バンダイナムコフィルムワークスは、クリエイター人材の育成に関するニュースレターを公開した。同社では、2025-2027年度中期計画の重点戦略に「人材戦略」を掲げ、アニメ産業全体の市場拡大に伴う制作現場の慢性的な人材不足に対し、日本が育んできたアニメの高いクオリティを保つため、技術を身に着けたクリエイター人材の育成への取り組みを強化しているという。
■制作現場の即戦力育成
まず、アニメ制作において重要なアニメーターや美術スタッフの即戦力を育成する仕組みとして、『サンライズ作画塾』(2018年~)と『サンライズ美術塾』(2021年~)を運営している。いずれも現役で活躍するクリエイターが指導にあたり、基礎から実践までの技術習得を可能としている。生活面では奨励金を10万円から17万円に増額し、昼食の無料提供などのサポートを実施している。『サンライズ作画塾』は累計70名が入塾し55名が、『サンライズ美術塾』は26名が入塾し20名が合格し、クリエイターとして活躍している。
▼サンライズ作画塾
https://www.sunrise-inc.co.jp/sakuga/
▼サンライズ美術塾
https://www.sunrise-inc.co.jp/SUNRISE_arte/bijutsu/
『SUNRISE arte』はSUNRISE Studiosのアニメ背景美術部門であり、『サンライズ美術塾』卒業後、実技試験に合格した卒業生が社員クリエイターとして配属され、即戦力としてさまざまな作品で活躍している。
▼SUNRISE arte
https://www.sunrise-inc.co.jp/SUNRISE_arte/


■社員のキャリアチェンジ支援と業界全体の底上げ
オリジナル作品の創出を担うシナリオライターや演出スタッフを志す社員を対象に、業界で活躍する講師陣の協力のもと、シナリオの書き方や演出を学ぶ『シナリオ塾』と『演出塾』を開催している。『シナリオ塾』は118名が受講し、文芸担当やフリーランスのシナリオライターとして、『演出塾』は50名が受講し、半数がアニメ演出家として独り立ちし活躍している。この取り組みは社員のキャリアチェンジの支援にもつながり、業界全体の底上げも視野に入れた人材育成プログラムとなっている。
■デジタル技術専門チームの設置
制作スタジオであるSUNRISE Studiosでは、進化を続けるアニメ制作に不可欠な3DCGや撮影処理のノウハウを集約するため、社内に専門部署を設置し、人材の確保と育成、技術の蓄積を行っている。興行収入50億円を超える『機動戦士ガンダム SEED FREEDOM』の戦闘シーンは、同社の「制作クリエイション課」の3DCGチームが手掛けた。また、複雑化する撮影処理を行う撮影チームも社内に置き、スタジオの撮影クオリティラインを引き上げている。
■IP創出と若手育成
制作(クリエイト)と製作(プロデュース)の両機能を有する同社は、IP創出・獲得と人材育成推進を行う部署として『WB スタジオ』を設置した。『WB スタジオ』は社内の制作スタジオと連携し、IP創出・獲得へのコンスタントな挑戦機会を作ることで、若手プロデューサーやクリエイターの現場経験を通じた育成を目指している。また、『WB スタジオ』が主催する『オリジナル IP 企画応募プロジェクト』では、新企画を社員に公募し、若手からベテランまで広くチャレンジの場を提供している。採用された企画は映像事業部署が事業計画のサポートを行うため、実践を通じた人材発掘と育成の機会となっている。審査過程においてもベテランスタッフが企画のブラッシュアップを支援し、社内のノウハウや知見を共有し共に学ぶ機会としている。今後、採用された作品が公開されていく予定だ。
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコフィルムワークス
- 設立
- 1976年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 浅沼 誠