日本eスポーツ連合(JeSU)は、3月16日、eスポーツ選手に向けてコンプライアンス研修会を実施したことを発表した。
<以下、プレスリリースより>
コンプライアンスは、アンチ・ドーピングと並び、トラディショナルスポーツと同様にeスポーツにも厳格な対応が求められる重要な規定です。JeSUはこれまで、アジア競技大会などの国際大会へ出場する日本代表選手に対して研修会を実施してきましたが、今回初めて、プロライセンス保有選手以外にも幅広く声をかけてオフラインで研修会を実施しました。
オフラインで開催された研修会には、プロ選手やプロチーム関係者などおよそ20名が参加。3時間以上にわたって5つのセッションが実施され、グループワークやQ&Aでは、オフラインならではの熱のこもった意見交換が行われました。
第一部では、『アスリートとしてのコンプライアンス・倫理』をテーマに、株式会社忍ism 代表取締役 百地祐輔氏とフリーアナウンサー 田口尚平氏によるトークセッションを実施。SNS投稿を含めた情報管理の重要性や人権・多様性の尊重など、さまざまな観点からプロに求められる意識について語り合われました。
第二部では、JeSU競技委員会委員長も務める鈴木文雄理事が、『スポンサーとの向き合い方と、スポンサーが期待すること』をテーマに講義。125億円に到達した日本のeスポーツ産業規模のうち40%がスポンサー収入であることを踏まえた上で、スポンサー企業の目的や選手側の役割について解説しました。また、マスメディアに触れることの少ないZ世代に向け、eスポーツ選手の発信力・拡散力が強い武器になることを実例を交えて紹介。視聴率よりもフォロワー数を重要視する企業も増えており、eスポーツにとって大きなチャンスが来ている、と意識改革を求めました。
第三部には、税理士法人C Cubeコンサルティングの代表である加藤和希税理士が登壇。『税の意義と役割について』と題してセミナーを実施しました。課税対象となる収入や、プロ選手の経費例、青色申告のメリットなどについて丁寧な解説があり、個人事業主として活動することも多い選手たちが、適正な納税の重要性について理解を深めました。
第四部と第五部は、参加者がグループに分かれてワークショップを実施。第四部では、フリーアナウンサーの田口尚平氏が再登場し、『インタビュー対応について』、「スポットライト効果」や「確証バイアス」など、心理学のフレームワークをもとにしながら解説しました。さらに、「子供のプレイヤー人口を増やすためにできること」を題材として、疑似インタビューを実施。実際に選手側と取材者側を体験することで、コミュニケーションの難しさを学びました。
第五部は、株式会社ディー・エヌ・エーの山田 勝之氏指導の下、『SNSおよび配信との付き合い方』についてのグループワークを実践。「SNSへの不適切投稿や削除対応」、「配信中に感情的になり暴言を吐いてしまった場合の対応」について、グループごとに意見交換が行われました。
JeSUは今後も、eスポーツの中央競技団体として、コンプライアンスやアンチ・ドーピングなどの研修会を開催し、選手の意識を高めるための活動に継続的に取り組んでいきます。