『ラストウォー』が25年ゲームアプリ売上ランキング首位 『ジージェネエターナル』『シャドバWB』活躍 外部決済普及で"裏側"の考慮も重要に

2025年のモバイルゲーム売上ランキング(集計期間:2025年1月1日~2025年12月25日)は、既存の人気タイトルが安定感を保ちながら、新作タイトルが強烈なインパクトを与えた一年となった。Sensor Tower(センサータワー)のまとめによると、AppStoreとGooglePlayの合算値で首位に立ったのは『ラストウォー:サバイバル』だった。前年3位からトップへと浮上し、収益成長率も高水準を維持した。

2位は 『Pokémon TCG Pocket(ポケポケ)』 が前年16位から躍進し、150%前後の成長率で存在感を示した。ただ足元は極めて好調な立ち上がりだったリリース初期の反動減が続いており、今後の巻き返しに向けた取り組みの成否が注目される。

また、『モンスターストライク』や『Fate/Grand Order』といった長寿タイトルは安定した売上を維持する一方、『ホワイトアウト・サバイバル』や『ゴシップハーバー:マージ & ストーリー』などの急成長タイトルが多数登場した。

さらに2025年は、『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』 や 『Shadowverse: Worlds Beyond』 といった新作IPタイトルがランキングで大きな存在感を見せたのも特徴である。

 

順位 前年 変化 タイトル 収益成長率
1 3 ↑2 ラストウォー:サバイバル 48.0%
2 16 ↑14 Pokémon TCG Pocket 149.6%
3 0 ↓3 モンスターストライク -28.5%
4 1 ↓3 Fate/Grand Order 1.8%
5 20 ↑15 ホワイトアウト・サバイバル 90.3%
6 2 ↓4 ウマ娘 プリティーダービー -22.4%
7 - SDガンダム ジージェネレーション エターナル -
8 6 ↓2 崩壊:スターレイル -12.7%
9 8 ↓1 eFootball 1.0%
10 5 ↓5 プロ野球スピリッツA -24.9%
11 4 ↓7 パズル&ドラゴンズ -32.5%
12 17 ↑5 学園アイドルマスター 6.8%
13 12 ↓1 Pokémon GO -3.4%
14 7 ↓7 ドラゴンクエストウォーク 歩く楽しみが増える位置情報ゲーム -27.0%
15 11 ↓4 ロイヤルマッチ -12.8%
16 15 ↓1 荒野行動 -11.6%
17 10 ↓7 原神 -32.6%
18 14 ↓4 ドラゴンボールZ ドッカンバトル -19.0%
19 13 ↓6 勝利の女神:NIKKE -21.8%
20 18 ↓2 ONE PIECE バウンティラッシュ -16.5%
21 37 ↑16 にゃんこ大戦争 73.4%
22 30 ↑8 トゥーンブラスト 23.2%
23 22 ↓1 LINE:ディズニー ツムツム -10.7%
24 65 ↑41 鳴潮 131.7%
25 28 ↑3 ゼンレスゾーンゼロ 13.3%
26 19 ↓7 ブルーアーカイブ -28.9%
27 23 ↓4 あんさんぶるスターズ!!Music -15.2%
28 24 ↓4 パズル&サバイバル -20.8%
29 - Shadowverse: Worlds Beyond -
30 138 ↑108 ゴシップハーバー:マージ & ストーリー 390.9%

 出所:Sensor Tower(センサータワー)

 

■サバイバル・ストラテジー × ハイブリッドカジュアルの躍進

2025年のランキングを象徴するのは、サバイバル・ストラテジー系作品の躍進だ。

『ラストウォー:サバイバル』『ホワイトアウト・サバイバル』などは、

・広告で見せるカジュアル層向けのミニゲーム
・本編では戦略・育成が奥深いサバイバル要素

をブレンドしたハイブリッドカジュアル構造で、ユーザー獲得と収益化を両立している。しかも、定期的なシーズンパス強化・季節イベント・Live Opsの更新が高い継続率とLTV向上につながり、急成長の原動力となった。

 

■新作タイトルのインパクトとジャンルの再編

2025年は、単なる新作登場にとどまらず、既存市場を再定義する新作の活躍が目立った年でもある。

▼『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』
長年人気のあるガンダムIPをモバイルで再構築した本作は、戦略性と収集体験の両立で高い評価を得ている。ターン制戦略の奥深さと、日本国内外の根強いファン層を背景に、短期間でランキング上位入りし、安定した収益を確保している点が印象的だ。

▼『Shadowverse: Worlds Beyond』
既存TCGタイトル『Shadowverse』から派生した本作は、デッキ構築と対戦性に新たな体験価値を持ち込み、2025年のランキングで頭角を現した。カードゲームジャンル自体が再び収益成長の中心に戻りつつある流れの象徴であり、『Pokémon TCG Pocket』と並んで、デジタルTCG市場の熱気を再燃させたタイトルでもある。

このように 新作が成功するポイントは、単に人気IPを使うだけでなく「体験価値の再定義」に成功している点であり、これが2025年の収益ランキングを大きく動かした。

 

■既存タイトルの強さと日本市場の特異性

新作が健闘する一方で、長期運営タイトルの強さも改めて鮮明になった。代表例は『モンスターストライク』『Fate/Grand Order』『にゃんこ大戦争』『LINE:ディズニー ツムツム』などで、周年イベントや人気コラボによって収益・MAUともに高水準を維持している。特に『LINE:ディズニー ツムツム』は、収益ランキングで新作と競うほどではないものの、MAUでトップクラスの規模を保ち続けている点が特徴だ。これは、日本市場における「長く遊び続ける文化」の強さを示す重要な指標である。

 

■ストア外決済(Web課金)が与える構造的変化

2025年は、ストア外決済の導入が進んだ年でもある。大手タイトルの中には、App StoreやGoogle Playを介さないWeb決済による課金導線を強化するものが増えた。これにより、ストア上の売上ランキングには表れにくいが、実際の事業収益は大きく伸びているという構造的なズレが生じ始めている。ランキングや収益成長の推計値だけを見て「成長が鈍化している」と判断するのは必ずしも正確ではなく、裏側のWeb決済の伸びを考慮した収益総額の評価が重要になってきている。

 

■構造変化の可視化と2026年への示唆

2025年のモバイルゲーム収益ランキングは、単なる順位表ではなく、市場の構造変化を映す鏡だった。

主なトレンドとしては、

・ハイブリッドカジュアル/サバイバル・ストラテジーの存在感の上昇
・『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』や『Shadowverse: Worlds Beyond』など新作タイトルが市場を再活性化
・既存タイトルの安定と日本市場特有の強さ
・ストア外決済による収益構造の変化

といった点が挙げられる。これらはハイブリッドカジュアルの盛り上がりやストア外決済の普及は単なる一時的なブームではなく、モバイルゲームの収益構造そのものが成熟・分岐する過程を示している。

2026年に向けては、スマホ新法によるアプリストアやストア外収益の多様化などが注目ポイントになるだろうが、コンソールゲームやSteam、ブロックチェーンゲームなどに注力していた一部モバイルゲーム会社が再びモバイルゲームに回帰する動きが出ているように見える。ただ、以前のように高額の開発費を投じて大ヒットを狙うというより、IPを使って数億円程度の投資でPCも含めたクロスプラットフォームのタイトルが多いようだ。2026年は意外と多くの新作が出てくるかもしれない。