マーベラス、大幅減益の第1四半期決算は「見た目ほど悪くない」 新作『フレデリカ』『ファッションドリーマー』に期待 AM新作はIPもの? 舞台公演は回復途上で伸び代大

 

マーベラス<7844>の2024年3月期 第1四半期(23年4月~23年6月)の連結決算は、売上高68億8300万円(前年同期比29.4%増)、営業利益5億3100万円(同31.9%減)、経常利益8億8600万円(同21.7%減)、最終利益6億0900万円(同19.0%減)と増収減益だった。

・売上高:68億8300万円(同29.4%増)
・営業利益:5億3100万円(同31.9%減)
・経常利益:8億8600万円(同21.7%減)
・最終利益:6億0900万円(同19.0%減)

 

『牧場物語 Welcome!ワンダフルライフ』の海外版のセールスが好調だったことや、舞台貢献関連の売上が伸びたことで増収となったものの、新作『LOOP8(ループエイト)』の販売が低調だったこともあり、前年同期比では減益となった。

新作が振るわなかったこともあって大幅な減益という着地だったが、リリースタイトルのスケジュールを見る限り、下期に収益が集中する計画を立ているとのことで、見た目ほど悪い内容ではなかったように見受けられる。ましてや前四半期に赤字だったことも考慮すると、よく立て直したといえるのかもしれない。

 

■デジタルコンテンツ事業

・売上高:41億3300万円(同36.4%増)
・営業利益:1億1400万円(同54.5%減)

コンシューマ部門では、完全新作『LOOP8』を2023年6月1日に国内・アジアで、同6日に北米・欧州で、同7日にSteam®版を発売したものの、目標を下回る販売推移となった。その一方、前期に国内で発売した『牧場物語 Welcome!ワンダフルライフ』の北米・欧州・Steam®版を同27日より順次発売し、好調なセールスとなった。

オンライン部門では、『剣と魔法のログレス いにしえの女神』や『シノビマスター 閃乱カグラ NEWLINK』といった長期運営タイトルの売上が経年により減少したが、ハーフアニバーサリー施策等が好調に推移した『ドルフィンウェーブ』がカバーし、前年同期に比べ業績改善したという。

  

■アミューズメント事業

・売上高:16億7300万円(同3.0%減)
・営業利益:6億4000万円(同8.9%減)

主力のキッズアミューズメントマシン『ポケモンメザスタ』については「ダブルチェイン5弾」を2023年4月20日より稼動を開始し、好調に推移したが、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、旅行等の他のレジャーの増加による影響を受けた。一方、海外展開中の『ポケモンガオーレ』については、特に台湾が好調だった。

  

■音楽映像事業

・売上高:10億7600万円(同91.4%増)
・営業利益:2億0100万円(同12.2%減)

TVアニメ『女神のカフェテラス』を2023年4月から6月まで放送したほか、『ひろがるスカイ!プリキュア』をはじめとした、プリキュアシリーズのパッケージ商品化を行った。『女神のカフェテラス』は好評で、第2期の制作も決定した。

また「ミュージカル『薄桜鬼 真改』」等のシリーズ作品の新作公演に加え、新規作品として「舞台『吸血鬼すぐ死ぬ』」の公演を実施し、好評を博した。

舞台公演と関連パッケージの販売収入が増加したが、舞台公演関連の補助金等の減少や、アニメ制作費の先行投資により、前年同期比で増収減益となった。

  

■2024年3月期の業績見通し

2024年3月期の業績は、売上高270億円(前期比6.5%増)、営業利益35億円(同40.7%増)、経常利益36億円(同22.8%増)、最終利益25億2000万円(同30.9%増)を見込む。

・売上高:270億円(同6.5%増)
・営業利益:35億円(同40.7%増)
・経常利益:36億円(同22.8%増)
・最終利益:25億2000万円(同30.9%増)

計画に対する進捗率は、売上高25.5%、営業利益15.2%、経常利益24.6%、最終利益24.2%となっている。

・売上高:25.5%
・営業利益:15.2%
・経常利益:24.6%
・最終利益:24.2%

 

デジタルコンテンツの注力タイトルとしては、完全新作アクション RPG『FREDERICA(フレデリカ)』をあげた。日本とアジアで9月、北米と欧州、Steam向けに10月に発売する。また、新世代のファッション&コミュニケーションゲーム『ファッションドリーマー』も国内外で11月に発売する。こちらは女性よりのコンテンツになりそうだ。いずれも順調に予約が伸びているとのことで、第2四半期以降の利益貢献が期待される。

 

アミューズメント事業では、主力の『ポケモンメザスタ』の状況が気がかりだが、7月6日より新たに「ゴージャススター」弾を稼動したことに加え、一時的に落ち込んだ筐体の収入も回復しており、夏休みに入ってさらに賑わいを見せているという。

これ以外に、新作アミューズメントゲームの開発を進めており、まもなく発表できる見通しだという。時期についても明言はなかった。直近の開発実績や、筐体のシルエットなどを見る限り、外部IPを活用したゲームと推測している。

 

音楽映像事業では、『ひろがるスカイ!プリキュア』が放送中だが、劇場版最新作が9月 15 日から公開予定となっているほか、10 月からは、新たな試みとなる新作 TV アニメ『キボウノチカラ~オトナプリキュア‘23~』を放送する予定。

ライブエンターテイメントでは、シリーズ作品の新作公演から、今期立ち上げの新規タイトルまで予定しているほか、「舞台『刀剣乱舞』」や「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』」の新作公演も予定している。

なお、舞台公演に関しては回復途上にあるという。マーベラスの同業他社にもヒアリングしたが、音楽ライブやスポーツに比べて、演劇業界全般として来場者の戻りが鈍いそうだ。逆に言えば、ファンの多さを想定すると、これから伸び代の大きい状態にある、とも言える。

株式会社マーベラス
https://www.marv.jp/

会社情報

会社名
株式会社マーベラス
設立
1997年6月
代表者
代表取締役社長 執行役員 兼 デジタルコンテンツ事業本部長 佐藤 澄宣
決算期
3月
直近業績
売上高294億9300万円、営業利益24億1500万円、経常利益30億200万円、最終損益5億1700万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7844
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