ポニーキャニオン、「渋谷パイロットフィルムフェスティバル」に『オッドタクシー』が参加…木下麦監督の最新作『ホウセンカ』のパイロットフィルムも初公開
ポニーキャニオンは、『オッドタクシー』について、12月14日(土)、渋谷のシネクイントにて開催された、映画やアニメ作品の“パイロットフィルム”に特化した映画祭「渋谷パイロットフィルムフェスティバル(Shibuya Pilot Film Festival)」に出展。監督の木下麦とプロデューサーの伊藤裕史が登壇し、トークを行った。
まずは、初公開となる『オッドタクシー』の30秒ほどのパイロットフィルム(テストカット)が上映された後、両名が登壇し作品制作の成り立ちに関するトークが繰り広げられた。
「オッドタクシー」の企画の発端は、2016年に木下監督がP.I.C.S.の平賀プロデューサーに提出したコンセプトアートだったという。平賀プロデューサーはオリジナリティのあるキャラクターデザインに可能性を感じたが、「(木下監督の考えた)ストーリーが面白くないと言われてしまって(笑)」と木下監督は語った。そこから企画コンセプトを練り直し、脚本家の此元和津也が加わり、ストーリーが作られていくが、実はその時点では出資者は決まってなかったという。伊藤プロデューサーは「普通は出口戦略があってから脚本を書くので、ゴールがないまま進んでいたのは斬新ですね(笑)」とバッサリ。
脚本とともに、出資者を募るために作られたのが今回上映されたテストカットだった。一見子供向けにも見える「オッドタクシー」が大人に向けた夜の街で展開する作品であることを一目で見てわかる内容になっているほか、本編には登場していないキャラクターの姿も見える。
テストカットについて木下監督は「脚本の1話目が上がった時に作りました。本編に出したかったんですけど削ったキャラクターもいますね。これは作品の事を人に伝えるためでもあるし、自分でもルックの落とし所を探す意味でも作って良かったですね。」と話した。当時、企画書とともにこのテストカットを見た伊藤プロデューサーは「文字だけでは読み取れないものがフィルムになってわかりやすく伝わりました。動物のキャラクターだけど結構暗いトーンで、これが皆さんのやりたい事なんだなって。」と当時を振り返った。その後テストカットも功を奏し、「オッドタクシー」は無事制作・放送へと繋がることとなる。伊藤プロデューサーは企画を振り返ってみて「当時コロナ禍でサブスクでの視聴時間がかなり伸びていたことに加えて、見て話したくなる作品がSNSなど時代にハマったのでは」と語った。
また、オリジナル作品を作る後進に向けたアドバイスを求められると、木下監督は「クリエイター目線になるが、自分が面白いと思うもの、美しいと思うものをギュッと濃縮することが大事」と熱く伝えた。
そして最後は、木下監督最新作となる映画『ホウセンカ』の話題に。監督からは「平凡な男の人生の、栄枯盛衰の美しさと儚さの両面を描く映画」として映画の紹介が語られた。
本作は、『映画大好きポンポさん』『夏へのトンネル、さよならの出口』を手掛けた制作スタジオ・CLAPとタッグを組んで制作をしているオリジナルアニメーション映画で、伊藤プロデューサーも『オッドタクシー』に続いて作品に参加している。木下監督自らCLAPの代表・松尾亮一郎プロデューサーにSNSでコンタクトをとったことから始まったという異色の経緯の企画であり、現在鋭意制作を進めている最中とのこと。「制作真っ只中で毎日現場に入っているのですが、細かいところまで1つ1つこだわり抜いています。」と監督からは語られた。
今年の6月には、世界最大規模のアニメ映画祭として知られるアヌシー国際アニメーション映画祭にて、制作中の企画・作品を発表する「ワークインプログレス」というプログラムに選出されており、世界規模での展開がすでに始まっている作品であるようだ。
トークイベントの最後は、二人からそれぞれ締めの挨拶があり終了となった。
伊藤プロデューサーは「コミック『RoOT / ルート オブ オッドタクシー』が絶賛連載中です。クライマックス間近ですし、5巻も好評発売中となっていますので、是非宜しくお願いします」と話し、更に続けて「『ホウセンカ』に関しては、作品の情報はまだあまりご用意できないですが、ぜひ皆さんの心の中に留めていただければと思います」と今後の作品にも触れた形で話を締めた。
木下監督からは「今日はありがとうございました。今は『ホウセンカ』を鋭意制作中ですが、来年にはお披露目出来ると思います。『ホウセンカ』というタイトルを覚えておいて頂けると嬉しいです。来年も宜しくお願いします。」と今後の作品を楽しみにしてほしい旨を添えて、イベントを締めた。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ポニーキャニオン
- 設立
- 1966年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 吉村 隆