ガンホー、新経営体制における経営方針を発表…Gravityとの連携強化やグローバルヒット創出、資本市場との対話強化、株主還元拡充を打ち出す

ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>は2月13日、新経営体制における経営方針を発表した。代表取締役社長に就任した坂井一也氏のもと、グローバルヒット創出と安定収益基盤の確立を軸に、資本市場との対話強化や株主還元の拡充を打ち出した。
同社は近年、新規の大型ヒットタイトルを創出できていない状況が続いている。2025年12月期第4四半期には、『パズル&ドラゴンズ』のリリース以降で初となる営業赤字を計上。収益構造の転換が急務となる中、株価低迷を背景にアクティビストからの圧力も強まっている。こうした環境下で始動した新経営体制が、いかに事業を立て直していくのかが大きな焦点となる。
■森下一喜氏は開発専念へ、新体制で成長戦略を加速
新体制では、これまで代表取締役CEOを務めてきた森下一喜氏がゲーム開発の指揮・統括に専念。ヒット創出に向けた開発体制の強化を図る。一方、CFOおよび財務経理本部長として中長期戦略を担ってきた坂井氏が経営トップとして舵を取り、資本市場を意識した経営を推進する。
同社は企業理念「Smile for Everyone ~感動と楽しい経験を提供する~」のもと、『パズル&ドラゴンズ』や『ラグナロクオンライン』などのヒット作を展開してきた。新体制では、改めて“世界一のエンターテインメント企業”を目指す姿勢を鮮明にした。
■グローバルヒット創出と既存IPの収益最大化
経営方針の柱の一つが、グローバルでのヒット作品創出と安定的な収益基盤の確立だ。森下氏が開発に専念することで、新規タイトルのパイプライン増強を目指すほか、市場環境の変化に迅速に対応できる意思決定体制を構築する。既存IPについては、イベント運営体制を強化しキャッシュフローの最大化を図る。2025年度に減少していたIPコラボイベントは、今後例年並みの水準に回復する見通しとしている。
■コスト最適化と人材育成を両立
全社ベースでのコスト最適化も重要テーマだ。費用対効果の検証を強化し、収益を生み出すコスト配分の精度を高める。必要な領域に適切なリソースを投下する体制を整え、開発者が集中できる環境構築を進める。
また、新人事制度の導入や評価制度の見直しを通じて、優秀な人材を社内で育成する仕組みを強化。付加価値創出力の向上を目指す。
■Gravityとの連携強化でグループシナジー追求
グループ内の協働体制強化も掲げた。特に、子会社であるGravity Co., Ltd.との連携を強化し、同社開発の「ラグナロク」関連タイトルの日本向け展開を拡充する。資本・人員の最適配置を進め、グループ全体で効率的に収益を上げる体制を構築する方針だ。
■DOE4%導入、配当・自社株買いを拡充
今回の発表で最も注目されるのが株主還元方針の見直しだ。配当については、従来の配当性向に加え、新たにDOE(株主資本配当率)を導入する。DOE4%を指標とし、連結配当性向50%以上を目安とする。2025年12月期の期末配当は1株当たり90円(DOE4.0%)を予定しており、2024年12月期の60円から大幅増配となる見通しだ。
自己株式取得は、50億円または210万株(発行済株式数の約3.9%)を上限に実施。さらに、1,600万株(発行済株式総数の約23.1%)の自己株式消却も行う。
■約700億円の現預金、5年で開発500億円を投下
2025年12月期単体の現預金は約700億円。今後5年間で必要と見込む資金は約700億円とし、その内訳は以下の通り。
・開発資金:約500億円
・成長投資・株主還元:約200億円(うち成長投資・M&A:約100億円、株主還元:約100億円)」
開発費の増加を織り込んだ中長期投資を行う一方、適切な投資案件がない場合は株主還元に充当する可能性も示した。
■社外取締役比率50%へ、ガバナンス強化
コーポレート・ガバナンス体制も拡充する。取締役会は社内5人、独立社外5人の計10人とし、独立社外取締役比率は40%から50%へ引き上げる。女性取締役比率も10%から20%へと倍増させる。
あわせて、現預金アロケーションの考え方やDOE導入など、開示内容の充実を図る。
■「資本市場の声」に応える経営へ
新体制のキーワードは、「資本市場の声に耳を傾けた経営」だ。投資家との対話機会を増やし、IRを強化。成長投資と株主還元のバランスを明確化し、より強固なガバナンス体制を構築する。
営業赤字という厳しい局面とアクティビストの圧力を受ける中、開発力強化によるヒット創出と、財務戦略の明確化による資本効率改善を同時に進められるか。新経営体制が掲げた改革が実行力を伴うものとなるかどうかが、今後の企業価値を左右することになりそうだ。
会社情報
- 会社名
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
- 設立
- 1998年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 坂井 一也
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高932億4200万円、営業利益50億5600万円、経常利益67億8000万円、最終利益14億700万円(2025年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3765