ドリコム<3793>の内藤裕紀社長は、本日(7月31日)開催の決算説明会で、アプリの開発費の会計処理に関して、監査法人からの対応に変化があったと明かした。前期の第4四半期(2018年1~3月)あたりから監査の方針が変わり、より保守的な内容になったという。ドリコムだけでなく、ゲーム業界全体にも少なからず影響を与えかねない問題だ。
ゲーム業界では慣習上、契約する前に先行して開発を行い、開発途中~納品後に契約を結ぶといったことがよくある。記者の以前勤務していたゲーム開発会社でも受託する際、契約前に先行して開発するケースが少なからずあった(※)。その場合、担当者から発注したい旨のメールもしくは議事録の文言などのエビデンスがあれば、開発に入っても構わないという方針をとっていることが少なくない。
監査法人としては、こうしたゲーム業界における慣習の存在を認めつつ、契約締結がベストとしながらも何らかのエビデンスの存在さえあれば、開発費を棚卸資産や仕掛品などの形で資産計上することを認めていたが、今回、より保守的になり、即座に研究開発費として費用計上することを求めたそうだ。言い換えれば、契約を締結しないと開発費の資産計上は認められない方針になった。
したがって、第1四半期において、第2四半期以降に計上される予定であった既存タイトルの大規模アップデートの開発費(研究開発費)が先行して計上されることになった。これが第1四半期の業績予想の下方修正の一因だ。第2四半期以降の研究開発費は落ち着き、収益の改善が見込まれるという。
(※)完全に余談なのだが、意思表示もないのにミーティングの雰囲気だけで判断して開発を進めたあげく失注してしまい、大変なことになったことがあった。これは業界あるあるかもしれない。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793