朝日新聞社の2021年9月中間期の連結決算は、売上高1315億1700万円(前年同期比5.4%減)、営業利益31億2300万円(前年同期は92億9100万円の損失計上)、経常利益が67億5300万円(同81億8600万円の損失計上)、最終利益は49億8300万円(同419億0800万円のの損失計上)と黒字転換を達成した。朝日新聞を中心とするメディア事業が広告収入の増加や購読料の引き上げなどで黒字転換したことが主な要因。
セグメントの経営成績は次のとおり。
[メディア・コンテンツ事業]
売上高1152億5200万円(同7.2%減)、セグメント利益9億8000万円(前年同期は116億1300万円の損失)と黒字転換となった。
7月1日より本紙の朝夕刊月ぎめ購読料の改定を行った。消費税を除く本体価格の改定は1993年12月以来、27年7カ月ぶりとなった。また、朝日新聞デジタルは10周年を機にしたコース体系のリニューアルを9月に実施し、UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)のさらなる向上を目指す。
朝日新聞朝刊部数は467万8千部で、前年同期比37万部の減少となったものの、新聞広告など広告関連収入は、前年同期実績を上回った。
デジタル事業のバーチャル高校野球は、地方大会などの試合配信数を増加させ増益。企画事業は「鳥獣戯画展」が開催を一時中断、スポーツクラブは一時休業などコロナ禍の影響を受けたが、前年同期実績を上回った。
朝日新聞出版は「ゲッターズ飯田の五星三心占い2022」など書籍が引き続き好調で、中間会計期間での黒字は過去最高益を更新した。折込各社も前年同期実績を上回った。
[不動産事業]
売上高150億7700万円(同7.2%増)、セグメント利益21億5800万円(同11.2%減)と増収減益だった。賃貸事業のオフィスでは、コロナ禍の影響により、減床等オフィスの見直しに着手する企業もあるが、朝日ビルディングと連携したテナントとの関係の緊密化やリーシング活動の強化で、高い入居率を維持した。一方でホテルは、緊急事態宣言等により宿泊需要の低迷が続き、賃料収入は回復基調に至っていない。
旧広島朝日ビル跡地について、同社と朝日ビルディング、広島市などの周辺地権者5者で、跡地周辺の土地約1.0haを一体開発することを正式に合意した。高層棟、変電所棟、市営駐輪場棟の3棟を建設する計画で、高さ160mの高層棟には事務所、ホテル、店舗のほか、広島商工会議所が移転入居する。今後、広島市における官民連携のリーディングプロジェクトとして再開発事業を推進していく。
[その他の事業]
売上高11億8600万円(同47.5%増)、セグメント損失1億4200万円(前年同期は9700万円の損失計上)だった。その他の事業は、文化事業・電波事業・その他事業の3事業を展開している。