ドリコム<3793>の内藤裕紀社長(写真)は、本日(7月31日)開催の決算説明会で、4月24日よりサービスを開始した「enza」について、「当初は半年程度での垂直立ち上がりを目指していたが、一部想定と異なる事象が出ており、1年程度のスパンで取り組む覚悟が必要だ」と述べ、当初想定よりも収益貢献の時期がずれ込むとの見通しを示した。
内藤社長によると、誤算となったのは、会員登録と課金への導線だ。ネイティブアプリと異なり、ブラウザから会員登録やカード登録を行ってもらう必要があり、そこで脱落してしまうユーザーが出ているという。ただそのハードルを超えると、継続的に利用してもらえることもあり、サービス開始以来、問題箇所の特定と改修、効果検証を継続的に行っているそうだ。
『ドラゴンボールZ ブッチギリマッチ』のグランドオープンとともに、サッカーの長友佑都選手を起用して初めて本格的なプロモーション活動にも着手した。同時に、できるだけ会員登録をしやすくするとともに、システムやUIの改修、キャンペーンを通じて課金へのハードルを下げていく考え。「App StoreやGoogle Playでも初期に見られた事象」のため、腰を据えて取り組む。
また、サービス開始以来のポジティブな要素としては、当初から狙いとしていたブラウザゲームでもネイティブアプリ並みのゲーム体験を提供できることが各種の数字や定性情報から実感でき、手応えを掴んだことにあるという。「新しい体験を提供する、というところでは成功したといって良いのでは」と感想を述べた。
さらに、トピックスとしては、8月にアプリ開発会社を集めて技術説明会を開催する予定。大々的に募集したものではなく、これまでBXDに問い合わせのあった開発会社を招待して行うものだが、すでに100名を超える応募があったとのこと。ディベロッパーからも関心も高いようだ。
昨今、HTML5ゲームが世界的に広がっている。その多くは「WeChat」や「Facebook」などのSNSやメッセンジャーアプリ上で展開する、広告収益を狙ったカジュアルゲームとなっている。「enza」は、F2P型のゲームを提供する意味で大きく異なっており、世界的にも珍しい取り組みといえる。
内藤社長は、月ベースで1~1.5億円の営業赤字が発生していると明かしつつ、こうした投資額はサービスを育てていくための健全な投資と言い切る。第2四半期以降も「enza」への投資局面が続きそうだが、主力のネイティブアプリの収益改善を行ってドリコム全体の収益の黒字化を目指していく方針。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793