【イベント】“『幻想水滸伝』の歴史”を歩く体験型展示「シリーズ30周年記念 幻想水滸伝I&II展 〜幻想博物館〜」内覧会レポート


12月6日~2026年1月12日までの期間、東京ドームシティ「Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)」にて、『幻想水滸伝』30周年を記念した、シリーズ初の大規模展覧会「シリーズ30周年記念 幻想水滸伝I&II展 〜幻想博物館〜」を開催している。本稿では、一般公開に先駆けて行われた内覧会の模様をレポートしていく。

■『幻想水滸伝』の世界に存在する“架空の博物館”を再現

本展は、『幻想水滸伝』シリーズの世界に実在する博物館をコンセプトとして構成。『幻想水滸伝I』のトラン共和国、および『幻想水滸伝II』のデュナン共和国に多大な貢献を果たした英雄たちを称える施設として、さまざまな資料や展示物が並んでいる。



会場には、キャラクタープロフィールやイラスト、当時の原画や制作資料に加え、作中でキャラクターたちが愛用していた武器・衣装・小物を再現したアイテムを多数展示している。さらに、英雄たちを再現した等身大立像を用いたフォトスポットも設置されており、物語世界に没入しながら撮影を楽しめる構成となっている。



■歴史資料のように“語られる出来事”が没入感を強める

展示空間では、ゲーム内の出来事がこの世界で実際に起きた歴史として語られる。民族博物館や歴史資料館を訪れているかのような雰囲気があり、長くシリーズを追ってきたファンにとっては、作品世界が現実に立ち上がったかのような感覚を味わえる。

1990年代に原作をプレイしてきた世代だけでなく、2025年3月6日に発売された『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』からシリーズへ触れた新規ユーザーにとっても理解しやすく、作品理解を深められる内容だ。

■名シーンの復元展示でキャラクターの生き様が蘇る

さらに本展では、シリーズを象徴する数々の名シーンを“歴史的記録”として紹介。『幻想水滸伝I』からは、グレミオが身を挺して主人公たちを守ったシーンを再現した展示が非常に印象的だった。



『幻想水滸伝II』からは、宿敵として語り継がれるルカ・ブライトの凶行を切り取った資料が並び、その残虐性やカリスマ性が改めて浮かび上がる。



館内にはキャラクターの名台詞が書かれた幕も飾られており、名シーンを思い起こさせる仕掛けが随所に施されている。



■108星たちの“その後”も展示 物語の余韻を味わう構成に

各コーナーの終盤には、『幻想水滸伝』シリーズの魅力のひとつである、108星(仲間キャラクター)たちのエンディング後の後日談も展示。物語を締めくくるアフターストーリーを資料として振り返ることができ、シリーズの歴史と登場人物の歩みを一望する体験となっている。

そのほか、『幻想水滸伝』シリーズや今回の展覧会を記念したグッズも販売している。



内覧会では、「幻想博物館」館長の渡邉美聡氏、『幻想水滸伝』シリーズプロデューサーの内藤塁氏、『幻想水滸伝』シリーズIP&ゲームディレクターの崎山高博氏、『幻想水滸伝 I&II HDリマスター』キャラクターデザイナーの河野純子氏の4名による質疑応答も行われたので、その模様についても以下でお届けしていく。


▲写真左から、
「幻想博物館」館長(株式会社東京ドーム):渡邉美聡氏
『幻想水滸伝』シリーズプロデューサー(株式会社コナミデジタルエンタテインメント):内藤塁氏
『幻想水滸伝』シリーズIP&ゲームディレクター(株式会社コナミデジタルエンタテインメント):崎山高博氏
『幻想水滸伝 I&II HDリマスター』キャラクターデザイナー(Rabbit&Bear Studios):河野純子氏

――:今回の展覧会が開催されることになったきっかけを教えてください。

渡邉美聡氏(以下、渡邉):私は普段から展覧会のプロデューサーをしているのですが、私自身、小学生の頃に『幻想水滸伝』を当時プレイしていたこともあり、今年3月に『幻想水滸伝I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』が発売されると知って、コナミデジタルエンタテインメントにご連絡をさせていただきました。そこで、30周年記念として大々的にやりましょうということになり今回の展覧会が決まりました。

――:今回の展覧会が『幻想水滸伝』の世界内にあるという設定はいつから決まっていたのでしょうか?

渡邉:どういう展示にしようかというのは2年ほど前から構想を練っていました。IPものの展覧会ではストーリーを追体験するようなものが多いのですが、『幻想水滸伝』は登場キャラクターが多く、マルチエンディングの構造になっています。30年前の作品ということを考えても、ストーリーをそのまま追体験してもコアなファンには物足りないのではないかと思い、プレイしたゲームのその先をお届けしたいという想いから“一歩先の体験ができる展覧会”として今回の設定にしました。



――:30周年を記念して今回の展覧会が開催された感想を教えてください。

内藤塁氏(以下、内藤):『幻想水滸伝』を復活させようと思っていたのが2017年頃の話で、昔から東京ドームさんとは2年ほど前からやり取りを始めてやっと実現できました。もやり取りさせていただいて実現できた。12月には舞台「幻想水滸伝」も完成して、これまで時間をかけて仕込んできたものが形になってきたタイミングでもありますので、ぜひ多くの方に見ていただければと思います。

――:開催にあたっての苦労はございましたか?

渡邉:自分が館長になろうと思い、改めて『幻想水滸伝』を勉強しなおしました。そして、展示に添えられている文章を学芸員の研究報告として3万字ほど書かせていただきました。IPの展覧会ではなく、『幻想水滸伝』の中にある「歴史博物館」の文章に仕上げるため、崎山さんにもテキストを監修していただいたのですが、本当の博物館として作り上げていく部分が大変でした。



――:本展覧会の見所を教えてください。

内藤:実は、『幻想水滸伝』の生みの親である村山吉隆氏の言葉や、当時の制作資料を初めて展示しております。「『幻想水滸伝』って何?」と問われた時の回答がいくつも散りばめられた資料になりますので、来場された方はそういった部分も楽しんで見ていただければと思います。



崎山高博氏(以下、崎山):30年前に描かれた思えない状態で、河野さんと石川さんの原画が展示されておりますので、これはぜひ皆様に見ていただきたいところです。



河野純子氏(以下、河野):当時は立体化されることまで考えて描いていなかったので、剣や棍に関しては「このアングルから見るとこうなるのか」と写真に撮って私の資料にさせていただきました(笑)。

渡邉氏:立体物に関しては、“実際に使われていたもの”として展示しておりますので、棍には殴った跡が付いていたり、丈の長いジャケットにはお尻の部分に馬に乗って付いたであろう掠れがあったり、彼らが生きて使っていた痕跡が残っているので、そこから彼らの息吹を感じてほしいです。



――:今後、『幻想水滸伝III』以降の作品に触れられる機会はあるのでしょうか?

内藤:まずは、『幻想水滸伝』の大本となる作品である『I』と『II』のリマスターを行いました。そして今、セカンドステップとして本展覧会や舞台、アニメ、モバイルゲームといった展開が形になりつつあります。なので、まずはそこを楽しんでいただきたいと思います。1つずつ段階を踏んでいきたいと考えておりますので、その先に何があるかは楽しみにお待ちください。

――:最後に、これから来場される方々に一言お願いします。

渡邉:30年間、画面の中にしかなかった『幻想水滸伝』の世界が、東京の水道橋に誕生しました。作品の中に入れるのはここだけになりますので、ぜひ皆さんお越しください。

河野:自分の描いたものに久々に再開して一気に時間が戻ったような体験ができたので、当時『幻想水滸伝』を遊ばれていた方もそういった体験ができると思います。村山もお祭りが大好きで絶対に見ていると思いますので、ぜひファンの方々には来ていただきたいです。

崎山:『幻想水滸伝』というIPの30年分の魅力が詰まった博物館になっておりますので、皆様のこれまでの『幻想水滸伝』愛をここで昇華していただければと思います。

内藤:素晴らしいものが出来上がりましたので、ぜひ体験していただきたいと思います。実際の展示を見て、完成するまでの感動が伝われば良いなと思っています。

――:本日はありがとうございました。



【シリーズ30周年記念 幻想水滸伝I&II展 〜幻想博物館〜 開催概要】

■期間:
前期:12月6日(土)~12月24日(水)
後期:12月25日(木)~2026年1月12日(月・祝)
※前期・後期で展示の入れ替えあり。
※開催期間中無休。

■時間:11:00~20:00(最終入場は閉館の30分前まで)
※12月6日(土)、7日(日)、27日(土)、1月12日(月・祝)の日時指定入場日は、 最終入場は閉館の20分前まで。

■場所:東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)

■チケット:入場券2,50円
・日時指定日:12月6日(土)、7日(日)、27日(土)、1月12日(月・祝)
・通常入場日:上記以外の日程
イープラス(WEB https://eplus.jp/genso_museum/およびファミリーマート店内マルチコピー機)で販売中
※会期中の当日券販売は、残数がある場合のみ通常入場日11:00~19:30にGallery AaMoチケットカウンターにて販売する。

■主催:トラン共和国・デュナン共和国資料保存会

■協力:株式会社コナミデジタルエンタテインメント

■公式サイト:https://www.event-td.com/genso_museum/

■展覧会公式X:@30thGensoMuseum(https://x.com/30thGensoMuseum)

■お客様からのお問い合わせ先:東京ドームシティ わくわくダイヤル TEL.03-5800-9999(受付:10:00~17:00)

※記載の価格は全て消費税込。
※会期・内容が変更になる場合がある。最新の状況は、公式サイトで確認できる。

(取材・文 編集部:山岡広樹)


株式会社コナミデジタルエンタテインメント
https://www.konami.com/games/corporate/ja/

会社情報

会社名
株式会社コナミデジタルエンタテインメント
設立
2006年3月
代表者
代表取締役会長 東尾 公彦/代表取締役社長 早川 英樹
決算期
3月
直近業績
売上高1940億1100万円、営業利益336億4700万円、経常利益348億9300万円、最終利益278億2800万円(2023年3月期)
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