9月15日~18日(一般公開日は17、18日)に開催されたコンピュータエンターテインメント協会(CESA)主催の「東京ゲームショウ2022(TGS 2022)」。
本項では、16日のビジネスデイにTikTok for Businessブースにて実施されたプログラム「【デベロッパー様必見】広告収入は2、3倍へ倍増!? Pangle新機能「アプリ起動時広告」を徹底解説」の模様をお届けしていく。
プログラムの登壇者はTikTok For Businessの杉田泰雅氏。杉田氏は、M.T.Burnに在籍時にNativeフォーマットのアドネットワーク(Hike)や『LINE Ads Platform(現LINE広告)』立上げプロジェクトに携わってきた人物。2018年からはTikTok for Business Japanのアドネットワーク『Pangle』にビジネスデベロップメントマネージャーとして参加し、『TikTok for Business』及び『Pangle』の立上げから関わってきた。
急成長しているモバイルアプリアドネットワーク 『Pangle』
モバイルアプリ向けのアドネットワーク『Pangle』は、TikTok for Businessの広告需要に特化しており、ユーザーを引き付けるシームレスな広告体験を実現してくれるサービスだ。DAUは7億人以上にリーチ可能、1日あたりの広告リクエストは1150億以上、10万以上のアプリと提携している。
全世界の中でも急成長しているアドネットワークの1つで、日本を含めた東アジアだけでなく、東南アジア、中東、東欧、アメリカ大陸、オセアニアの地域で広告のマネタイズが可能だ。
OSはiOSとAndroid。接続方式はSDK。対応フォーマットはバナー広告、ネイティブ広告、動画リワード広告、インターステイシャル動画広告、アプリ起動広告に対応している。
買付方式はBidding、Waterfall。対応メディエーションツールはAdmob, AppLovin、Google Ad Manager、iRonSource、Ad Generation、Adfully, Geniee、Fluctと、国内はほとんどのものに対応しており、これら以外のメディエーションツールにも対応可能だ。
『Pangle』は世界中のゲームデペロッパ―で使用されている。「動画リワード広告」や「インターステイシャル動画広告」を利用しているアプリのほとんどが『Pangle』を利用していると考えてもらって良いレベルのシェア率とのことだ。
『Pangle』が支持されている理由は以下の通り。
●TikTok for Businessの高いデマンド力
●最先端のアドテクノロジー
●最新のフォーマットの常時提供
●専任の担当者が手厚いサポート
●アプリの価値を守るためのクリエイティブレビューやアドブロックなどのブランドセーフティー機能
●簡単に利用できる管理画面の提供
この6つの要因が影響しているそうだ。
次に『Pangle』の安全性についても言及された。表示される広告は、広告主のTikTokの広告ポリシーに基づいた内容なので、ユーザーにとって安全なものが表示される。ユーザーセキュリティは、『Pangle』のデータセンターで管理している。
コンプライアンスについても各プラットフォームの規約を遵守している。ネットワーク品質もTikTok For Businessの直接的な広告主との連携をはじめ、さまざまな方法で品質担保が行われている。
導入すれば収益が上がりやすいフォーマット「アプリ起動時広告」
ここからは、今回の本題となる「アプリ起動時」の広告について説明が行われた。
これまでのインターセーシャル広告との大きな違いはすぐに広告スキップが可能な点だ。それでありつつ、リワード広告並みに高いフィルレートとeCPMを実現している。日本は特にECからの人気やブランド需要が高く、高パフォーマンスに期待できる。
「アプリ起動時広告」はアジアでは広く採用され、欧米やヨーロッパのマーケットでも認知されつつある。その中で日本のマーケットはブランドやECの広告主が多いため、他市場より高いパフォーマンスに期待できる。収益が30~50%達成している導入事例では、既に「アプリ起動時広告」を利用しているそうだ。
「アプリ起動時広告」の仕様は、入札方法はウォータフォールのみとなる。リクエスト方式はリアルタイム広告リクエストと事前キャッシュに対応しているそうだ。
レンダリングはPangle SDKを使用しており、スキップは0秒から可能。クリック可能な領域は変更可能で、対応クリエイティブは動画と静止画だ。
日本で「アプリ起動時広告」が販売開始され始めてから5年が経過しており、未だ売れ行きが好調なプロダクトだと言う。
続いては、実際の導入事例を元に売り上げの変化を見ていく。サンプルとした東南アジアのメッセージアプリは「動画リワード広告」のみの状態から「アプリ起動時広告」を導入すると売り上げは2倍となった。
東アジアのゲームアプリでは、「アプリ起動時広告」導入後に売上は3倍以上に。東アジアのSNSは「アプリ起動時広告」導入後に売上は2.5倍以上と、どの事例も売上が大きく伸びている。
11月11日の独身の日はEC系のプラットフォームが出稿を多くする期間だ。その期間のパフォーマンスを見ると、「アプリ起動時広告」がもっとも伸び率が高く、WoW eCPM increaseは132%、YoY eCPM increaseは43%と大きな上がり幅を見せた。
この事例を見て杉田氏は「アプリ起動時広告」を「導入すれば収益が上がりやすいフォーマット」と語る。
「アプリ起動時広告」の導入により、デペロッパ―側からアプリのブランド価値やユーザー離脱が起きないのかという懸念も発生する。
ところが、1日の表示回数ごとにリテンションデータを見ると、どのケースを見ても「リワード動画広告」に悪影響は見受けられない。全体のパフォーマンスを見ても、約7%から約19%の上昇が確認できる。
一例として、唯一低下が見られたアプリ起動の2回に1回表示のケースのリテンションに関しても、わずか-0.87%の低下ということで、大きな影響がある数値ではないとのことだ。
フリークエンシーキャップを設定することはできるのかという点については、 デペロッパ―側で設定が可能。Target CPM(Floor Price)を設定しない場合のフィルレートは100%。ユーザーによる「アプリ起動時広告」のクリッカブルエリアの変更も可能だ。
最期に杉田氏は「『Pangle』は、アプリの収益を最大化します。TikTok for Businessの広告需要に特化しており、ユーザーを惹きつけるシームレスな広告体験を作り出し、効率的に成長に貢献します」と改めてサービスの強みを語ってプログラムを締めくくった。
「アプリ起動時広告」はポテンシャルの高いフォーマット
本セッション終了後、gamebizでは杉田氏にミニインタビューを実施。プログラム後の反響やゲーム企業からの声について話を聞いてきた。
――:「アプリ起動時広告」リリース前では、ゲーム系クライアントからはどのような悩みや相談を受けることが多かったのでしょうか。
杉田氏:広告の連続視聴が原因でユーザーが離脱してしまうことを課題として抱えているお客様が多かったですね。
――:今回のプログラム後にてどういった反響がございましたか。
杉田氏:ゼロ秒でスキップができ、かつCPMが高いフォーマットである「アプリ起動時広告」に対して、前向きに捉えてくれたデベロッパーがたくさんいらっしゃいました。
――:今後の展望についてお教えください。
杉田氏:まだまだ「アプリ起動時広告」は浸透していないフォーマットです。
「インターステイシャル動画広告」や「動画リワード広告」も最初は浸透していませんでしたが、徐々に導入数が増えていけば、日本でも浸透してくると思います。
「アプリ起動時広告」の事例を増やし、多くの皆様に使っていただけるように精進いたします。
――:読者に向けて一言お願いします。
杉田氏:少しでも多くのゲームの成功のためにPangleのパフォーマンスを上げていけるように努力いたします。引き続きPangleをよろしくお願いいたします。
なお、Pangleでは現在、特設ページ「アプリ成長学園」も公開中だ。アプリ内のマネタイズやユーザー獲得における事例や情報が紹介されているので、こちらもチェックしてみて欲しい。