【決算レポ】バンダイナムコHD、ガンダムが過去最大1272億円 上期は増収・計画超で通期予想を増額 『ELDEN RING NIGHTREIGN』など新作寄与

バンダイナムコホールディングス<7832>は、2026年3月期 第2四半期の決算発表を行った。上期(4~9月)の売上高は6,438億円(前年同期比5.3%増)、営業利益は1054億円(同7.2%減)となり、当初計画および8月に修正した計画をともに上回った。売上高は上期として過去最高を更新した。

売上高:6438億1600万円(前年同期比5.3%増)
営業利益:1054億8100万円(同7.2%減)
経常利益:1101億9600万円(同4.6%減)
最終利益:789億900万円(同2.3%減)

 

中でもガンダムシリーズは、グループ横断の取り組みが奏功し、売上高1,272億円とシリーズ史上初の1,000億円台を大きく突破した。新作映像作品や大阪・関西万博への出展による話題喚起に加え、玩具、ゲーム、映像、ライブイベントが相互に連動したことが成長をけん引した。

■ 事業別ハイライト:トイホビーが上期最高、デジタルは新作好調で計画超

【トイホビーユニット】
売上高:3178億3000万円(前年同期比9.0%増)
セグメント利益:650億3500万円(同8.9%増)
トイホビーユニットの売上高は3178億円(前年同期比262億円増)、セグメント利益は650億円(同53億円増)で、上期として過去最高を記録した。ガンプラや一番くじなどのハイターゲット商品、カード、カプセルトイ、コレクション菓子など幅広いカテゴリーが堅調に推移。「たまごっち」は世界的に人気が拡大した。上期に懸念されていた関税率上昇の影響は、早期の対策により当初見込みの30億円から約20億円に抑制できたという。

【デジタルユニット】
売上高:2315億400万円(同1.3%増)
セグメント利益:373億8600万円(同16.4%減)
ネットワークコンテンツでは新作『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』が大ヒットし、『DRAGON BALL』『ONE PIECE』『アイドルマスター』など既存タイトルも安定。家庭用ゲームでは『ELDEN RING NIGHTREIGN』がワールドワイドでヒットする一方、リピートタイトルは価格施策などにより収益性が低下した。

 

【映像音楽ユニット】
売上高:410億7800万円(同0.5%減)
セグメント利益:53億5900万円(同20.2%減)
映画『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の新規ファンの獲得も進み興行・ライセンス収入は好調で、グループの関連事業にも波及効果がみられた。その一方、前年同期は『ガンダムSEED FREEDOM』『ブルーロック -EPISODE凪-』など大型作品が複数あったため、その反動が出た。

【アミューズメントユニット】
売上高:753億8000万円(同5.2%増)
セグメント利益:70億4600万円(同3.4%減)
国内既存店売上高は前年同期比106.0%と好調が続き、業務用ゲーム機では『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2』の新製品などが販売を押し上げた。

 

■ 通期業績予想は売上・利益とも上方修正

上期実績と足元の需要を踏まえ、通期計画を以下の通り引き上げた。

売上高:1兆2000億円→1兆2500億円(増減率4.2%増)
営業利益:1450億円→1650億円(同13.8%増)
経常利益:1490億円→1720億円(同15.4%増)
最終利益:1000億円→1200億円(同20.0%増)

 

■ 下期の事業戦略:ガンダム45周年企画、ゲーム新作投入、組織再編など複数の重点施策

下期に向けては、各ユニットとも上期の好調を継続するための強化策を示した。

 

【トイホビーユニット】
8期連続の過去最高業績更新を目指し、好調カテゴリーの強化を続ける。関税率上昇による影響は約10億円と見込むが、商品特性に応じた価格・構成見直しを進め、将来的には北米での生産も視野に入れる。ガンダム関連は新工場が順次稼働し、2026年1月には45周年を締めくくる大型ガンプラを発売予定。ガンダムカードゲームは世界54地域で好調に立ち上がり、市場定着に向けてイベント展開などを強化する。「たまごっち」は『Tamagotchi Paradise』が海外で人気を伸ばし、ライセンス展開が加速している。

 

【デジタルユニット】
主力アプリの安定運営と新規タイトル育成が軸となる。『ジージェネ エターナル』は引き続き高い水準で推移しており、『ドラゴンボール ゲキシン スクアドラ』は中期的成長を見据えて立ち上げを進める。家庭用ゲームでは、年末商戦に向けて『リトルナイトメア3』が好調な滑り出しを見せており、『ELDEN RING NIGHTREIGN』のDLC、『CODE VEIN II』(2026年1月発売)が控える。開発体制の見直しも順調に進み、タイトルポートフォリオ最適化を図る。

 

【映像音楽ユニット】
ガンダムを中心としたライセンス収入が下期も伸びる見込み。『GQuuuuuuX』TVアニメ版のパッケージ発売、『ガンダムW』30周年4K上映再上映などが続く。2026年4月にはガンダム関連機能をユニット内に集約し、世界市場への展開を強化する大きな組織再編を予定している。

 

【アミューズメントユニット】
下期の既存店売上高を前年比105.0%と見込み、堅調に推移する見通し。12月には新宿マルイに『ONE PIECE BASE SHOP』をオープンし、グループ横断でIP体験施設を拡大する。業務用ゲーム機では『ONE PIECE』初のメダルゲームや『湾岸ミッドナイト』新機種の開発が進んでいる。

 

■ 万博パビリオンは累計100万人 満足度1位を獲得

大阪・関西万博に出展した「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」は、会期中の累計来場者が100万人を突破。来場者調査では満足度1位、SNS投稿数1位を記録するなど高い評価を得た。万博での盛り上がりがガンダム関連商品の販売にも確実に波及したとして、同社は効果を強調した。

 

■ 創立20周年、IP軸戦略の成果を強調

バンダイナムコグループは今年9月に創立20周年を迎えた。浅古社長は、「IPとファンに誠実に向き合ってきたことが現在の基盤になっている」と述べ、今後も多様なパートナーと協業しながら、エンターテインメント領域で新たな可能性を切り開く方針を示した。

株式会社バンダイナムコホールディングス
http://www.bandainamco.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコホールディングス
設立
2005年9月
代表者
代表取締役社長 浅古 有寿
決算期
3月
直近業績
売上高1兆2415億1300万円、営業利益1802億2900万円、経常利益1864億7000万円、最終利益1293億100万円(2025年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7832
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