HEROZ<4382>は、この日(5月6日)、将棋AIを活用したプロ仕様の将棋AI研究をサポートする「棋神アナリティクス」を提供開始したことを発表した。一斉に受け付けるのではなく、将棋AI研究で事前登録を受け付けており、段階的に案内しているそうだ。サービスの提供は対象範囲を段階的に拡大し、将来的に将棋ファンに提供していく。
「棋神アナリティクス」とは、ブラウザ(スマートフォンも含む)で手軽に最新のディープラーニング系将棋AI「dlshogi」と、やねうら王系将棋AI「水匠」での同時解析ができるサービス。高額な初期投資をせずに、ボタン一つで誰でも簡単に操作できるUI/UX環境を用意し、将棋AI研究をサポートする。
今後、「dlshogi」最新モデルは「棋神アナリティクス」でのみ提供となり、今回5月5日に第32回世界コンピュータ将棋選手権で優勝した「dlshogi with HEROZ」も提供する予定。加えて、コンピュータ将棋大会で優秀な成績を収めた将棋AI開発者と連携した最新モデル提供も予定している。本サービスのクラウドサーバーは、性能比較しAlibaba Cloudを採用している。
昨今ディープラーニング系将棋AIを活用した研究は、ハイエンドなGPU/CPUを必要とし、高額な投資が必要となった。加えて導入の煩雑さもあり、将棋AI研究の情報格差は拡大の一途を辿っている。今後はディープラーニング系将棋AIには高額な開発費もかかることから、ライセンスの問題も想定している。今回のサービスでは、将棋AI研究の参入障壁が是正され、研究を望む人にもっと手軽に将棋AI研究環境を提供し、技術向上に貢献したい、としている。
■関係者コメント
-HEROZ AIエンジニア dlshogi系開発者(dlshogi) 川島 馨 氏(PN:山岡忠夫)
ディープラーニングを使ってトップレベルの将棋AIを作ることを目標に2017年より「dlshogi」の開発を行ってきました。開発したものを多くの人に使ってもらいたいという思いで、開発したdlshogiを公開してきました。最近では、棋士の研究にも取り入れられるようになっています。一方、dlshogiの導入には、高価なGPUと専門知識が必要で誰でも利用できる状況ではなかったため、クラウドで利用したいという声や、利用できる人とできない人で情報格差が生まれることを懸念する声がありました。「棋神アナリティクス」は、将棋AIの導入のハードルをなくし、誰でも簡単に利用できるサービスになっています。ぜひご活用いただきたいと思います。
-HEROZ AIエンジニア dlshogi系開発者(GCT) 加納 邦彦 氏
「棋神アナリティクス」により、一部のトップ棋士だけが保有する高額PC、都心/地方/海外在住等の居住地によるデジタル情報格差を解消します。最新鋭の将棋AI解析を意欲ある方、誰もが手軽に利用できるようになりました。将棋の普及発展と棋力向上、将棋を通じた交流親善、コンピュータ将棋の進歩に貢献できることを嬉しく思います。
-HEROZ 代表取締役Co-CEO 林 隆弘 氏
AI企業として多くのAIエンジニアが在籍しており、将棋AIでもdlshogi、GCT、nozomi、Apery等の開発者も在籍しています。また、対戦アプリの将棋ウォーズ(日本将棋連盟公認)を展開し、670万人以上の方々にご利用頂いており、私自身も将棋ファンのひとりです。これまで個別に棋士の方々から将棋AI活用の相談を受けて来ましたが、ディープラーニング系将棋AI(dlshogi等)の台頭により、インストールやライセンス問題等含めて、導入ハードルはより高いものとなってきていました。
今回、「棋神アナリティクス」はSaaSでの提供となるため、インターネット環境があれば、PC、スマートフォン、タブレットからいつでも手軽にサービスを利用できるようになります。情報格差を解消しつつ、将棋界のDXに貢献できることを嬉しく思います。
-棋士 森内 俊之九段
将棋AIの進化に伴う技術革新があり、将棋界は激動の時期を迎えています。今回、「棋神アナリティクス」の提供が開始されるとのことで、より多くの方が将棋の真髄に触れる機会が増えるのではないかと感じています。
-棋士 谷合 廣紀四段
コンピュータ将棋はハードウェア・ソフトウェア面ともに日々進歩しており、一度高額な投資をして環境を整えても2~3年で型落ちになる懸念があります。それを回避する一つの手段がクラウドコンピューティングですが、その環境構築も一定のスキルレベルを要するため、なかなか気軽に導入できない現状がありました。「棋神アナリティクス」はこれらの問題を一気に解決し、多くの方が簡単に最新のコンピュータ将棋に触れることができる、まさに将棋界にとって待ち望まれていたサービスだと思います。
会社情報
- 会社名
- HEROZ株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役Co-CEO 林 隆弘/代表取締役Co-CEO 髙橋 知裕
- 決算期
- 4月
- 直近業績
- 売上高48億4100万円、営業利益4億5100万円、経常利益3億6800万円、最終損益:11億3400万円の赤字(2024年4月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4382