
第62回目を迎えた国内最大規模の玩具見本市「東京おもちゃショー2025」が、8月28日〜31日の4日間、東京ビッグサイトで開催した。主催は日本玩具協会。出展社数は国内119社、海外92社の計211社と過去最大規模となった。今回のレポートでは、調査開始以来、過去最高となった2024年の玩具市場の成長をけん引したハイテクトイとコレクショントイを中心にみていきたい。
■高まるハイテクトイの存在感
今年の会場で最も目立ったのは、AI・センサー技術を搭載したハイテクトイである。子どもの声や動作に応答するインタラクティブトイ、スマートフォン連携により遊びが拡張する知育玩具など、デジタル技術を組み合わせた製品が多数出展された。
ここ数年ですっかりデジタル玩具として定着した感のあるノートPC型トイ・スマホ型トイだが、今回は、タカラトミーやセガフェイブがサンリオキャラクターズやすみっコぐらしとのコラボモデルを出展していた。




インタラクティブトイでは、セガフェイブの「アンパンマンサイクリング」が目立っていた。いわゆる幼児用エアロバイクで、テレビに接続するとアンパンマンとともに楽しみながらトレーニングを行い、体力づくりや認知能力、非認知能力の向上が期待できるという。

このほか、液晶トイでは、「ポケモン」をお世話したり遊んだりできる「ポケモン ポケなで モンスターボール」、そして、総出荷個数1億個を突破した定番玩具「tamagotti(たまごっち)」(バンダイ)にも多くの人が集まっていた。


■コレクショントイの安定した需要
他方、カプセルトイやトレーディング系フィギュア、プラモデルを中心としたコレクショントイも引き続き高い注目を集めた。近年、少子化を背景に玩具メーカーは、子ども(kid)+大人(adult)の造語「キダルト」をターゲットにした商品展開も強化してきたが、限定品やシリーズ展開の広がりにより、ファン層の拡大が見込まれる。
その代表例として、タカラトミーの定番玩具であるプラレールの「リアルクラス」だろう。従来のプラレールに比べて価格が高くなるものの、造形や塗装でリアルさを追求しており、大人もコレクションしたくなるほどの仕上がりとなっていた。同様に大人向け「tomica」である「トミカプレミアム」も出展されていた。


リーメントの展開するぷちサンプルシリーズには来場者からリアルさや作り込みに感嘆の声が上がっていた。「町中華」や酒屋、ケーキ屋、喫茶店、ミスタードーナツなどが再現できるフィギュアシリーズで、人気IPとのコラボモデルも出展していた。



ホビー系では、「機動戦士ガンダム」のプラモデルこと「ガンプラ」などのほか、好評発売中の「ガンダムカードゲーム」、そして、現在も続くガンダムの「カードダス」、『鬼滅の刃』や『ハイキュー!!』『ポケモン』など人気作品のフィギュアやぬいぐるみも多く出展されていた。



■伸び悩む来場者と求められるコンセプトの再整理
今回の東京おもちゃショーでは、出展企業は過去最高となったものの、来場者数については振るわず、会期中の来場者数は7万2000人にとどまった。これは前年実績の8万4000人、そして目標とする9万人には遠く及ばなかったものだった。
集客に苦戦した要因として、まず体温を超える猛暑日を記録するなど厳しい暑さという外部要因が影響したことがあげられるし、メインターゲットである子どもの減少=少子化の影響も無視できないだろう。
そして「キダルト」向けの展示を強く打ち出しているものの、キダルト層に訴求する魅力は十分だったのか。おもちゃショーは、依然としてファミリー向けの意味合いが強く、また競合とも言うべきホビー系イベントが近年、多様化・充実しており、わざわざ出かけようと考える人は多くはなかったかもしれない。
今後、ファミリー層とキダルト層をどう両立させていくか、コンセプトの再整理が求められるのではないか。例えば、子ども向けとキダルトが混在する状況から、フロアなどで子ども向けとキダルト向けを明確に分ける、といった取り組みも有効かもしれない。