サイバーエージェント<4751>は、社会を科学しデザインすることを強みとし、経済学者の成田悠輔氏が代表を務める半熟仮想と2020年8月に業務提携を行ったことを明らかにした。
今回の提携では、AIを活用した広告プロダクトだけでなく、小売業や官公庁におけるDX推進など、様々な事業においても経済学を活用し、さらなる事業発展を目指していく。
<提携領域>
・広告配信AIのデザインと性能予測・効果測定
・因果推論と機械学習の融合や、反実仮想を考慮した制度設計に関する研究
・小売業向けDX推進
‐Eコマースで進化してきた需要予測・価格設定・店舗デザインなどを小売業やD2Cブランドの施策へ応用
‐店員の勘や経験と、データの力を融合した小売施策
・官公庁・地方自治体向けDX推進
‐経済財政・教育をはじめとする、政策の設計・実施・評価・予測のデジタル化と自動化
今回は意外な提携にも思えるが、サイバーエージェントによると、従来より経済学の知見は、政策の立案・評価及びビジネスのデザインや事業上の意思決定などにおいて活用されてきたという。シリコンバレーを拠点とするテック企業を中心に経済学者が多く登用され、経済学を価格設計や、売り手と買い手をつなぐ場であるマーケットプレイス事業のインセンティブ設計に応用する施策などが注目されている。
サイバーエージェントでも、2016年のAI研究開発組織「AI Lab」設立当初から経済学チームを発足し、広告プロダクトにおいて「AI技術導入によるビジネスインパクト」の評価手法に経済学を応用すべく研究を行なってきたそうだ。
「AI技術による意思決定のインパクトをどのように評価するか」という研究は難易度が高く、適切な評価を行うためには、「反実仮想」という実際とは別の意思決定を行った場合の結果を考慮し、比較する必要がある。経済学はこのような反実仮想を扱うデータ分析に長けており、AI技術の評価だけでなく、近年ではその考え方を用いたAI技術の改善へと活用されている。
同社はこれらの研究成果を人工知能技術に関する国際カンファレンスや日本経済学会において発表するなど、経済学を実ビジネスで積極的に取り入れている数少ない国内企業。そして、同社では小売業界や官公庁などのDX推進事業を展開しており、今後幅広い領域においてAI技術および経済学の応用が期待できると考えているという。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751