ギークス、2020年3月期の営業利益は23%増の6.84億円 IT人材事業が好調 「アイドリッシュセブン」など受託するゲーム事業も伸長

ギークス<7060>は、2020年3月期の連結決算を発表し、売上高35億4400万円(前の期比16.2%増)、営業利益は6億8400万円(同23.7%増)、経常利益は6億7500万円(同26.9%増)、最終利益は3億9000万円(同5.1%減)となった。売上高と営業利益は過去最高を更新した。

IT人材育成事業と動画事業が減益となったものの、主力のIT人材事業とゲーム事業が増収増益となり、全体の収益をけん引した。インターネット事業の赤字幅縮小も利益を押し上げた。

なお、最終利益がマイナスになったのは、前の期にあった関係会社株式売却益1億5000万円が計上されなかったことや、海外子会社の固定資産の減損損失3400万円が計上されたことが主な要因だ。

 


セグメント別の業績は以下のとおり。

<IT人材事業>
IT人材事業では、事業環境は好調に推移した。多様な業種の企業において、外部リソースのIT人材を活用したいというニーズは高く、また、政府主導の「働き方改革」を背景に、個人が企業に勤める以外の働く選択肢を広げる動きが活性化しており、ITフリーランスも増加傾向にあった。両者のマッチング機会を最大化するため、積極的な広告展開によるITフリーランスの獲得や、ITフリーランス向け福利厚生プログラム「フリノベ」の拡充等の取り組みを行ってきた。

この結果、売上高は13億2900万円(前期比20.8%増)、セグメント利益は7億1900万円(同27.1%増)となった。


<IT人材育成事業>
IT人材育成事業では、合宿型でプログラミングと英語を学ぶことができる「IT留学」が大きな特徴となっている。フィリピン・セブでのIT留学の競合サービスが増加する中で、IT留学の事業拡大に向けて人員増強による先行投資や教員向けの英語留学の商品ラインアップの拡充、更には新たにオフショア開発のサービスも開始した。

この結果、売上高は2億2300万円(前期比1.3%減)、セグメント損失は400万円(前期はセグメント利益3500万円)となった。


<ゲーム事業>
ゲーム事業では、国内スマートフォンゲーム市場が拡大する一方で、成熟化が進み、ゲームタイトル毎の収益性の格差が拡大する状況となっている。このような環境下、バンダイナムコオンラインから受託開発した「アイドリッシュセブン」の他、パブリッシャーとの契約によりタイトル非公開の案件を含む複数のタイトルの受託運営を行っている。また、第1四半期で受託開発を行った他社IPによるゲームの新規リリースがあった。その他、来年度以降の売上に向けた新規案件の受託開発を複数本行っている。

この結果、売上高は17億8900万円(前期比16.1%増)、セグメント利益は3億2300万円(同3.8%増)となった。


<動画事業>
動画事業では、主にパチンコ・パチスロなどの遊技機系とスマートフォンゲーム・アプリのPV(プロモーションビデオ)をはじめ、企業のサービス・商品、採用ホームページ用の映像・動画制作を行っている。また、新しい取り組みとして、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)やプロジェクションマッピング、3Dホログラムなどの様々な新技術を活用した動画コンテンツの制作や研究開発を行っている。

この結果、売上高は1億2400万円(前期比2.9%減)、セグメント利益は2200万円(同34.3%減)となった。


<インターネット事業>
インターネット事業では、ゴルフ業界向けのインターネットサービスを積極的に進めており、主にゴルファー向けの情報サイト「Gridge」の運営を主軸とし、メーカー各社向けに商品記事制作や動画・リアルイベント等を連動させた販売促進・PR活動の支援を行っている。広告主のリピートオーダーによる商品記事掲載や動画制作の増加、自社でのリアルイベントの開催により増収、セグメント損失の減少となった。

この結果、売上高は8100万円(前期比28.8%増)、セグメント損失は4700万円(前期はセグメント損失7000万円)となった。


 
■2021年3月期の見通し

続く2021年3月期は、売上高42億円(前期比18.5%増)、営業利益6億円(同12.3%減)、経常利益5億8000万円(同14.1%減)、最終利益3億4000万円(同13.0%減)を見込む。

 


セグメント別の前提は以下のとおり。

 


(IT人材事業)
最新の有効求人倍率が全体で1.39倍と低下しているものの、IT人材(技術系のIT・通信)のみの有効求人倍率で見た場合、依然として高い傾向にあり、2020年3月期の業績には大きな影響はないだった。しかし、足元の案件数は減少傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の収束が不透明であることから、エンジニア集客費用などを抑制しつつ、既存のITフリーランスのサポートを強化していく。このような状況を踏まえ、2021年3月期の業績予想は当連結会計年度からの売上高成長率を9.8%とし保守的に計画している。


(IT人材育成事業)
海外子会社ネクシード(フィリピン・セブ)で展開しており、主に日本国内からの渡航によって、IT留学・英語留学を希望する個人・法人のプレイヤーからの売上が大半を占める。よって、2020年4月以降日本からの渡航困難な状況と、フィリピン政府からロックダウンによる行動規制が発令されていることにより事業へ大きな影響が出ている。このような状況を踏まえ、2021年3月期の業績予想は売上高を対前期比64.1%減として計画している(海外子会社の決算月は12月となる)。


(ゲーム事業)
顧客を大手ゲーム会社などゲームパブリッシング企業としており、新規ゲームの企画・開発・運営をパートナー企業として請負っている。そのため、売上構成はフロー売上(新規ゲーム開発受託売上・既存運営ゲームの追加機能開発受託売上)とストック売上(運営ゲームの運営受託売上・レベニューシェア)となっており、現状では大きな影響は出ていない。しかし、在宅勤務の推奨から必要機材・ライセンスなど追加購入等によりコスト増加も見込まれる。このような状況を踏まえ、現在開発中のゲームタイトル含めスケジュールに則った計画から、2021年3月期の業績予想は売上高成長率を33.0%と計画している。


(x-Tech事業)
動画事業およびインターネット事業をセグメント統合し、2021年3月期よりx-Tech事業としている。スポーツメーカーを中心に、xRなどの最新技術を活用したコンサルティング・制作・運用を強みとしたデジタルマーケティング事業を展開する計画。ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、DtoC分野や製品やサービス、ビジネスモデルを変革するDXを支援する。しかしながら、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により大規模イベントの中止や延期、各社の広告宣伝費抑制など事業への影響が出ている。このような状況を踏まえ、2021年3月期の業績予想は売上高成長率を35.5%と計画している。
ギークス株式会社
http://geechs.com/

会社情報

会社名
ギークス株式会社
設立
2007年8月
代表者
代表取締役CEO 曽根原 稔人
決算期
3月
直近業績
売上高237億3900万円、営業利益9000万円、経常利益8200万円、最終損益14億7300万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7060
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