国際メタバース協議会、海外のメタバース法制動向をまとめた「事例報告書(韓国)」を公開

NPO法人バーチャルライツとVR Culture & Rights Committeeによって構成する「国際メタバース協議会」は10月4日、「事例報告書(韓国)」を公開した。


国際メタバース協議会について
(1)設立趣旨
メタバースが国際的に拡大していく中で、各国のアドボカシー団体の政策提言や事業推進等に国際的な視点を取り入れる必要性などについて議論・検討する。また、個別具体的な政策動向についても議論・検討する。

(2)議論の方向性
<外国の規制が及ぼす表現への影響について>
日本国の場合、諸外国の規制事例を根拠とした立法世論の高まりが想定するため、諸外国の規制についてはデメリットについて深く掘り下げる方向性で議論を行う。また、メタバース空間においては多国間のコミュニケーション、取引が存在し、1カ国の規制が他国のユーザー等へも影響を及ぼすことが想定するため、そのようなケースの想定も議論の内容に含める。

(3)議論回数
2022年6月~9月の約6回


報告書の概要
▼報告書全文▼
https://drive.google.com/file/d/1DxlZrGBKGKUY7md2CSH-PouEg61m07ly/view?usp=sharing

(1)韓国における規制世論
女性家族省の次官は「メタバースが10代に対する性犯罪の温床になっている」と具体的な懸念を表明しており、規制の在り方に向けた議論を開始している。一方で、行き過ぎた性表現規制に繋がれば「児童・青少年の性保護に関する法律(通称:アチョン法)」のように数千人規模のクリエイターが検挙する事態に繋がりかねないと韓国のメタバース団体は回答している。※韓国ではアチョン法により「青少年と認識しうる表現物」いわゆる非実在青少年に係る性表現が規制され、クリエイターの創作活動に影響を及ぼしている

(2)具体的なメタバース規制法案について
韓国では既にメタバース規制の第1弾として「性暴力犯罪の処罰などに関する特例法改正法案」及び「情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律改正法案」が国会に提出されている。これらは、アバターを通じて行った性的な行為を規制する法案であるが、定義が明らかではない点、冤罪の可能性、後者の法律は双方の合意があっても認められない可能性などから、メタバースのユーザー、クリエイターから懸念が表明されている。

(3)メタバース関連予算及びWeb3.0について
韓国の科学技術情報通信省は2022年度にメタバースに係る一定の予算を計上しているが、政権交代により一部の施策が停滞している状態にある。また、Web3.0系の落ち込みに伴い、メタバースへの投資も落ち込みつつある。