サイバーエージェント、CyberOwlでアフィリエイト広告の成果報酬改ざん 事業担当と経営管理担当兼任が原因 関与した役員は解任、藤田社長の報酬も30%減額

サイバーエージェント<4751>は、この日(4月16日)、連結子会社であるCyberOwlにおける過年度の売上高の一部に不適切な計上に関する社内調査委員会による調査結果報告書を発表した。2020年からアフィリエイト広告の成果報酬の改ざんを行っていたという。また、連結財務諸表への影響額を確認した結果、過年度の有価証券報告書等及び内部統制報告書の訂正報告書の提出、決算短信等の訂正を要する見込みとなったという。なお、不正に関与した役員は解任したとのこと。

 

■調査結果について

CyberOwl が提供しているアフィリエイト広告の成果報酬は、確定した売上高に加え、成果の予測を見込んだ概算金額が含まれている。売上高の概算計上の根拠となる係数等において、当該事業を管掌している CyberOwl の取締役個人1名が、2020年より長期にわたり改竄を続けていたことと判明した。

当該事業の責任者である CyberOwl 取締役個人が、計上根拠を改竄し報告を行っていたことに起因し、事業担当取締役と経営管理担当取締役が兼任する等、不十分な管理・監査体制だったことも原因であると認識しているという。

また、本調査の主たる対象法人は CyberOwl となるが、同社及び同社の他の子会社においても、本件と類似する事案がないかどうかを調査した結果、不正とみなされる事象は認められなかった。

社内調査委員会の調査結果については、添付の「調査報告書(公表版)」を確認してほしい。なお、当該調査報告書については、個人情報および機密情報保護等の観点から、部分的な非開示処置を施したうえで公表している。

 

■今後の対応について

(1)過年度の有価証券報告書等および決算短信について
同社は、社内調査委員会の調査結果を受け、本件事案の影響額は上表(調査報告書P19より抜粋)のとおり。同社の過年度の連結財務諸表に与える影響額を決定の上、2025年5月15日に過年度の有価証券報告書、四半期報告書及び内部統制報告書の訂正報告書の提出並びに決算短信及び四半期決算短信の訂正を行う予定で作業を進めていく。

また、2025年9月期第2四半期(中間期)決算短信および第28期中半期報告書の提出においても、同日2025年5月15日を予定している。

(2)再発防止策
同社としては本件を重く受け止め、下記の再発防止策に取り組んでいく。引き続き、再発防止策の実効性について検証し、更なる改善に取り組み、信頼回復に努めていく。

① 事業の特性に応じたリスク評価・対応
CyberOwlにおける売上の主要部分を占めるアフィリエイト報酬の売上について、発生から成約までに一定のリードタイムが必要となるケースが多く、かつ発生件数のうち成約に至らず(承認されず)アフィリエイト報酬が確定しない割合が相当程度あるという特性を踏まえ、CyberOwlの経理規程を改訂し、広告主の承認が得られた確定売上高のみを売上として計上する方法に変更する。

② 経理、内部監査の機能強化
CyberOwlに対し、同社監査人である有限責任監査法人トーマツとは別の監査法人グループが提供する会計処理や会計数値に関する不正検知ツールを導入し、多面的かつ過度に人に依存しない内部チェックを機能させると共に、同社の内部監査室に一定の会計知識を有する者を配置し、内部監査機能を強化していく。

③ 子会社役員・子会社経理(経営管理)・本社経理の権限分離と牽制機能の強化
CyberOwlにおいて、事業責任者と経理又は経営管理を兼任させず、権限分離による牽制が働くよう、取締役会設置会社へと統治形態を変更した上で、同社広告事業担当 執行役員副社長の岡本保朗及び広告事業経営管理責任者の千葉朝良を取締役、同社経営本部長の前田孝浩を監査役に選任し、ガバナンスの強化を図っていく。

以上3つを実効性のある再発防止策として着実に実施するとともに、これらの防止策をより継続的に強固にする目的で、CyberOwlの役員および全社員への内部通報制度の周知の徹底やコンプライアンス研修・教育の実施をしていく。

 

■業績に対する影響について

本件にともなう2025年9月期の連結業績に与える影響は軽微と見込んでおり、現時点において2025年9月期の連結業績予想および配当予想についての修正はない。

 

■社内処分について

関係役員は本事案を重く受け止め、経営責任を明確化するため以下の通り役員報酬の減額をする。

(1)役員報酬の減額の内容
・代表取締役 代表執行役員 社長 藤田 晋
月額役員報酬の30%

・取締役 専務執行役員 中山 豪
月額役員報酬の30%

・CyberOwl 代表取締役社長 田中 啓太
月額役員報酬の10%

(2)対象期間
2025年5月から3ヶ月間

株式会社サイバーエージェント
http://www.cyberagent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サイバーエージェント
設立
1998年3月
代表者
代表取締役 藤田 晋
決算期
9月
直近業績
売上高8029億9600万円、営業利益418億4300万円、経常利益414億7500万円、最終利益162億4600万円(2024年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
4751
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