ゲームオンの名物プロデューサー石元一輝氏(ルシP)が、かつて7年間の運営を行っていたタイトル「アーキエイジ」に出戻った。およそ2年ぶりの帰還になる。
石元氏の復帰が明らかになったのは3月11日の生放送だ。冒頭から突如同タイトルの生放送に登場した石元氏は視聴者を驚かせた。なにせ運営を卒業し、惜しまれながらも別タイトルに異動した人気プロデューサーが急に現れたのだ。
この状況に対してチャット欄には「おかえり」「鳥肌が立った」「ルシP!」「なんか泣けてくる」「これは歓喜案件」「毛量が増えました?」など、同氏の復帰を祝福する言葉がユーザーから相次いだ。
当の石元氏は、生放送では2年のブランクを埋めるかのように、視聴者に対して現状の「アーキエイジ」の好きなところや不満点を聞いて回っていった。
そんな石元氏が、メディアを招いて復帰会見ならぬ復帰インタビューを行うという。
今回Gamebizでは、プロデューサーとして、またプレイヤーとして復帰した石元氏に「久々にアーキエイジをプレイした感想は?」「ユーザーの反応ってどうだった?」「2年降りに戻った感想は?」「復帰はドキドキしなかった?」「これから何をしていく?」「また甲冑を来たり、刀鍛冶をするなど、ぶっ飛んだプロモーションをするの?」など、様々な疑問をぶつけてみた。
※なお本インタビューは各メディア合同で実施している。
石元 一輝
(いしもと かずき)
「アーキエイジ」日本版の運営プロデューサー。「GMルシウス」こと「ルシP」としての愛称でもおなじみ。「アーキエイジ」日本版では、サービス前から携わり、7年間運営を行う。その後、人事異動で他タイトルの運営を経て、2022年3月に同タイトルのプロデューサーとして復帰。運営8年目が始まった。
復帰して改めて感じた「アーキエイジ」の魅力
――:「アーキエイジ」から離れて2年、今回運営プロデューサーに復帰されました。復帰が決まったときの率直なお気持ちを教えて下さい。
「遂に来たか」というのが率直な感想です。2021年秋に「アーキエイジ」に戻るかもというのは感じていました。だから急に降ってわいた話ではありません。
ただ「アーキエイジ」は仕様が複雑です。どのタイトルよりも覚えることが多く、気をつけなければならない部分がある。だからこそ身を引き締めなければいけないとも思いました。
――:「アーキエイジ」に戻ってきた今、本作品の魅力を改めてお願いします。
唯一無二なところです。シームレスの世界に自分たちが住宅地という形で世界を作っていけるゲームは「アーキエイジ」しか無いと思っています。
その世界の中で勢力という縛りがあり、その勢力に貢献するコミュニティの強さは変わらず強いタイトルだと思っています。
「アーキエイジ」に戻ってきた際に、米を植えれば生活ができます。装備の更新を頑張るという意気込みではなく、「お米を植えるか」くらいのテンションで再開できるところにも魅力があります。
ユーザーさんも優しい人が多く、仲間意識も強いところです。
――:戻ってきたことで再発見した「アーキエイジ」の魅力はありますか?
再発見した魅力は、何もしていない時間がゲームとして成立していることです。自分の住宅の近くに誰かが来て、コミュニケーションを取る。その間はゲーム内での生産的な行動ではありません。ただ不思議なことに、それがゲーム内の生活要素として成立している。供給されるコンテンツを消化するだけではないという点が「アーキエイジ」の魅力だと思います。
海岸沿いの小高い丘にキャラクターを2人座らせて、チャットで喋る。その先の海ではユーザーさんが操る船が通り過ぎる。素敵な世界です。
――:石元さんが運営に関わっていた2年前と比べて、現在の「アーキエイジ」は変わりましたか?
「アーキエイジ」のベースは変わっていません。ただ遊びの幅は広がったと思っています。「アーキエイジ」を離れる前のインスタンスダンジョンでは、強力な敵と死闘を繰り広げるといったことは多くなかったです。どちらかというと農業などの生活要素や勢力争いという部分がメインでした。
2年経って戻ってみると、マップが増加していて、ダンジョンで強力な敵を相手にするための装備の強化、PVPの攻略などが活発化しています。
またキャラクターの職業を左右する「適性」の数は11でしたが、今は14まで増えました。「適性」が増えると職業が増えるのは「アーキエイジ」の面白いところです。
自身がプレイする際には2年前はプライベートで「野生」という弓を使う「適性」を選択していました。今回は「狂気」という銃を利用する「適性」が気になっています。使い勝手も良さそうですし、「野生」と使い分けながらプレイしていきます。
――:2年前からの変更点で特徴的な内容はありますか?
ゲーム内の時間の使い方が変わった点です。主に生活面ですが、ハウスフェアリーという生活をサポートする仕組みが入り、かなり便利になりました。当時は手作業でした。手作業のほうが効率は良いのですが、ハウスフェアリニーにまかせている間、ユーザーさんは狩りなど別のことができるようになっています。
――:では、2年前に比べて戸惑いを感じているところはありますか?
UIが大きく変化したことです。見たことがない項目も多くてかなり戸惑いました。メンバーが周りにいるので確認はできるのですが、ユーザーさんはそうはいかない。
前に運営していたタイトルはWASDキーを使っての操作ではなく、視点移動もなかったので、違和感がありました。
特に戦闘に関しては操作方法に加えて、スキル数の多さに「なんて難しいゲームなんだ」と思いました。
――:ショートカットの打ち間違えもありそうです。
よく間違えてます。欲しいアイテムがあるのに、どこで手に入るか思い出せないことも多々あり、とにかく一苦労でした。
――:逆に「これは面白い!」「これは新鮮!」だった点はありますか?
先程スキルの話をしましたが、全く変わっているのが新鮮でした。スキル名すら変わっている。
「適性」とスキルでこんなに悩んだのは久しぶりです。
――:休眠しているユーザーも復帰すれば同じ体験をすると思います。運営を再開するにあたってこうしたいという点はありますか?
復帰のための土台作りを整備して拡充していきます。
自身が休眠復帰したプレイヤーになるとは思っていませんでした。久々に戻るゲームの感覚は体験できないので、そこは活かしたいです。復帰して感じたことは片っ端からメモを取り、関係各所に確認しています。
7年間やっていてもそう感じるので、みなさんはもっと大変になると思います。
――:「アーキエイジ」から離れていた2年間は別タイトルの運営をされていました。今後のゲーム運営で活かせそうなことはありますか?
別のタイトルを運営していて何よりも感じたのは、利便性の改善と調整が非常に優秀であったことです。改善や要望を検討したときにその通りにアップデートされていきます。自分でアップデートした機能を紹介しやすかったです。その部分は「アーキエイジ」が少し足りていなかった部分かなと思っています。
これから運営を行っていくに当たってはユーザーさんの声を可能な限りピックアップして、導入できるよう意識したいです。
「アーキエイジ」の運営8年目、これから
――:今後のことについてお伺いします。『アーキエイジ』を今後どのようなタイトルにしていこうと思っていますか?
「アーキエイジ」は元々もっていた良さが変化しているわけではありません。よりコミュニティを作りやすく、活発であり、楽しくできるような環境にしたい。
「もっとこうすればいいのに」という要望を開発元に細かく提案し、仕組みとして取り込んでいけるかが、自身に課せられた使命だと思っています。
――:具体的にやってみようと考えている施策・企画など言える範囲で教えて下さい。
フロンティアとユートピアというサーバーが分断されている状況です。先日の配信で不満点や要望を聞いた際には多く目にした内容で、技術的に難しい部分もあるかと思いますが、取り急ぎケアしたい点です。
それ以外では、マッチングの部分やプレイのしやすさといった点の対応があります。この改善でコミュニケーションがしやすくなると予想しています。一番最初にやる予定です。
――:「アーキエイジ」の今後のアップデートに関して教えてください。
4月のアップデート以降に関して、細かい部分はまだ言えませんが夏前後に大きな動きがあると思います。「アーキエイジ」はロードマップなどは出していませんでした。この点に関しては前向きに検討しています。
――:先日の生放送では冒頭からサプライズ登場し、お祭り感がありました。感想はいかがでしょうか。
やってよかったです。ただ最初は怖かったです。「いまさら帰ってくんなよ」なんて厳しい言葉も覚悟していました。そんな心配もよそに暖かく迎えていただきました。前に見たことのある運営が、昔のままのスタイルで語り始めたのが良かったのかなと。すごく助かりました。
生放送では、視聴者さんからの意見を頂くスタイルにしました。
――:戻ったときに印象的なこと、言われて感動的だった言葉はありますか
「おかえり」と言われるとは思わなかった。最初にそのコメントを見たときに、「良かった」と思いました。その一言のおかげで2年前の同じテンションとスタンスでやっても大丈夫だと確信しました。
――:「おかえり」と言われたゲームプロデューサーはいないと思います
あの言葉は分岐点でした。「お前、誰だよ」になったら姿勢を正さないといけません(笑)
――:生放送を配信するきっかけはどういう流れからなのでしょうか。
自分で手を上げて勝手に始めました。インタビューの最初でもお話したように、「アーキエイジ」のトレンドがまったくわからなくなっていました。
復帰するに当たって運営メンバーにも確認をしても、2年間の空白を埋めるには全く足りない。ユーザーさんとの感覚のズレも感じていました。
それならば復帰の報告とともに、そこでユーザーさんの要望を聞く事もやったほうがいい。それができるのは、今回の一回限りでした。
復帰報告の後に、生放送でユーザーさんにヒアリングをしても説得力がない。
ユーザーさんからは「その間に頭に入れる時間があっただろう」と言われてしまう。復帰してすぐにやらないと納得感がないと思ったんです。
――:生放送をすることで様々なリスクがあると思いますが、あの復帰発表とユーザーさんに要望聞いていくスタイルはあえて取ったしょうか。
自身のリスクはなかったと思います。せいぜい叩かれるくらいで。叩かれたら「すまん、そういうことなんだ」「やるしかないんだ」と。
――:石元さんが関わってなかった2年間の不満がいきなり吐き出される可能性もある。
まさにあの配信ではそうした声もありました。そこはしかたありません。取り繕ってもメッキは剥がれます。「わからないなら、わからない」と言ったほうがユーザーさんは納得してくれるかなと思います。
もちろんユーザーさんから戻ってきた段階で「プロデューサーなら頭に入れとけよ」と思われるかもしれない。その一方で「アーキエイジ」を7年間運営して培ってきたお互いの信頼関係もありますし、受け入れられるのではと考えました。
――:ゲームオンには非常に特徴的なプロモーションをしている印象があります。過去には石元さんが甲冑を着るなど際立った内容がありました。プロモーションの今後に関しても教えてください。
プロモーションはまたやりたいです。これまでやってよかったプロモーションのTOP2があります。その一つが甲冑をきたプロモーションです。アーマードバトルを甲冑を着て体験するあれは良かった。後世にいじられ続けるという意味でおいしい体験ができました。
もう1つが刀鍛冶のところまで行き、実際に鍛冶体験をできたことです。運営側もわくわくしましたし、「アーキエイジ」の全く関係のない層にも見てもらえました。
それからどこかで集まって食事しながら時間を過ごすのも楽しいと思います。ただおもしろさを追求したいので、釣り堀など他のタイトルではできないことを体験してもらいたいという気持ちもあります。
怒られないのであれば、麻雀もいいですね。ゲームにちなんだ体験をしてもらえる。そんな記憶に残るプロモーションがしたいです。
「アーキエイジ」の周年にあわせてプロモーションできればいいんですが、まずは情勢を見ながらです。コロナの影響もあって、やりにくい状況ではあります。
――:世間の空気を読みながらですね。
そうですね。肌感覚としては夏を意識していますが、炎上したら目も当てられないので。
――:アクティブユーザー数など具体的な目標があれば教えてください。
もうゲームから離れてしまった方がいる。そんな休眠しているユーザーさんの復帰者数を1.5倍〜2倍にしたいと思っています。
――:これまで「アーキエイジ」を続けてプレイしている読者に一言。
「アーキエイジ」を続けてくれている読者の皆様には「ありがとうございます」しかありません。
また「アーキエイジ」の運営を行っていくにあたって、様々なお声をいただくことがあります。そういった声が届かないとピックアップができない。データから拾える部分はありますが、生の声が一番伝わります。そんな声が届くようにたくさん遊んでほしいです。
――:これから『アーキエイジ』を再開/開始しようと考えている読者に一言。
「アーキエイジ」はいつ戻ってきても、あまり最前線が存在しないゲームです。肩には力をいれずに「たまにはやってやるか」といった感覚で戻ってきていただけると良いなと思っています。
装備の点で言えば、上を目指せば沢山あり、その道のりも長い。ただその点以外であれば、ゲームの大部分で遊べます。休眠しているユーザーさんであれば、以前と違った楽しみ方もできると思います。
――:本日はありがとうございました。今後の活躍を楽しみにしています。
さて、今回冒頭で紹介した生放送「【ArcheAge公式】世論調査!アーキエイジャーのみんな教えて!【特別生放送】」についてはアーカイブされているため、今も見ることができる。あわせて確認してもらえば幸いだ。
■関連サイト
会社情報
- 会社名
- 株式会社ゲームオン
- 設立
- 2001年4月
- 代表者
- 代表取締役CEO 文 智秀/代表取締役COO 李 一守
- 決算期
- 12月