KADOKAWA<9468>は、5月8日、2025年3月期の連結決算を発表し、売上高2779億1500万円(前の期比7.7%増)、営業利益166億5100万円(同9.8%減)、経常利益177億4200万円(同12.3%減)、最終利益73億9200万円(同35.1%減)だった。
・売上高:2779億1500万円(同7.7%増)
・営業利益:166億5100万円(同9.8%減)
・経常利益:177億4200万円(同12.3%減)
・最終利益:73億9200万円(同35.1%減)


同社では、2024年6月に発覚したデータセンター内サーバへのサイバー攻撃の影響により、Webサービス事業を中心に大きな影響があったものの、出版・IP創出事業、アニメ・実写映像事業、ゲーム事業、教育・EdTech事業は堅調に推移した、としている。なお、ニコニコサービスのクリエイター補償と調査・復旧作業等を特別損失として24億1300万円を計上したため、最終利益は大幅な減益となった。
■出版・IP創出事業
売上高は1513億6700万円(前の期比6.6%増)、セグメント利益(営業利益)は83億7200万円(前の期比19.2%減)となった。
書籍・雑誌は、アジア及び米国での好調が継続したことを主因として海外事業が増収となった。国内では新規IP数が増加し『パンどろぼうとりんごかめん』(児童書)や『よつばと!(16)』、『ファイブスター物語(18)』(コミック)等の新刊販売が貢献したものの、サイバー攻撃の影響を中心とした既刊の出荷減少を主因として、減収となった。
一方で、電子書籍・電子雑誌が他社ストア向け販売を中心に好調に推移したことに加え、ライセンス収入は遊技機向け等の貢献により増収となった。
利益面では、海外事業やライセンス収入において増益となった一方、サイバー攻撃影響を含めた国内紙書籍事業の減益や中長期的な成長を見据えたIP創出機能の更なる強化のための継続投資等により、セグメント全体で減益となった。
■アニメ・実写映像事業
売上高は510億9200万円(前の期比10.9%増)、セグメント利益(営業利益)は47億2900万円(前の期比3.4%増)となった。
アニメでは、『【推しの子】』2期や『Re:ゼロから始める異世界生活』3期をはじめとした人気シリーズの国内・海外配信向けやゲーム・グッズ向けライセンス収入を中心として、好調だった前の期をさらに上回る成長を実現した。実写映像では、前の期における劇場作品『首』、『カラオケ行こ!』、『マッチング』等の貢献が大きかったものの、それら劇場作品及び過去作品の配信向けライセンス収入の貢献等により、横ばいとなった。利益面では、アニメの増収効果で利益が伸びた。
■ゲーム事業
売上高は335億9700万円(前の期比32.5%増)、セグメント利益(営業利益)は95億3800万円(前の期比20.0%増)となった。
フロム・ソフトウェアが発売した『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツ『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』の国内外の販売が好調に推移したことにより、同作本編のリピート販売も増加し、セグメント全体の業績を力強くけん引した。
■Webサービス事業
売上高は180億3800万円(前の期比15.7%減)、セグメント損失(営業損失)は9億9800万円(前の期 営業利益3億6200万円)となった。
前期においては、動画コミュニティサービスでサイバー攻撃によりニコニコ関連サービス全般が停止した影響が大きく、セグメント全体として減収となった。
利益面では、イベントの企画・運営でコスト適正化の取り組み等が奏功し収益性が改善した一方、動画コミュニティサービスでの減収影響が大きく減益となった。
■教育・EdTech事業
売上高は151億1900万円(前の期比12.9%増)、セグメント利益(営業利益)は23億8200万円(前の期比37.9%増)となった。
クリエイティブ分野の専門校を運営するバンタンでは、昨年4月に開校した新スクール「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等や展開地域拡大の貢献により生徒数が増加し、増収となった。また、ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加し、堅調に推移している。利益面では、増収効果で増益となった。
■その他事業
売上高は178億8100万円(前の期比11.9%減)、セグメント損失(営業損失)は42億400万円(前の期 営業損失43億9900万円)となった。
MD事業では海外でのグッズ売上やオンラインくじの好調等により、増収となった。施設運営事業では全国主要都市で開催するIPイベントが好調に推移した一方で、大型のイベント運営受託があった前の期から横ばいとなった。またそれ以外の事業でも、収益性に鑑みた一部商材の仕入販売撤退やグループ内のDXを担う機能子会社におけるセグメント間の内部取引の減少等の影響が発生し、セグメント全体で減収となった。
利益面では、MD事業が増収影響により増益となったことに加え、施設運営事業では前の期に実施した減損による償却費の減少や継続的なコストコントロールにより収益が改善し、セグメント全体として赤字幅が縮小した。
■2026年3月期の見通し
2026年3月期の業績は、売上高2919億円(同5.0%増)、営業利益167億円(同0.3%増)、経常利益187億円(同5.4%増)、最終利益114億円(同54.2%増)、EPS77.79円を見込む。株価収益率は45.7倍となる。
・売上高:2919億円(同5.0%増)
・営業利益:167億円(同0.3%増)
・経常利益:187億円(同5.4%増)
・最終利益:114億円(同54.2%増)
・EPS:77.79円
会社情報
- 会社名
- 株式会社KADOKAWA
- 設立
- 1954年4月
- 代表者
- 代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2779億1500万円、営業利益166億5100万円、経常利益177億4200万円、最終利益73億9200万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9468