャリアを持つが、ゲーム業界に入ったのは1年ほど前になるとのこと。
 

■リアルイベントや生放送など、この1年の主なプロモーションを振り返り

 
石倉氏、市川氏が登壇して挨拶を行った後、まずは「『Fate/Grand Order』2017年7月~の主なプロモーション振り返り」というテーマでこの1年を振り返った。
 
『FGO』では、2017年7月に開催した「Fate/Grand Order Fes. 2017 ~2nd Anniversary~」を皮切りに、同年9月の「京都国際マンガ・アニメフェア(略称:京まふ)2017」、10月の「マチ★アソビvol.19」など、都内から地方まで全国各地にてリアルイベントを展開。また、アップデート前に行われたニコニコ生放送や、大晦日TV特番なども大きな話題となった。直近では、SCRAPと共同で制作したFate/Grand Order×リアル脱出ゲーム「謎特異点Ⅰ ベーカー街からの脱出」(関連記事)や、コラボカフェ「カルデアボーイズコレクション アフターパーティ」(関連記事)など、幅広い分野にイベント展開しているのも記憶に新しい。
 
 
▲AnimeJapan 2018では、同イベント内で最大規模のブースを設置。そのほか、上記以外にも『Fate/Grand Order Arcade』のロケテストなど、関連プロジェクトでもイベントを数多く実施している。
 

■『FGO』が掲げる3つの魔法(マーケティング方法)とは

 

 
さて、ここからは石倉氏が『FGO』の裏側に隠された”3つのマーケティング方法”略して、”3つの魔法”を紹介。
 
●魔法 その1「マメニ」
まず石倉氏は『FGO』におけるTwitterの展開について言及した。『FGO』公式Twitterは現在フォロワー数120万人を突破しており、2017年には「#Twitterトレンド大賞」にて、「FGO」というワードで「Twitter Word of the year」を、『Fate/Grand Order』としても「Twitter Game of the year」をそれぞれ獲得した。公式Twitterの運用についてはゲーム配信開始前から始めており、その頃から毎日マメニ話題が作れないかを考え、ゲーム情報や関連プロジェクトの情報を発信し続けていると石倉氏は話した。
 

▲「Twitter Word of the year」のランキングには、1000万ダウンロードの際に登場した人気キャラ「マーリン」もランクインしている。
 
そのほか、先ほども紹介があった通り、毎月、様々な施策をマメニ実施してきた。2日間で2万人以上が来場した「Fate/Grand Order Fes. 2017 ~2nd Anniversary~」に、「FGO秋葉原祭り 2017」や「FGO冬祭り 2017-2018 ~冬のファラオ大感謝祭~」など、改めて振り返ってみてもかなりの頻度である。
 

 
●魔法 その2「マサカ」
続いて石倉氏は、マーケティングチームとしては、スマートフォンのゲーム内以外にどのようなところで話題が作れるかということを日々の課題にしているのだと明かした。開発メンバーは日々面白いゲームを作るために努力しているが、それは主にスマホのゲームの中で展開される話であり、話題を外側に広げるのがマーケティングチームの仕事になると話す。
 
そこで、『FGO』では「マサカ」という魔法で新たな驚きを提供しているという。
 
例えば、これまでにはPlayStation VR向けタイトル『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』を発表して「まさかVRになるなんて」という驚きを与えた。本企画はマシュに逢えるというコンセプトで、ユーザーによりキャラを身近に感じてもらうことを目的に進められていたそうだ。また、4月1日には別アプリとして『Fate/Grand Order Gutentag Omen Adios』を配信するなど、いちユーザーの目から見ても惜しみない労力で予想だにしないものを作り上げ、面白いものを広げていくという意志が垣間見えるのではないだろうか。
 

▲ほかにも、幕張メッセの壁面をスクリーンに見立ててプロジェクションマッピングを実施したり、WEBマンガ「マンガで分かる!Fate/Grand Order」の人気キャラを着ぐるみ化してイベントに登場させるなど、ファンが喜ぶ展開を数々と実施。
 
●魔法 その3「マヂカ」
最後に、こうしたイベントや各メディアに石倉氏が自ら「バスター石倉」として出演。イベント会場では、Busterシールをファンに手渡しするなど、まさにマヂカ(間近)での交流を図っている。
 
これについて石倉氏は、会場に置いてあるものを取っていくのではなく、バスター石倉という人物から直にシールを手渡されることで、自身の人気の有無に関わらずそれは来場者にとって”ひとつの体験”となり、思い出に変わる演出に繋がっていると話した。また、こうした接点はタレントさんや声優さんに持ってもらうことが難しいため、自ら行っていると補足した。
 
 
▲ちなみに、Busterシールはこの半年で約4000枚を手渡ししているという。
 
こうして「人を動かす3つの魔法」を紹介したところで、今回の講演について石倉氏は以下のようにまとめた。価値のある情報を豆に発信して『FGO』を日常化し、新たな驚きを提供することで飽きずに接してもらう機会を作る。そして、間近に感じられる縁を作ることで、ゲームをプレイしていない時間にも『FGO』の思い出を作ることができる、というところを大切にしているという。
 

▲これらは全て”FGOのある生活”を目標に展開されており、この先5年、10年と末永く続けられることが理想であると語った。
 
最後に石倉氏は、マーケティングチームとは「お客さまに楽しんでいただく魔[マ]法使いである”として講演の締めとした。
 

 

■『FGO』により多く触れてもらうための”コウホウ支援”とは

 
続いては市川氏より、広報のマーケティング機能にフォーカスした話が展開された。
 
まず市川氏は『Fate/Grand Order』というワードが入ったWeb記事が1月あたり約3000件あると発表。大小さまざまあるが、ゲーム媒体に限らず、各種メディアを含めてこれだけ多くの記事が掲載されているとのことだ。こうして記事を通して『FGO』に触れる機会を増やしたいという想いから、広報チームでは日々『FGO』という言葉を見かける言葉を増やす活動をしていると紹介した。
 

▲媒体に合わせて多種多様な記事が掲載されている。また、日経MJでは「マーリン」というワードが話題になったことが安室奈美恵さんの引退発表と比較されるなど、業界でもかなり特徴的な取り上げられ方をすることがあることも紹介された。
 
●宣伝と広報の違い?
では、「宣伝」と「広報」はどのように異なるのか。市川氏は、情報を伝えるという意味では同様の業務となるが、宣伝は「直接的に主観的な言葉で主体性を持って計画通りに進めていく」もの、一方、広報は「メディアを通して間接的に、客観的な目線を入れてもらいながら中立的な視点で記事を発信してもらう」ものだと説明した。
 
 
▲情報を届けるにあたってメディアを挟むことで第三者の視点や価値観が入るのが広報の特徴であるという。
 
続いて、第三者の視点や価値観がどのようなところに活かされているかを分析。広報からは、同じタイミングで同じ内容のプレスリリースを各メディアに発信しているが、そこから記事に”どのようなタイトルが付いているか”、また”最後の一文”にどのような気持ちが入っているかというところに第三者の価値観が入っていると話した。これには石倉氏も「同じ情報でも媒体によって切り口が分かれている」とコメント。
 
なお、FGO PROJECTはノーツ、アニプレックス、ディライトワークスの3社の協業となるが、『FGO』のプレスリリースについては代表してディライトワークスから送付されている。その本数は1週間で約3~4本、1ヶ月に10~15本を発信しているとの話だった。
 
そうした中で市川氏は、ただプレスリリースを書くだけではなく、どうすれば記事の”材料”を捻出できるかということを日々考えているという。そこで、イベントではオープン前で人がいない綺麗な状態を写真撮ってもらったり、取材案内にあたっては記者の方々が記事を作りやすい導線を張ることも心掛けていると語った。
 
 
▲読者の方々が何を見ることで楽しんでもらえるかを中心に考え、着ぐるみを撮影したり、ゆかりのある出雲の博物館で撮影をするなどして材料を用意しているという。
 
こういった点から市川氏は、広報は情報を発信するだけでなく、メディアと共に話題作りをしていくものであるとコメント。ユーザーや読者に対して、求められる記事を共に作れるかが重要になるため、記者の方々に意見を求めることも少なくないとのこと。
 

 
最後に市川氏は、広報とは「より広く、より遠くへ、魔[マ]法”を飛ばす支援魔法」、名付けてコウホウ支援”であるとまとめて本講演の締めとした。
 
 
また、後半の”マーケティング懇親会”では、登壇者に加えて広報・宣伝といったマーケティングチームやHR担当などのスタッフが参加し、懇親会形式で美味しい肉料理を食べながら、マーケティングに関する情報交換などが活発に行われていた。
 

 
▲その場で原木から切り出された生ハムや、ローストチキン、ハンバーガーと多彩な肉料理が楽しめた。
 
今回も好評のうちに幕を閉じた本講演だが、8月10日20時より、「第3回 肉会(MEAT MEETUP)」が開催されることが発表された。次回は「集まれ!プロジェクトマネージャー」と題して、ディライトワークスではプロジェクトマネージャーがどのような業務を行っているのか現場の担当者から話が伺えるとのこと。既にPeatixにて参加者募集が始まっているので、興味がある方は是非、下記のURLからエントリ―していただきたい。
 

Peatix

 
【バックナンバー】
【セミナー】「ディライトワークスとはレストランである」「1日の業務はまるでMMORPG」という話も飛び出した塩川氏&加藤氏の講演をレポート
 
 
(取材・文 編集部:山岡広樹)
 

 
■『Fate/Grand Order 』
 

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(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
FGO PROJECT

会社情報

会社名
FGO PROJECT
企業データを見る
ディライトワークス株式会社
https://delightworks.co.jp/

会社情報

会社名
ディライトワークス株式会社
設立
2014年1月
代表者
代表取締役 庄司 顕仁
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