【株式】2022年のゲーム関連銘柄、黒字転換&大幅増益企業が上昇率上位に 「ABEMA」で脚光のサイバーエージェントは?


2022年の株式市場のゲーム・アニメなどコンテンツ関連銘柄を見ると、黒字転換や大幅増益など、業績好転(あるいは期待される)企業の上昇が目立った。上昇率1位となったのは、円谷フィールズホールディングスだった。大発会終値532円から大納会終値2727円まで上がった。上昇率は実に412.6%となる。「ウルトラマン」を展開する円谷プロダクションの好調に加えて、フィールズの遊技機事業も好転し、業績が回復してきたことが背景にある。

第2位は、バンク・オブ・イノベーション(BOI)だった。こちらは新作スマホゲーム『メメントモリ』がストアセールスランキングで首位を獲得するなど好調なスタートを切ったことを受けて、2023年9月期の業績回復を期待した買いが入った。『メメントモリ』は、その後は順位を落としているものの、上位をキープするなど底堅さを見せている。

また、ガーラ<4777>も大きく伸びた。こちらはHTML5ゲーム『Flyff Universe(フリフユニバース)』をリリースし、9月中間期の営業利益は2億8000万円と黒字転換に成功した。ブロックチェーンゲームなどWeb3関連サービスにも注力する旨のアナウンスを行っており、株価に反映された格好となった。

ケイブ<3760>も5位にランクインした。こちらは『モンスターストライク』の開発元であるでらゲーを買収したことで業績回復が期待されている。適正な株価水準が見極めづらく、1月12日の決算発表以降に落ち着くのではないか。

アフターコロナによる収益回復への期待から、まんだらけ<2652>や、壽屋(コトブキヤ)<7809>、サンリオ<8136>なども買われた。

2022年は、Aiming<3911>とエイチーム<3622>株式のインサイダー取引で、ゲーム業界から複数人の逮捕者が出た。ゲーム業界では1タイトルのヒットで業績が様変わりし、株価が大きく上がるケースは少なくない。事前に株を売買したい気持ちはわからぬでもないが、発覚すると取引した当人はもちろん、勤務先や関係企業に多大な影響を及ぼす。ふとした機会に機密情報を耳にしてしまうこともあるだろうが、インサイダー取引は厳に慎んでほしい。

※完全な脱線なのだが、記者としては、ゲーム企業への投資は、新薬開発の成功で業績が一変するバイオ株への投資に似たものがあると感じている。

他方、下落組を見ていくと、coly<2405>が54.5%の下落だった。既存タイトルと新作タイトルが振るわず、第3四半期決算は営業損失3億2300万円(前年同期は10億6600万円の利益)となった。業績面で苦戦している状況で、株価にも反映された格好だ。

また、サイバーエージェント<4751>も40%近い下落だった。2021年は『ウマ娘 プリティーダービー』の大ヒットで株価が大きく上がったが、2022年はリリース前の株価(1655円)を下回る水準で1年を終えた。サッカーW杯の全試合中継で「ABEMA」利用者数が大きく伸びたものの、株価への反映は限定的だったようだ。これまで巨額の投資を行ってきた経緯もあり、IR活動としてもそろそろ収益化への道筋が求められているようにみえる。

このほか、モイ<5031>やウェルプレイド・ライゼス<9565>などIPO組の下落が目立った。IPO組については、初値形成日の終値との比較となっている。

【株価上昇率ランキング】

※大発会終値と大納会終値の比較。
※大発会時にも上場していない、2022年に上場した銘柄は、初値形成日の終値との比較となる。
 

【ゲーム関連企業時価総額ランキング】

※単位は億円。