【特集】ハリウッドと提携してIP開発を試みる国内最大のe-Sports空間「RED°TOKYO TOWER」の新スタジオ

中山淳雄 エンタメ社会学者&Re entertainment社長
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東京タワーは1959年開業時500万を記録して以来、半世紀にわたって毎年300万人もの来場者を誇る、ザ・東京なモニュメントである。2012年に墨田区の東京スカイツリーがスタートしてから、やや「古い」印象を帯びるようになり、若干その集客数にも陰りがみえ、まさにコロナ禍で大きなダメージを負った中、2022年4月に満を持して国内最大規模のe-sportsパーク「RED°TOKYO TOWER」をオープンさせた。3~5Fを3フロア使った5,600平方mと、以前コマ劇場跡にあった「VR ZONE SHINJUKU」3,500平方mの約1.5倍の広さになる。印象はさながら、VRや体験型アミューズメントに特化したジョイポリスの進化版のような場所である。今回はそこにオリジナルコンテンツを生み出すRED TOKYO TOWER STUDIO(RTTS)の設立セレモニーを取材した。

 

■海外向けオリジナルコンテンツを生み出すRED TOKYO TOWER STUDIOの誕生

RED°TOKYO TOWERはesportsを運営するベンチャー企業TEG(元:東京eスポーツゲート、2020年12月設立、代表の原康雄氏はリクルート出身で飲食店のコンサルティング業を経て本企業を設立、2021年10月に3億円の資金調達)が1年前から運営してきたアミューズメント施設だ。当プロダクションを運営するのはTOKYO EPIC (2023年3月設立、代表の和田亮一氏は以前本特集でも取材した「カメラを止めるな!」の原作者でグローバル向けアニメプロジェクトの推進をしている<https://gamebiz.jp/news/340410>)であり、RED TOKYO TOWERというシンボリックアイコンから様々なコンテンツを生み出していく。

REDによるEsports施設はあくまで各種体験型ゲームの「運用」であり、この場をメディアととらえて、新しいIPを「開発」するのが、RTTSの目的でもある。今回は、RTTSによる、そのコンセプト・ビジョンの発表と、ワーナーブラザーズ出身のDouglas Montgomery氏により米国・ロサンゼルスにて開催される国際映画祭 GLOBAL STAGE HOLLYWOOD(GSH)との提携を発表する、レセプションパーティに招待をされた。

レセプションパーティでは日本で約100年ぶりに誕生した“2番目”の外国人落語家、桂サンシャインが、NYブロードウェイ公演から帰国して駆けつけ、MCを担当した。

 

▲MC:落語家 桂サンシャイン

 

RTTSは、和田亮一氏を中心とし、グローバルに展開する独自のIP(主にマンガ・アニメを中心とする)を生み出し、ハリウッドをはじめとしたグローバルパートナーとともに創出価値を高めていく。プレゼンでは、和田氏の、生の経験やこれからの展望を聞くことができた。

 

▲GSHとの提携ということもあり、外国人の来賓が多く目立っていた。

 

 

トークセッションは下記のメンバーで開催された
RED TOKYO TOWER STUDIO 和田亮一
GLOBAL STAGE HOLLYWOOD Douglas Montgomery
映画監督・脚本家 甲斐さやか
テーマ:「日本人クリエイターがどのようにしてグローバルと戦えるか」

和田、甲斐のリアルな挑戦の体験談と、Douglas氏の見てきた世界が混じり合い、非常に興味深いトークセッションであった。この場所から、世界を動かすIPが生まれることが楽しみだ。

 

▲左から、Douglas Montgomery氏、甲斐さやか氏、和田亮一氏。

 

現在、GLOBAL STAGE HOLLYWOOD 2023 Japan Creator’s Short Film部門において、エントリーを募集している。

*エントリーは下記より応募可能
GLOBAL STAGE HOLLYWOOD 2023 Japan Creator’s Short Film部門
https://peatix.com/event/3556961/view?k=eb36a534a0e808e23f55c298a5535ce7b34928fa

 

■「RED°TOKYO TOWER」体験記

夕暮れ時の東京タワーはこどもの日を控えたGW前ということもあり、数百匹という単位でこいのぼりが所狭しと掲げられていた。

 

エレベーターで3Fにのぼると、そこはワープ空間かのようなサイバー色に彩られた入口が用意されている。3時間の滞在で一般が3000円、学生2400円、小中学生が1500円、休日になるとこれがだいたい1割増になるイメージだ。中は遊び放題で、テーマパーク型と同じように1つ1つ並べばフリーで遊べるスタイルだ。

 

 

▲3Fフロアで最初に目につくモルカーとのコラボスペース。

 

 ▲TGSでも人気を博していた、360度歩けるVRシューティング施設。Redコンセプトにあわせた装飾がなされていた。

 

▲Beat Saverなど人気のVRゲームがあったり、昔懐かしのKing of FighterやSamurai SpiritsのアーケードもFreeで遊べる。

 

▲各所で友人と連れ立って盛り上がる姿が散見される。ほぼすべてのアミューズメントが体感型・チーム戦なので、家族連れ・友人連れに向いている施設である。

 

▲ゲーム系IPが多いが、キャラクターグッズなども販売されている。

 

▲当日は貸し切りだったため、一般客はいなかったが頭脳系ゲームとしてポーカースペースなども充実している。

 

▲飲食スペースもサイバー感強く、プロジェクターでVTuberのやりとりなどをみながら、アメリカンな雰囲気のダイナー空間が用意されている。

 

▲最も豪華に感じたのは、ドライビング施設。かなり高額な操作機器が所狭しと並び、これを目当てに入場しても申し分ない豪華なものだった。

 

全般を通して、Red Tokyo Towerの施設としての豪華さに驚かされた。グランドオープンがコロナ真っ最中の2022年4月ということもあり、おそらくこの1年、本格始動とはいかなかった形だろう。だが、充実度でいえば、3時間たっぷり遊べるだけの充実度があり、値段としても他VR施設に比べると(1ゲームあたり1000円といった単価課金のものもある)、コスパの悪くないエンタメ施設と感じた。運動しやすい恰好は必要だが、チーム遊びが好きな人にはぜひ一度体験していただきたい施設である。すでにバンコクを始めとし、REDとして 海外拠点を増やしていくというニュースが発表されている。

VR施設の課題は「開発費」も「賃料」も問題ではあるが、なによりもまず「運営費」である。高額な機器とメンテナンスのために、各施設ごとにユーザーと時間をかけてコミュニケートして着脱までずっとフォローするために、ゲームセンターとは比較にならない運営コストがかかる。VR施設は2016年ごろから世界各国で乱立し、現状はほとんど残っていないといっても過言ではない。そのくらい施設運営の難しいこの業界でRED TOKYO TOWERが現状どんな運営をしているのか、それは海外に移植しても成り立つものなのか。ぜひその続報を待ちたいところだ。

会社情報

会社名
Re entertainment
設立
2021年7月
代表者
中山淳雄
直近業績
エンタメ社会学者の中山淳雄氏が海外&事業家&研究者として追求してきた経験をもとに“エンターテイメントの再現性追求”を支援するコンサルティング事業を展開している。
上場区分
未上場
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