朝日放送GHD、成長領域としてアニメ・コンテンツ事業に160億円投資する中期計画 31年度に売上高1000億円、営業益60億円目指す

朝日放送グループホールディングス<9405>は、この日(3月9日)、2026年度から2028年度までの中期経営計画を策定し、アニメ事業とコンテンツ事業を最重点領域としてそれぞれ80億円、合計160億円の成長投資を行う方針を明らかにした。独創的なIPの創出を軸に、国内外でのコンテンツ展開を強化する。

同計画は、創立80周年となる2031年に向けた「成長基盤強化フェーズ」と位置付けられている。2031年のありたい姿として掲げるビジョン「More Local More Global Be Original」の実現に向け、IPを中心としたコンテンツビジネスの拡大を進める。

 

■アニメ・コンテンツに160億円投資

中計期間(2026~2028年度)では、成長投資として総額160億円を投じ、そのうちアニメ領域とコンテンツ領域にそれぞれ80億円を配分する。

アニメ領域では、製作委員会を通じたIP獲得に加え、キャラクターIPや次世代キッズIPの開発を推進する。さらに北米での商品化ビジネスや中国現地法人を活用した事業展開のほか、M&Aやベンチャー投資を通じて事業基盤を強化する方針だ。

 

コンテンツ領域では、国内トップコンテンツの次世代開発や人気IPとの共創、イベント展開による収益多角化を進める。また海外パートナーとの協業を強化し、グローバル市場でのマネタイズ手法の多様化にも取り組む。

 

同社は「独創的IP」をグループの持続的成長を牽引する最大の原動力と位置付けており、アニメやドラマ、バラエティ、スポーツ、イベントなど多様なコンテンツを通じて国内外で展開していく。

 

■放送依存からコンテンツビジネスへ

事業構造の面では、放送以外のコンテンツ収益の拡大も重要なテーマとなる。

セグメント別の売上見通しでは、放送売上は2025年度の563億円から2028年度には550億円へやや減少する見込み。一方でコンテンツ関連売上は224億円から270億円へ拡大する計画で、コンテンツビジネスの比重を高める構造転換を進める。

グループの事業体制としては以下の6つの事業戦略グループを設置し、横断的な連携によるシナジー創出を図る。

・TV放送・コンテンツ事業戦略グループ
・アニメ事業戦略グループ
・ラジオ放送事業戦略グループ
・スポーツ事業戦略グループ
・イベント事業戦略グループ
・ライフスタイル事業戦略グループ

 

■人材・AI投資で基盤強化

成長基盤の強化として、人材投資とAI活用も進める。人的資本には20億円を投じ、人材獲得に15億円、人材育成に3億円、HRシステムの高度化に2億円を配分。コンテンツやアニメ領域への戦略的人員配置を進めるほか、経営人材の育成やスキル強化にも取り組む。

 

AI分野には10億円を投資し、業務効率化と創造性向上の両面で活用する。定型業務や分析業務へのAI導入により年間1万時間の業務余力創出を目指すほか、生成AIを活用したCGや動画制作の効率化も推進する。

 

■2031年に売上高1000億円目標

同社は2031年度に連結売上高1000億円、営業利益60億円を目標としている。中期経営計画の最終年度となる2028年度には、売上高960億円、営業利益45億円を目指す。

2025年度の業績予想(売上高927億円、営業利益36億円)から着実な成長を図り、コンテンツIPを軸とした事業構造の強化を進めていく。

 

財務戦略では株主還元の強化も掲げ、中期経営計画期間中は配当性向40%を目標とする。従来の30%から引き上げる一方で、これまで設定していた年間12円の下限配当は廃止する。中計期間の累計で約50億円の株主還元を実施する方針だ。

 

■テレビ局の「IPビジネス化」が加速

今回の中期経営計画は、テレビ局が従来の放送広告ビジネスからIPビジネスへと軸足を移している流れを象徴するものともいえる。

放送収入は中長期的に伸びにくい一方、アニメやコンテンツIPは海外配信、商品化、イベントなど多面的な収益化が可能なためだ。実際に同社の計画でも、放送売上が減少する一方でコンテンツ関連売上は拡大する見通しとなっている。

日本の放送局はアニメ制作への関与が深いケースも多く、IPを自社の成長ドライバーとして位置付ける動きが広がっている。

 

■アニメIP投資はテレビ局の新たな成長戦略に

アニメ領域への80億円投資は、IPを中心としたビジネスモデルへの転換を象徴する施策といえる。アニメは製作委員会方式を通じてIP権利を保有できる場合があり、ヒット作品が生まれれば配信、商品化、イベント、ゲームなど多方面に展開できる。近年は海外市場の拡大もあり、IPビジネスとしての魅力が高まっている。

テレビ局にとっては、放送を起点としたコンテンツ制作力を活かしながら、IPを長期的に育成することで収益源を多角化できる点も大きい。今回の中計は、放送中心のビジネスモデルから「IP創出型コンテンツ企業」への転換を進める戦略の一環とみられる。

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