【ハイカジ道】タツマキゲームズ代表・畑佐氏の特別連載「全米一位への道」…第2回テーマは「ハイカジづくりに必要なものと、イケてるアイデアの出し方」

畑佐雄大 タツマキゲームズ代表取締役
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第2回:ハイカジづくりに必要なものと、イケてるアイデアの出し方

 ハイパーカジュアルゲームを中心に、開発やパブリッシングをしているタツマキゲームズ株式会社、代表の畑佐(はたさ)と申します。ハイカジ道特別連載企画の第2回目は、ハイカジづくりの初歩の初歩について解説していきたいと思います!

最低限必要なものは?

 限界まで削ぎ落とすと、ハイカジをつくるためにずばり必要なものは「アイデア」と「Unity(開発ツール)」の2つです。自分でUnityを使った開発ができない人は「Unityで簡単なゲームが作れる仲間」がいてくれれば解決です。

 用意するパソコンも、Macじゃなくても大丈夫。基本的に最初のプロトタイプはAndroid向けアプリとしてつくることがほとんどのため、普段のゲームに使っているようなWindowsパソコンでもがあれば、全く問題なしです。

 絵が描けなくても、おしゃれなデザインができなくても大丈夫。ハイカジのプロトタイプは、そのほぼ全てが「アセット」と呼ばれる「素材」を買って、それらを組み合わせることで構築していくからです(そういう意味では1万円ほどの「アセットを買うためのお金」も必要になりますが…)

 すでにUnityを使ってゲームなどを開発されている個人開発者の方は、アイデアさえあればハイカジはすぐにつくれますし、新規事業として新しく何かにチャレンジしてみたい企業の方でも、社内やパートナーのUnityエンジニアが1人いれば、アイデアは他のメンバーで出し合うなど工夫して、ものすごくローリスクで始めることができるんです。

でも広告の知識とか要るんでしょ?

 心配しなくていいです!というか、最初は気にしなくて大丈夫です。本当に。

 いざハイカジを始めようと思って色々と情報を集め始めると、本質のゲームづくりの部分にとどまらず、見慣れない小難しい広告用語がいっぱい出てきて混乱したり、引け目を感じたりするかと思いますが、そこで立ち止まって「まず広告の知識とかちゃんと理解してから始めよう」と考えるのはオススメしません。ほんとうに大事なのは「まずつくること」です。その後のことは「つくってから」考えましょう!自分の場合もそうでした。

 これは本当に心の底から声を大にして言いたいです。大丈夫です、とにかくまずはつくってみましょう!

ハイカジっぽいアイデアの考え方

 いざ、ハイカジをつくってみようとアイデアを考え始めたときによく陥るワナが「ゲームっぽくしすぎる」ということです。私自身も最初はそうでしたが、ゲーム好きな人ほど、より面白く刺激的にしようとルールや仕組みを複雑にしてしまう傾向があります。

 そんなときは実際にハイカジで遊んでいるプレイヤーを想像してみると良いかもしれません。具体的には自分の親世代(10代20代の方であれば祖父母世代)となるような人たちをイメージしてみてください。つまり「普段は全くゲームに触れてきていない人」であり、「積極的に選んでゲームを遊ぼうとしない」といった人たちです。HP(エイチピー)という言葉が何を意味しているのか、といったような「ゲームの常識」は通じないと思っていたほうが良いです!(笑)

 そういった人たちにも分かりやすいゲームにすることを心がけるだけでかなりハイカジっぽくはなるのですが、そのポイントは「日常生活の中の当たり前」をそのままゲームルールにして、それに従うことです。

日常生活からゲームをつくる

 この、日常生活の当たり前からゲームをつくることで、普段ゲームを遊ばない人にもルールがぐっと伝わりやすくなります。具体的には「ボールは高い方から低い方へ向かって転がる」「ロープは物を縛ることができて、強く引っ張ると切れる」といった物理法則から、「メイクは上手いほうが良い」「お金はいっぱい貰えたほうが嬉しい」のような「こうだったら普通みんな嬉しいよね」という共通の価値観まで、いろいろなものが考えられます。

 つまり「どういうテーマ・モチーフのゲームにするか」を決めた時点で「そのテーマが持っている当たり前がそのままゲームルールとして使える」ようなアイデアが、ハイカジとして相性の良いゲームアイデア、ということになるのです。


▲日常生活の中にあるものの中から多くのハイカジが生まれている。

ハイカジでよく使われるテーマ集

 前述までのように、各種セミナーではハイカジは「分かりやすさ」が大事というのはよく言われていることですが、じゃあ具体的にどんなのがいいのよ!というのは、ほとんど教えてくれません(笑)

 そこでこの記事ではせっかくなので、もっと具体的に、日本語の情報では恐らくほとんど見かけることのない「このテーマを採用するとハイカジっぽさがぐっと上がる」というおすすめテーマを公開しちゃいます! あくまでもタツマキゲームズ的な独断のおすすめになるので、そこはご了承くださいませ…。

ボール ただの球体からバスケットボールやボウリングなど、ボールとその物理法則を使う
富と名誉 お金を集めたり、仕事やキャリアでどんどん成功していくようなテーマ
ファッション 服を着飾ったり、デザインしたりするようなテーマ
メイクアップ 化粧をするメイクアップや、髪型を整えるヘアメイク等のテーマ
ネイル・脱毛 ネイルアートでキレイにデザインしたり、脱毛をテーマにしたゲーム
医療・手術 怪我している人を治療したり、医者になりきって手術をしたりするテーマ
ロープ、紐 ロープや紐の特性・物理法則やブラブラした動きを活かす
整理整頓 散らかったものをキレイに片付ければOKというテーマ
食べ物・料理 野菜や肉などの食べ物を扱ったり、うまく料理すること自体をゲームにしたテーマ
犯罪・警察 犯罪を取り締まる警察官やレスキューになったり、逆に自身が犯罪を起こしたりするテーマ

 いかがでしょうか? ダウンロードランキングに入っているハイパーカジュアルゲームを見てもらうと、上記のようなテーマを使ったゲームもいくつか見つけられることと思います。上記のテーマはあまり時期に左右されている感じではなく、普遍的に、常に多くの人に受け入れられているテーマかなと思います。

 これらに共通することとしては「世代を問わず、誰でも”うまい” ”下手" や ”良い” “悪い” がすぐに分かる」「特に女性に受け入れられやすい」「文化や言語によって良し悪しが変わりにくい」ということが挙げられます。逆に言えば、それらが共通している新しいテーマをいち早く見つけることができれば、大ヒット作のハイカジを生み出すこともまだ夢ではないかもしれません。

今回のまとめ

 ハイカジづくりにおいて、何より大事なのは「アイデアをたくさん出すこと」と「恐れずまずはつくってみること」です。アイデアを考えるときは机に座ってうーんと悩むのではなく、常に頭の片隅に置いてご飯を食べたりお風呂に入ったり、日常生活を過ごすことを意識してみると良いと思います。

 また、上記に記載したようなテーマはハイカジでは大外ししない手堅いテーマなので、それと自分が普段遊んでいる他のゲームの仕組みやルールを組み合わせてみるような考え方をするだけでも、ヒットするアイデアが生まれる可能性は存分にあります。そして、思いついたことはくだらないことや些細なことでも片っ端からスマホにメモしておきましょう。それらを後から組み合わせることだってできます。

 ぜひ、これを機に少しでもハイカジにアイデアを巡らせてもらえたら嬉しいです。

オマケ:前回載せきれなかったデータ

 連載第1回目(関連記事)の内容でハイパーカジュアルは2017年頃から伸びてきていると書かせていただきましたが、その一端が感じられるデータをご提供いただきましたので掲載させていただきます!

 これは、2017年から2022年の8月までの全世界・全ゲームのダウンロード数を上から順に集計し、順位付けした表になっています。黄色く塗ったものがハイカジに分類されるタイトルですが、単純に左から右に見るだけでもランクインしているハイカジのタイトル数が増えていることが分かります。これは約2年毎のまとめなので、1タイトルのピークがそこまで長くないハイカジとしては1年単位や四半期単位で見ればもっと多くランクインしてくるのではないかと思います。


▲2017~2022年8月 全世界ゲームDL数TOP20(出典:Sensor Tower)

 …その一方で、日本発のゲームがほとんど入ってないのは寂しいですね。。まだまだこれから、日本初のゲームで歴史を刻んでいきましょう!!!

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タツマキゲームズではハイパーカジュアルのあらゆるご相談をお受けしておりますので、まずはお気軽にメールやTwitterでご連絡ください! この連載で書いてほしい内容なども大歓迎です。ホントに何でも聞いてください、包み隠さずお伝えします(笑)

メール:info@tatsumaki.games 
Twitter:ハタサ@タツマキゲームズ(@noots_87

次回予告

次回は「プロトタイプってどうつくる?クリエイターが陥りやすい罠」というテーマで掲載予定です。お楽しみに!

・ハイカジ道 特別連載「全米一位への道」バックナンバーは ⇒ こちら

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