
ブシロード<7803>のグループ会社である劇団飛行船が手掛ける完全オリジナルの舞台『タタラの唄姫』。
本作は、荒廃した日本を舞台に刀剣と唄が舞い、咲き乱れるダークアクションライブステージ。
この作品では、封印から目覚めた悪霊が人間を喰らい、日本の人口は半減している。
そんな世界の中、メインキャラクターである琴音 遥 ・出雲 あずみ達は、一切の情報が秘匿とされている“桜花妖錬高等学校“に入学。そこは国防を運命付けられた少女達の学校であり、ここから物語がスタートする。
まだまだ謎の多い作品だが、今回gamebizでは、本作に出演する河内美里さん(琴音遥役)、星守紗凪さん(出雲あずみ役)、新田恵海さん(篠笛加奈役)の3名にインタビューを実施した。本人たちもネタバレを気にしながら慎重に言葉を選んで取材に応じてくれたが、ここから作品の雰囲気を掴み取ってもらえたら幸いだ。
写真左:出雲 あずみ役/星守 紗凪さん
写真中央:琴音 遥役/河内 美里さん
写真右:篠笛 加奈役/新田 恵海さん
いつの時代でも愛されるテイスト

――まず、本作の話を聞いたときの第一印象から振り返ってもらえますか?
河内さん:オリジナル作品ではあるものの、お話をいただいた時点ですでに世界観や設定が細かく作り込まれていて、スタッフの皆さんの思いが詰まった作品だと強く感じました。出演者の皆さんもさまざまな場面で活躍されてる方ばかりで、そこに私も立たせてもらえるのはとても嬉しいです。
星守さん:個人的な話ですけど、以前から殺陣の練習はしていたんです。だけど刀を持てる作品はそれほど多くないので、今回は「刀を振れるぞ」と(笑)。キャラクター的にも刀を持ち、戦う役なので、今はもう「暴れたい」という気持ちでいっぱいです。
新田さん:お話をいただいた際に企画書やイメージビジュアルもいただいて、それを見た瞬間に好きになりました(笑)。和装の女の子が戦う姿はとても素敵で、いつの時代でも愛されるテイストだと思うんです。私自身も重要な役をいただいて、共演者の皆さんと一緒に作品を作れるのが今から楽しみです。
――皆さんが演じるキャラクターについてはどんな印象をお持ちですか?
河内さん:私が演じる琴音遥は「唄姫」という作品の重要な存在で、キャラクター設定には明るいタイプではないけど、歌声にはすごく彼女の奥に眠っている温かいものが表れると書いてあったんです。それを芝居と歌で表現しなければいけないのかとプレッシャーも感じました。芝居だけでなく歌声でもキャラクター像を深めなければと思いましたね。
星守さん:出雲あずみちゃんは、伝説の剣士に憧れて戦いに身を投じる人物で、すごくやる気にあふれているんです。私も戦う人に憧れて殺陣を習い始めたので共感できる部分があり、あずみちゃんがリンクできるところもあるのではと、今から演じるのが楽しみです。
ただ、元気なあずみちゃんですが、きっとその背景にはさまざまな出来事があると思うんです。それが遥と出会うことでどんな変化が起こるのか、という点にも注目してもらいたいです。
新田さん:私が演じる篠笛加奈という人物は、遥やあずみが通う桜花妖錬高等学校の校長先生という立場です。ただ、私自身どこまで語っていいのか…(笑)。彼女たちを導くというか、誘うというか、そそのかすというか…戦いの中に送り込む役割です(笑)。おそらく一度見ただけでは分からない、2回見て初めて「おや?」と気付ける部分もある、そんな謎に満ちた存在ですね。
――すでに撮影のために衣装も着ていますが、ビジュアル面ではどんな思いを抱きましたか。
河内さん:遥とあずみは同じ学校の学生ではあるんですけど、羽織のデザインとか丈、素材感が細かく違うんです。
星守さん:私の演じる出雲あずみは剣士でが刀を振るって戦うので、全体的に丈が短くなっているんです。足元も剣士は靴下、唄姫はタイツと、はっきり分かれています。
河内さん:衣装だけでもかなりのこだわりが感じられます。きっと他のキャラクターも細かく変化していると思いますし、見た目だけでも楽しめる作品だと思います。
新田さん:私の場合はぜんぜん違う、校長先生ではあるんですけど、見た目は「女将校」ですよね。この衣装にも細かいところで和風のエッセンスが織り交ぜてあるので、好きな人には刺さる、そんなビジュアルかなと思います。
――ちなみに、ご自身が演じるキャラクター以外で注目してほしい登場人物はいますか?
河内さん:登場する人物全員にバックボーンがあって、それを知ってしまうと特定の誰かを挙げるのは難しいですね…。
星守さん:本作には当然、私たちの相手となる存在もいるんです。そんな人たちの過去もしっかり描かれていて、どっちが悪でどっちが正義かも分からなくなるストーリー展開です。自分たちの気持ち、信念、正義がぶつかり合うのはとても美しいですし、キャラクターごとの正義に注目してもらうのがいいと思います。
新田さん:あくまで見た目のインパクトで言えば、美山玲は衣装からしてまったく違いますから、みなさんもすぐに覚えられるんじゃないかと思います。彼女は呪術師で、ストーリーの中でもインパクトを残してくれるはずです。
もうひとつ注目してほしいのは、私たちのキャラクター名ですね。私が演じる「篠笛 加奈」もそうですけど、基本的には現実世界と同じように苗字と名前があるんです。だけど中には「ちよ」「すず」といった名前だけ、しかもちょっと古風な名前の付け方をされている人もいます。彼女たちが何者なのかというところも気になりますね。
ストーリーも演出も刺激的に

――続いて、ストーリーの印象も聞きたいのですが、ネタバレもあるのでどこまで話せるのか…。
星守さん:確かに(笑)。私としては、遥とあずみというデコボコな2人がいかにして出会い、協力するようになるかは注目です。そして他にも作中にはペアがいて、どういう関係なのかを考えながら見ると楽しいと思います。
新田さん:ペアごとにもさまざまな背景があって面白いですよね。元々仲が良いのかもしれないし、ここで初めて出会ったのかもしれないし、仲が悪いのかもしれないし(笑)。そこに注目することで登場人物にも深みが出ると思いますし、きっと誰かに感情移入して、応援することができるんじゃないかと思います。
河内さん:個人間だけでなく、ペアとペアの関わり合いというのも生まれていくんじゃないかと。「あのチームはこんなに戦えるのに、私達はまだまだだ」みたいな葛藤、あるいは友情だってあるんです。ある意味ではライバルで、だけど向かうべき敵は同じで、さまざまな感情が垣間見える作品です。
――アクションシーンも気になるところです。
河内さん:アクションに関しては私たちも、「過激な表現も使う」ということは聞いています。どんな舞台でも殺陣やアクションシーンは少なからず入るはずですけど、あえて発言するということは、相当な表現になるんじゃないかと思います。
新田さん:ジャンルからして「ダークアクションライブステージ」ですからね。ダークと付くくらいですから、ストーリーも演出も刺激的であり、より格好よくなると思います。
星守さん:上演する劇場も、観客の皆さんとの距離が近いので、より臨場感を味わえると思います。それだけに、びっくりする演出が苦手な人は音量を下げるために耳栓をしていたほうがいいかも…?(笑)。これは冗談ですけど、そのくらいしてでも、実際に劇場に足を運んで、生で体感してもらいたい作品です。
――特に河内さんと星守さんは実際にアクションに挑戦すると思いますが、意気込みはいかがですか?
河内さん:アクションはやったことがありますけど、「ダークアクション」となると、どんな仕上がりになるんだろうと私自身も気になっています。きっとかっこいいだけでなく、おどろおどろしい感じ、生々しさも味わえるものになると思うので、そこはしっかりと表現したいです。
星守さん:私たちも、そして敵対する人たちも命を賭けた戦いを繰り広げるのは間違いないです。そのリアルさを表現して、皆さんの心にも刺さる舞台にしたいです。
何度も劇場に足を運んでもらえる作品にしたい

――この作品は、封印されていた悪霊が目覚めて、人々に取り憑くことがキーになってきます。皆さんが実際に取り憑かれるとしたらどんな悪霊だと思いますか?
河内さん:弱みにつけ込まれるのだとしたら、「ご飯をいっぱい食べちゃう悪霊」とか?(笑)。悪霊というより守護霊になっちゃいますけど、私の亡くなったひいおばあちゃんはすごくマメな性格で、自分でできることは全部1人でやっちゃう人だったんです。もしもひいおばあちゃんが私の中にいてくれたら、もっと早く起きて、丁寧な暮らしができるんじゃないかなと思います。
新田さん:守護霊の話をすると、私にはもう憑いてるのではと思う瞬間があったんです。私は元々物をなくす性格で、財布とか携帯電話とか、すぐになくしちゃうんです。ただ、なくしたものは全部手元に戻ってきてくれるんです。カードの再発行は一度もしたことがなくて、これはもう霊的な幸運としか言いようがないです。
星守さん:私に憑いているとしたら、ぐうたらになる霊かも(笑)。猫と一緒に暮らしているんですけど、休みの日には猫と2人でダラーっとしているだけです。今はなんとか頑張って外出しているような状態です。
――もうひとつ、もしもこの作品の登場人物になったとしたら、皆さんはどんな存在になっていると思いますか?
河内さん:私、この世界だと一般人になってるかも。
新田さん:いやぁ、美里ちゃんはないでしょ(笑)。
河内さん:でも、結構大変な世界だから(笑)。強いて言うなら、子供のころから将来の夢は歌手だったんです。何よりも大きい声で歌うのが好きなタイプだったし、きっと自分がここにいても歌うかな…。少なくとも、戦うよりは歌うほうがしっくりきます。
星守さん:大前提として、この世界で戦いたくはないですけど…(笑)。でも登場人物に憧れて、学校に入りたいとは思うかもしれません。実際に戦って活躍できるかはわからないけど、「戦えたら格好いいな」とは思ってそうですね。
新田さん:私はどうだろう…まずはこんな世界になったことを恨んでるかも(笑)。今までもずっと歌とは切っても切り離せない人生を送ってきたので、やっぱり別の世界だとしても歌は歌っているのではと思います。
――7月の公演に向けて、ここから稽古も本格化していくと思います。最後になにか一言、意気込みをお願いします。
河内さん:おそらく現時点では分からないことがたくさんあると思うんです。そんなみなさんにもしっかり作品のイメージが伝わるように頑張っていきたいです。もちろん、「ダークアクションライブステージ」の緊張感も味わっていただけたらと思います。私としてはこの舞台だけで終わらず、いろんな展開ができたら面白そうだとも思っているので、まずは舞台と向き合い、先に繋げていけたらいいですね。
星守さん:すてきな共演者ばかりですので、まずはひとつのチームになって、みんなで素晴らしい作品を作り上げたいです。ストーリーに関しては言えないことが多いですけど、舞台を見に来ていただければ、想像以上の凄さを届けられると思います。生で見たらとてもたくさんのものを感じられる作品なので、ぜひ劇場に足を運んでもらいたいです。
新田さん:ここから始まる完全オリジナルのステージということで、我々役者、そしてスタッフさんたち、なによりファンの方たち全員で作り上げる作品だと思います。ダークであり、アクションであり、ライブでもあるという情報量が多い作品ですけど、きっと皆さんが納得できる出来栄えになるはずです。ぜひ何度も劇場に足を運んでいただきたいですし、そう思っていただけるように頑張ります。

©タタラの唄姫
会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高561億7500万円、営業利益48億6800万円、経常利益48億4400万円、最終利益34億1800万円(2025年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803