東宝<9602>は、4月14日、2025年2月期の連結決算を発表し、営業収入3131億7100万円(前の期比10.5%増)、営業利益646億8400万円(同9.2%増)、経常利益644億5500万円(同2.3%増)、最終利益433億5700万円(同4.3%減)だった。
・営業収入:3131億7100万円(同10.5%増)
・営業利益:646億8400万円(同9.2%増)
・経常利益:644億5500万円(同2.3%増)
・最終利益:433億5700万円(同4.3%減)
同社では、自社幹事作品を含む当社配給作品がヒットしたほか、「ゴジラ-1.0」の配信権収入が業績に寄与した、としている。さらにTOHO animation作品が国内外で好調に推移したことも収益を押し上げた。
■映画事業
映画営業事業では、東宝において、共同製作や配給した作品のうち、「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」が大ヒット、「キングダム 大将軍の帰還」「ラストマイル」「変な家」「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」「グランメゾン・パリ」「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」「劇場版ドクターX FINAL」「機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-」「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」「室井慎次 敗れざる者」「室井慎次 生き続ける者」「スオミの話をしよう」「ファーストキス1ST KISS」がヒットした。また、東宝東和において配給した「怪盗グルーのミニオン超変身」もヒットした。前の期中に公開した「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」も高稼働となった。その他、「ゴジラ-1.0」の国内外における配信権収入やテレビ放映権収入が業績に寄与した。これらの結果、映画営業事業の営業収入は559億5800万円(前年度比20.3%増)、営業利益は220億8800万円(同23.3%増)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が341億7600万円(前年度比1.6%増)、劇場用映画の国内配信が35億2400万円(同164.3%増)となった。
映画興行事業では、TOHOシネマズ等において、上記配給作品の他、「はたらく細胞」「インサイド・ヘッド2」「モアナと伝説の海2」等の話題作を上映した。前期における映画館入場者数は3800万人と前年度比6.1%の減少となった。これらの結果、映画興行事業の営業収入は756億3300万円(前年度比3.6%減)、営業利益は97億7200万円(同11.8%減)となった。前期中の劇場の異動については、2025年1月12日に関西共栄興行が島根県松江市「松江東宝5」(5スクリーン)を閉館した。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は5スクリーン減の全国で717スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっている。
映像事業では、東宝において、「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!!」「SPY×FAMILY」「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」「怪獣8号」等、製作出資したTOHO animation作品の国内外の配信・商品化権収入に加え、各種配分金収入が業績に大きく貢献した。パッケージ事業では「ゴジラ-1.0」が好調なセールスとなった他、TOHO animation作品の「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」「葬送のフリーレン」「ウマ娘 プリティーダービー」等の販売が伸長した。出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」をはじめとする同社配給作品の販売が好調に推移した。
また、「ハイキュー!!」「呪術廻戦」をはじめとするTOHO animation作品や生誕70周年を迎えた「ゴジラ」を中心とする東宝怪獣キャラクターのキャラクターグッズ販売が大きく伸長し営業収入に寄与した。ゲーム事業では、「呪術廻戦 ファントムパレード」グローバル版の全世界配信を開始した。東宝ステラでは、ECサイトでの販売が好調に推移した。TOHOスタジオでは、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、堅調に稼働した。東宝映像美術及び東宝舞台では、原価管理に努めながら、映画やTV・ライブイベント等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務、メンテナンス業務等を受注した。これらの結果、映像事業の営業収入は776億6100万円(前年度比14.5%増)、営業利益は189億4600万円(同20.5%増)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が338億8100万円(前年度比16.1%増)、パッケージの販売が67億4100万円(同5.0%減)、映像作品等に係る美術製作が97億8400万円(同6.7%増)となった。
以上の結果、映画事業全体では、営業収入は2092億5300万円(前年度比8.5%増)、営業利益は508億0700万円(同13.6%増)となった。
■演劇事業
演劇事業では、東宝の帝国劇場で、「帝国劇場 クロージングラインナップ」として「舞台『千と千尋の神隠し』」「Endless SHOCK(Endless SHOCK/ Endless SHOCK Eternal)」「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」「モーツァルト!」「DREAM BOYS」「Endless SHOCK」「レ・ミゼラブル」「CONCERT THE BEST New HISTORY COMING」を上演し全席完売となった。なお、帝国劇場は2025年2月28日をもって予定の公演をすべて終了し、再開発のために一時休館することとなった。シアタークリエでは「ファンレター」「Next to Normal」が満席となった他、「骨と軽蔑」「町田くんの世界」「ナビレラ -それでも蝶は舞う-」「ライムライト」「VOICARION XVIII~Mr.Prisoner~」「tick, tick...BOOM!」「VOICARION XIX ~スプーンの盾~」等を上演した。また、「舞台『千と千尋の神隠し』」「モーツァルト!」「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」等の社外公演を展開し、「舞台『千と千尋の神隠し』」はロンドン・コロシアムでのロングラン公演も大盛況となった。その他、「CONCERT THE BEST New HISTORY COMING」のライブ配信及びライブビューイングや「Endless SHOCK」のライブビューイングなどを実施した。東宝芸能では、所属俳優がCM出演等で堅調に推移した。
以上の結果、演劇事業の営業収入は228億9000万円(前年度比13.6%増)、営業利益は41億2900万円(同32.6%増)となった。
■不動産事業
不動産賃貸事業では、前の期末に東京楽天地を連結子会社としており、前期より経営成績に含んでいる。賃貸用不動産の空室率は、前期末において0.9%となった。再開発物件や新規に取得した物件の寄与があったが、建設工事費の高騰や大規模修繕費など一時的な費用の増加もあったことから、不動産賃貸事業の営業収入は379億4900万円(前年度比29.1%増)、営業利益は107億4000万円(同7.3%減)となった。
道路事業では、公共投資が底堅く推移したが、慢性的な建設技能者の不足や建設業界にも適用した「働き方改革関連法」への対応が喫緊の課題となる等、依然として予断を許さない状況が続いた。このような状況の中、スバル興業と同社の連結子会社は、一般競争入札における総合評価落札方式への対応強化を図り各種工事の受注に努めたが、大型の工事案件の受注が前期と比べ減少した。その結果、道路事業の営業収入は302億7400万円(前年度比3.5%増)、営業利益は48億0500万円(同1.9%減)となった。なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等280億5600万円(前年度比5.4%増)であり、またその他の収益9億8000万円(同19.7%増)が含まれている。
不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理及び東宝ファシリティーズにおいて、原材料価格の高騰や人手不足が継続する中、新規受注や品質向上に取り組むとともに請負金額の改定や業務の効率化等に努めた。その結果、営業収入は114億3000万円(前年度比8.8%増)、営業利益は12億8000万円(同14.2%増)となった。
以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は796億5300万円(前年度比15.2%増)、営業利益は168億2600万円(同4.4%減)となった。
■その他事業
東宝共榮企業の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテールの劇場売店等において、積極的な営業活動に努めた。その結果、その他事業の営業収入は13億7200万円(前年度比9.2%増)、営業利益は1億6200万円(同6.8%減)となった。
■2026年2月期の見通し
2026年2月期の業績は、営業収入3000億円(同4.2%減)、営業利益570億円(同11.9%減)、経常利益550億円(同14.7%減)、最終利益375億円(同13.5%減)、EPS220.34円を見込む。株価収益率は36.2倍となる。
・営業収入:3000億円(同4.2%減)
・営業利益:570億円(同11.9%減)
・経常利益:550億円(同14.7%減)
・最終利益:375億円(同13.5%減)
・EPS:220.34円
「ゴジラ-1.0」の国内外の配信権収入の剥落や帝国劇場の一時休館の影響等により減益を見込んでいるとのこと。
会社情報
- 会社名
- 東宝株式会社
- 設立
- 1932年8月
- 代表者
- 代表取締役社長 社長執行役員 島谷 能成
- 決算期
- 2月
- 直近業績
- 営業収入3131億7100万円、営業利益646億8400万円、経常利益644億5500万円、最終利益433億5700万円(2025年2月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9602