【インタビュー】“流通構造は変わらない”中で何を変えるのか――発見型ストア『あっぷアリーナ!』の戦略


国内でいわゆる「スマホ新法」が施行され、アプリ流通市場は転換期を迎えている。これまでAppleの「App Store」とGoogleの「Google Play」が中心となってきた市場に、新たな選択肢が生まれつつある。

そうした中で登場したのが、BBSSによる発見型アプリストア『あっぷアリーナ!』だ。ランキング依存ではなく、“出会い”を軸にした設計を掲げる同サービスは、ゲーム流通のあり方にどのような変化をもたらすのか。

本稿では、同社代表取締役社長兼CEOの本多晋弥氏と、R&D本部本部長の橋本雅斗氏にインタビューを実施。収益モデルから開発者メリット、さらにはスマホ新法以後の市場の見通しまで、その戦略と現実的な立ち位置を聞いた。

■「流通構造は変わらない」――スマホ新法後の現実と“補完”戦略

――:スマホ新法によって、ゲームアプリの流通構造はどこまで変わると見ていますか。

ゲームメーカーさんがアプリ外課金を進めることで、市場としての変化は大きくなると思います。ただ、それは既存事業者の枠組みの中での決済移行に過ぎません。そのため、流通構造そのものが大きく変わるわけではないと見ています。構造を変えるには、我々のような独立系ストアの存在が重要になってきます。

――:既存ストア中心の構造は崩せると考えていますか。

構造を崩そうとは考えていません。既存のプラットフォームは非常に強力です。我々は、海外アプリの誘致や中規模以下のデベロッパーへの機会創出など、既存事業者がカバーしきれていない領域を担うことで、市場全体の底上げにつなげたいと考えています。



■「発見がLTVを変える」――収益モデルと開発者メリット

――:“発見型”は売上やLTVにどのような影響を与えますか。

ランキング上位にトラフィックが集中する現状では、多くのタイトルが埋もれてしまっています。ユーザーに合ったタイトルを適切に届けることができれば、継続率や課金率の改善につながる可能性があります。

我々は発見型を軸に、ユーザーコミュニティの形成も進めていきます。価値のあるゲームにフォーカスすることで、開発者には販売機会を、ユーザーには新しいゲームへの参加のしやすさを提供していきます。

――:収益モデルについて教えてください。

収益面は簡単ではありません。既存プラットフォームへのコストもあり、ポイント還元もストア側の負担になります。ただ、ユーザーに還元することで利用が広がり、結果的に規模の拡大で成立させるモデルです。開発者にとっても販促費の削減につながる可能性があります。

――:開発者にとってのメリットはどこにありますか。

手数料は既存ストアと大きくは変わりません。その代わり、露出機会の多様化が最大の価値です。ランキングや広告以外の導線を提供することで、特に中規模以下の開発者にチャンスを生み出したいと考えています。

開発者の皆様にとっては、販促費の⼀部削減ができます。また、Aptoideからの情報だと、積極的なポイント還元は売上の向上にも繋がるという話を聞いていますので、結果的な収益増につながると思います。



■「対話型の運用」で環境を整備――審査と立ち上げフェーズ

――:審査や表現規制について教えてください。

一方的に判断するのではなく、開発者と対話しながら進めていく方針です。「どこまで可能か」をすり合わせながら進めていきます。

――:タイトル数についてはどれくらい増やす予定でしょうか。

現状はまだ少ないのが課題で、まずは100タイトルを目標にしています。ただし、単に数を増やすのではなく、選ばれたアプリとしての質も重視しています。



■「海外展開の現実的な導線」――Aptoide連携と今後の展開

――:海外展開について教えてください。

Aptoideの基盤を活用することで、比較的容易に海外展開が可能になります。ユーザーへのアプローチもサポートされます。現在はEUが中心ですが、今後さらに展開地域は広がる予定です。

――:役割分担についてはどのようになりますか。

プラットフォーム基盤はAptoide、日本向けの運用やマーケティングは我々が担当します。

――:今後の展開について教えてください。

日本ではiOSが重要ですが、Androidにも拡張余地があります。ユーザーにとって価値のあるタイトルを優先して展開していきます。




今回のインタビューから見えてきたのは、『あっぷアリーナ!』が既存ストアの“代替”ではなく、“補完”としての立ち位置を明確にしている点だ。

スマホ新法によって参入障壁が下がったとはいえ、App StoreやGoogle Playが築いてきたエコシステムは依然として強固であり、流通構造そのものが短期的に大きく変わる可能性は低い。その前提に立ったうえで、同社は「発見型」という新たな価値軸を提示し、ユーザー体験の差別化を図ろうとしている。

また、収益面においても、単純な手数料競争ではなく、ユーザー還元や露出機会の拡張といった複合的な価値で開発者を引きつける設計が特徴的だ。さらに、Aptoideとの連携による海外展開の導線も、現実的な支援の一つとして位置づけられている。

“ストアは選ぶ時代”が本格的に訪れるかどうかは、ユーザーと開発者双方の動きにかかっている。『あっぷアリーナ!』が提示する新たな選択肢が、ゲーム流通にどこまで影響を与えるのか。今後の展開に注目したい。


(取材・文 編集部:山岡広樹)


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