日本ファルコム、「成長可能性資料」を公開 Switch2展開強化と新規IP創出、マルチ展開で持続的成長狙う オリジナルRPGの内製開発力とIP資産が強み

日本ファルコム<3723>は、12月26日、「事業計画及び成長可能性に関する事項」を公表した。同社は、1981年創業の老舗ゲームメーカーで、「確かな技術と豊かな創造力で、オリジナリティあふれるゲームコンテンツを創出する」ことを経営理念に掲げる。40年以上にわたりRPGを中心とした独自IPを育成してきた点が最大の特徴だ。
■三本柱の事業構造、ライセンス事業は高収益源
同社の事業を①ゲームコンテンツ制作・ゲームソフト開発販売、②音楽ソフト制作・販売、③ライセンス事業の三本柱で構成している。
主力のゲーム事業では、家庭用ゲーム機向けを中心にオリジナルタイトルを自社開発。音楽事業では、ゲームBGMを中心に5537曲(9月末時点)の楽曲資産を保有し、ライブ配信や定額音楽配信サービスへの提供も行っている。
なかでも注目されるのがライセンス事業だ。自社IPやキャラクターを海外展開、マルチプラットフォーム化、グッズ化することでライセンス収入を得るモデルで、原価がほとんど発生しないため利益率が高い。売上に占めるライセンス比率の変動が、同社の利益率を左右する構造となっている。

■2025年9月期は増収増益、次期は踊り場を想定
2025年9月期は、『イースX -Proud NORDICS-』や『空の軌跡 the1st』といった主力タイトルが堅調に推移し、増収増益を確保した。売上高は26億1200万円(前期比3.5%増)、営業利益は13億4000万円(同8.1%増)、最終利益は9億300万円(同6.0%増)となっている。


一方、2026年9月期の業績予想は、売上高26億円、営業利益13億円、当期純利益9億円と、いずれもほぼ横ばいとなる見通しだ。大型タイトルの発売タイミングやライセンス収入の計上時期による影響を織り込んだ、保守的な計画といえそうだ。



■『軌跡』『イース』シリーズを軸に海外展開を加速
足元では主力IPの展開が続く。『英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-』のPS5/PS4版、『イースX Proud NORDICS-』のNintendo Switch 2 版が発売中だ。さらに、海外市場向けの翻訳版展開も本格化する。『英雄伝説 界の軌跡』英語版は1月、『イースX Proud NORDICS-』は英・仏・独・西語版が2月に予定されている。シリーズ累計900万本超を誇る「軌跡シリーズ」では、『空の軌跡 the2nd』をPS5、Nintendo Switch/Switch2、Steam向けにワールドワイド同時発売する計画だ。


■内製開発と少人数体制が生む高効率経営
日本ファルコムの競争力の源泉は、長年培ってきた内製開発体制にある。自社開発エンジンを用いることで、外部エンジンの使用料を抑えつつ、効率的な開発を実現している。また、企画から開発、プロモーションまでを極力内製化する一方、海外展開や他プラットフォーム展開はライセンス許諾を活用。固定費を抑えながら、少人数でも高い収益性を確保する独自モデルを築いてきた。1980年代から続く『イース』『英雄伝説』『軌跡』といったシリーズ群は、熱心な固定ファンに支えられた強力なブランド資産となっている。


■Switch2対応と新IP創出で中長期成長を狙う
同社は今後の成長戦略として、三つの方向性を示している。第一に、国内市場で規模の大きいNintendo Switch/Switch2向けタイトルを自社展開し、収益基盤を拡大する。第二に、マルチプラットフォーム・マルチユース展開を進め、ゲーム外領域も含めたIP収益の最大化を図る。第三に、開発力を強化し、年間1本ペースだった新作発売を中長期的に年間2本体制へ引き上げるとともに、新IP創出にも取り組む。



■開発長期化と人材確保がリスク要因
一方、リスクとしては、長期化しがちなゲーム開発スケジュールの変動、特定シリーズへの依存度の高さ、事業拡大に伴う人材確保・育成の難しさが挙げられる。老舗メーカーとしての強固なブランドとIP資産をどう次世代に引き継ぎ、成長につなげられるかが、今後の評価を左右しそうだ。

会社情報
- 会社名
- 日本ファルコム株式会社
- 設立
- 1981年3月
- 代表者
- 代表取締役社長 近藤 季洋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高26億1200万円、営業利益13億4000万円、経常利益13億6400万円、最終利益9億300万円(2025年9月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3723