ゲーム会社に就職したいと考える学生は多いのではないだろうか。子供や学生からの”なりたい職業”ランキングでも長年上位に入ることが多い職業である。「マリオ」や「ポケモン」、「ドラクエ」などのゲームの魅力にハマり、ゲーム業界に飛び込んだ人も多いのではなかろうか。
去る2022年秋には、そんなゲーム業界を舞台にしたテレビドラマ「アトムの童」がTBSの日曜劇場でも放送され、昨今でもゲーム業界を志す学生の方は多いといえる。
では、実際にゲーム会社にはどのような職種があるのか、就職するにはどうすれば良いのか。本記事ではまず、主な職種や就職する為の方法をいくつか紹介し、その後、第一歩目となるインターンシップにフォーカスを当てていく。
【目次】
ゲーム会社の新卒採用における主な職種
インターンシップについて紹介する前に、ゲーム会社の新卒採用における主な職種を紹介する。ゲーム業界では主に以下の職種を新卒採用として採用していることが多い。
総合職
ゲーム会社の総合職は、主にゲーム制作における企画、開発、販売、マーケティング、人事、経理などの様々な業務を将来的に担当する職種となる。総合職には、幅広い業務に対応できるスキルやリーダーシップが求められる。
プログラマー
主にゲームの開発に必要なプログラムの設計や開発、修正、保守などを担当する職種になる。プログラマーには、ゲームエンジンの開発やAIの開発、ネットワークの設計など、専門分野を持ったスペシャリストも存在し、ゲームに限らず社内や開発環境の構築・改善も行うこともある。また、ゲームの開発には多くの人数が関わるため、コミュニケーション能力やチームプレイの能力も重要となる。ゲーム業界は常に進化しているため、プログラマーは常に学び続け、成長することが求められる。
プランナー
主にゲームの企画や開発に必要な要素の策定や進行管理、チーム内外のコミュニケーションなどを担当する職種。プランナーには、ストーリーやキャラクター、ゲームシステムの設計など、様々な分野があり、ディレクターと兼任している会社も多い。プランナーは、チーム内外でのコミュニケーション能力が非常に重要であり、プログラマーやデザイナー、アーティストなどの専門家との協力や、クライアントや外部パートナーとの調整なども行う。ゲーム制作において、プランナーはゲームの全体像を把握しつつ、スムーズな開発進行を支える役割を担っていると言えよう。
デザイナー
ゲームのグラフィックやUIなどのデザインを担当する職種になる。デザイナーには、グラフィックデザイナーやUIデザイナーなどの分野がある。グラフィックデザイナーは、キャラクターや背景、アイテムなどのデザインを行い、プログラマーやアーティストと協力して、ゲームのビジュアルを作り上げる。UIデザイナーは、ゲーム内の画面やユーザーインターフェースのデザインを担当し、プレイヤーの操作性や情報伝達を考慮しながら、使いやすいUIを作り出すことが求められる。デザイナーは、専門的な技術やセンスを持ち、ゲームのクオリティや面白さを高める重要な役割を担っており、選考でもポートフォリオの提出が求められることがほとんどだ。
シナリオライター
ゲームのストーリーやキャラクターの設定、台詞などを担当する職種。シナリオライターには、メインストーリーの筆者やキャラクターの設定者、イベントシナリオのライターなどの分野がある。メインストーリーの筆者は、ゲームのメインストーリーを書き上げるために、プロットやキャラクターの設定などを考え、ドラマチックなストーリーを作り上げ、キャラクターの設定者は、キャラクターの人物像やバックストーリーを考え、ゲーム内での役割や描写を決めることが多い。イベントシナリオのライターは、ゲーム中のイベントやクエストなどの小さなストーリーを担当している。シナリオライターは、文章力や創造性が求められるため、執筆経験や小説や脚本を書いた経験があることが望ましい職種となる。
サウンドクリエイター
ゲームの音楽や効果音などの制作を担当する職種。サウンドクリエイターには、作曲家や音響エンジニア、効果音デザイナーなどの分野がある。作曲家は、ゲームのBGMや主題歌を制作するために、ストーリーやシーンのイメージを踏まえた音楽を作り上げ、音響エンジニアは、音の響きやバランスを調整し、ゲームの音響全体を管理する。効果音デザイナーは、爆発や銃声、足音など、様々な効果音を制作し、ゲームの演出を表現している。サウンドクリエイターも音楽制作や音響に関する専門的な技術やセンスが求められる職種となる。
新卒採用ではあまり見ないが、会社によってはディレクターやプロデューサーとして採用する企業もある。こちらも参考までに紹介しておく。
ディレクター
ゲーム制作の全体を統括し、開発チームを指揮するリーダー的な存在。ゲームの企画段階から開発、リリースまでの全工程を責任を持って管理し、クオリティやスケジュール、予算などの調整を行うことが多い。開発チームとコミュニケーションを取り、メンバーのモチベーション管理や、問題が発生した場合の対処法を判断する役割。また、プロモーション戦略の決定や、マーケティング戦略の立案などもディレクターが関わることが多い。ディレクターには、プロジェクトマネジメントのスキルや、ゲーム制作に関する幅広い知識、コミュニケーション能力が求められる為、ゲーム開発経験をある程度積んだ人物に任せられるのがほとんどとなる。
プロデューサー
ゲーム会社のプロデューサーは、ゲーム制作の責任者の一人であり、企画からリリースまでの全工程にわたって責任を持つ職種となる。プロデューサーは、制作チームのリーダーシップを取り、予算、スケジュール、人員配置、品質管理など、ゲーム制作に関する全ての面での決定に携わる。また、市場調査や競合調査を行っての開発方針決定やプロモーション戦略の立案や、マーケティング施策の調整などもプロデューサーの重要な役割となる。プロデューサーは、ゲーム開発に関する広範な知識やチームリーダーシップ能力のほか、ビジネス的な視点も求められる。
ディレクターやプロデューサー、プランナーは企画職としてまとめられることもあるが、これらが主な職種となる。それぞれインターンシップの内容も職種毎によってもさまざまだ。
ゲーム会社に就職する方法 4選
ゲーム業界への就職を希望する学生は、おおよそ以下のような方法で就職活動を進めることができる。
ゲーム業界に特化した就職サイトやイベントに参加する
ゲーム業界に特化した就職サイトやイベントに参加し、求人情報や企業情報を収集することができる。また、業界関係者との交流ができる場でもあるため、自己アピールの機会を作ることが可能だ。
ゲーム業界に特化した人材紹介会社を利用する
ゲーム業界に特化した人材紹介会社を利用することで、自分に合った求人情報を受け取ることができる。また、人材紹介会社が企業とのマッチングを行ってくれるため、スムーズな就職活動ができるかもしれない。
自分で作成したゲームを公開する
自分で作成したゲームを公開し、その制作実績をアピールすることも有効な方法だ。今の時代はスマートフォンアプリやSteamなどで誰でも世界中にゲームを公開することができる。制作したゲームが面白く、人気が集めれば、企業からスカウトされることも十分あり得る。
ゲーム業界でのインターンシップに参加する
ゲーム業界でのインターンシップに参加することで、実際に業界での仕事を体験し、業界に関する知識や人脈を広げることができる。また、インターンシップを通じて企業側からスカウトされることもあるため、就職活動にもつながるだろう。
ここでは、ゲーム会社に就職する方法の一つとしてインターンシップについてフォーカスしていく。ゲーム会社にどんな職種があり、どのように働いているのかをイメージするのは難しいだろう。そんな時に、各社が開催しているインターンに参加することで、具体的にイメージすることが可能だ。ゲーム会社のインターンの内容やスケジュール、収集方法についても触れていくことにする。
ゲーム会社のインターンシップとは
各ゲーム会社が行うインターンシップはさまざまだ。単日の1DAY開催のほか、または1週間程度のものから1か月~数か月程度と様々用意されている。
また形式も異なってくる。大きくは3種類となり、「講義型」「体験型」「グループワーク型」の3つだ。
講義型
プログラミングやグラフィックの知識を座学による講演や、実際に現場で活躍しているクリエイターとの座談会を通じて行うものだ。
体験型
プログラミングやイラストデザインなどを実際の制作工程に合わせて行っていくものだ。主にエンジニアやデザイナーといった、技術職を対象とした職種に見られる。
グループワーク型
グループで企画書作りやプレゼンなどを行ったり、特定のテーマに関するディスカッションをしたりして考えを深めていくようなプログラムとなる。主に大企業や合同企画のイベントなどにて行われるインターンとなる。
他にも、企業によっては泊まり込みでおこなうものなど、さまざまなインターンシップ形式がある。
インターンシップに参加するべき4つの理由
インターンシップに参加するメリットをここで紹介しておこう。
ゲーム会社の業務内容や働くイメージが持つことができる
各職種における説明は記載したが、実際に「ゲームの企画や開発に必要な要素の策定や進行管理」や「プログラマーやアーティストと協力して、ゲームのビジュアルを作り上げる」ということがどういったことなのかがイメージできる学生は少ないのではないだろうか。
学校のカリキュラムによってはチーム制作もあるが、実際にゲーム会社とは異なる面ももちろんある。また、ゲーム会社によっても動き方が異なる面もあるので、インターンによってそこが鮮明にできるのが大きなポイントと言える。
ゲーム会社の社員やゲームクリエイターとの関わりから学びが得られる
これまでの生活の中で、学生の間はゲーム会社の社員やゲームクリエイターと関わる機会は少ないだろう。インターンシップでは、初対面のゲーム会社に就職している社会人と関わることになり、学生にとっては大変貴重な時間となり得るだろう。
30代や40代の人とも話す機会もなく、インターンで慣れておくと、後の就職活動でも緊張せずに話せるようになるだろう。また、ビジネスマナーなども自然と身に付く為、人生経験としても大きいものとなる。
ゲーム会社やゲーム業界への理解が深まる
インターンシップでは、その職種やその企業の作品に関わる課題テーマや業務を行うことが多い。その活動を通じて、自分自身が想像していた職業との違いや企業への理解から、より一層等身大のイメージが持てるようになる。
加えて、その経験を通じて、「実際に自分は何をやりたいのか」「どの会社で働きたいか」も考えられるようになる。
今の世の中では、ネットなどでも情報は収集可能だが、実際にゲーム会社で働き、そこで働く人の生の声に勝るものはない。エントリーシート作成や面接でも役に立つだろう。
選考活動で有利となる
ゲーム業界で働いている人でも、インターンシップを受けた会社からそのまま就職したというケースは多い。実際に、社内の雰囲気や働く人の人となりも理解できる為、ミスマッチもすることなく就職できることもある。
また、企業側からしても、学生の考えや性格などもインターンを通じて理解することができるため、選考上でもイメージはしやすいのだ。
もちろん、インターンを受けた会社にすべきというわけではないが、自分自身と企業側の相互理解が深まることで、選考についても有利には働くだろう。
これらが、働くイメージが持てるメリットも加えた、インターンシップに参加した方が良いと言える4つの理由と言える。基本的には、インターンシップに参加することでのデメリットは考えづらいので、ゲーム業界が気になる学生はインターンシップに参加してみよう。
ゲーム業界のインターンシップスケジュールは?
さて、ゲーム業界のインターンシップスケジュールだが、実施時期は大きく二つある。
春から夏にかけて行われるものと秋から冬にかけて行われるインターンシップだ。暦で言えば、7〜8月と12月〜2月の時期となる。夏休みや冬休みに開催されることが多い。
サマーインターンシップ:7月~8月
ゲーム会社のサマーインターンシップは、夏季休暇中に学生が企業で働き、業務経験やスキルアップを目的として行われるインターンシップになる。多くのゲーム会社では、開発やデザイン、プログラミング、マーケティングなどの部門においてサマーインターンシッププログラムを提供している。
サマーインターンシップの募集は、春から夏にかけて行われることが多く、企業によっては提出物の提出や面接などの選考がある。
ウィンターインターンシップ:12月~2月
冬季休暇中に学生がゲーム会社で働くことができるのインターンシップ。夏季と同様に、開発、デザイン、プログラミング、マーケティングなどの部門で、学生が経験を積むことができる。
ウィンターインターンシップの募集は、秋から冬にかけて行われることが多く、応募方法や選考については各企業によって異なる。募集要項はしっかり確認しよう。
また、大学1〜2年生でも参加可能なインターンシップも用意している企業も多い。就活でなくとも気になる人は参加してみてはいかがだろうか。
そんなインターンシップだが、短期インターンシップの場合、実施時期のおよそ半年前から行われるケースが多く、実施月の2~3か月前に応募を締め切ることが多い。
人気な企業では、応募が殺到することも多い。自身の気になる企業がある場合はスケジュールを適宜確認しておくようにしておこう。
企業によってはインターンや新卒採用特設ページや専用のTwitterなども開設しているゲーム会社もある。それらをフォローして、いつでも応募できるようにしておこう。
長期インターンシップの場合でも同じく期間を設けて募集するケースもあるが、適宜募集しているケースもある。また、長期の方が様々な条件があり、実際に給与が支払われるものもある。その都度、募集要項などは確認して応募していこう。
最近ではオンラインによるインターンシップも開催されている。オンラインならではのメリットとしては、地方在住の学生も参加できるという点だ。
学生の身分では、都内に行くこともハードルが高い。オンラインによるインターンシップも積極的に活用していこう。
インターンシップに参加しよう!
さて、ここまで紹介したゲーム会社のインターンシップだが、そんなインターンシップに参加する方法は、以下のような方法がある。
ゲーム会社の公式サイトを確認する
ゲーム会社の公式サイトでは、インターンシップに関する情報を掲載している場合がある。採用情報や求人情報ページをチェックし、インターンシップ募集の有無を確認しよう。だいたい、開催時期の1~3か月前に掲載されることが多い。夏なら4月頃から情報が出てくる傾向にあるので、気になる会社はこまめにチェックしておこう。
就職情報サイトを活用する
インターンシップ情報を掲載している就職情報サイトを活用する方法もあります。各社の募集情報を比較し、自分に合ったインターンシップ先を見つけよう。
インターンシップエージェントを利用する
インターンシップエージェントを利用する方法もある。エージェントがゲーム会社と連携して、インターンシップの募集や紹介を行っている場合があるので活用してみるのも良いだろう。
キャリアセンターを利用する
大学や専門学校などのキャリアセンターを利用する方法もある。キャリアセンターには、インターンシップ情報や就職に関するアドバイスなどが提供されている場合があるので、自身の学校にも役に立つ情報がないかは確認しておこう。
ゲーム会社に直接問い合わせる
直接、ゲーム会社に問い合わせる方法もある。自分が興味を持っているゲーム会社に、メールや電話で問い合わせてみるのも一つの手段だ。その熱意も伝わる可能性もある…が、不用意に問い合わせて「サイトでしっかり案内をしているのに確認していないのか…」と思われるのも残念だ。
問い合わせをする際はしっかり事前に調べて、礼儀とマナーと熱意をもって問い合わせよう。
これらの方法を活用し、自分に合ったインターンシップ先を見つけて、自分のスキルアップや就職活動につながっていただけたら幸いだ。
まとめ
本稿では、ゲーム業界就職への第一歩として、インターンシップの概要について紹介した。職種や時期、インターンシップの探し方は参考にしてもらいたい。今後、gamebizではゲーム業界のインターンシップ動向についても取り上げていきたい。
迫るサマーインターンシップなども紹介していければと考えているので、ゲーム業界を志す学生の方にお役に立てれば幸いだ。