第2回 アニメ『一畳間まんきつ暮らし!』制作の裏側――“きらら"を再現する執念と、キャラクター表現へのこだわり

木村英彦 取締役 編集長
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好評放送中のTVアニメ『一畳間まんきつ暮らし!』をテーマに、マンガ編集、アニメプロデュース、宣伝の各領域からキーマンに迫る連載企画。第2回では引き続き、芳文社編集部の末永氏とプロデューサー尾崎氏に、アニメ制作の舞台裏を聞いた。キャラクターの魅力を最大化する演出や、実在する「きらら」作品の再現など、細部に宿るこだわりと、“アニメにする意味"を追求した現場の試行錯誤に迫る。

 

第1回 『一畳間まんきつ暮らし!』はいかに生まれ、アニメ化へ至ったのか――“きらら×漫画喫茶"の発想と広がる可能性

 

■プロフィール

尾崎源太氏
NBCユニバーサル・エンターテインメントジャパン アニメ制作部プロデューサー。

 

末永雅弘氏
芳文社まんがタイムきらら編集部 編集長代理。

 

■アニメ化の決め手:キャラクターの「尖り」と「拡張性」

――:尾崎さんはかなり早い段階から本作に注目されていたと伺っています。アニメ化を決断したポイントはどこにありましたか?

尾崎: まず、芳文社さんの「きらら」ブランドであり、ほどよい「お色気」の要素があること。これが視聴者にとっても、僕自身にとっても大きなフックでした。 それに加えて、VTuber、ゲーム配信者、女性経営者といった、キャラクターたちの個性が非常にエッジが効いていて、これならアニメ化してさらなる広がりが作れるだろうと直感したのがきっかけです。

末永: 尾崎さんは本当に早かったですよね。コミックス1巻が出た直後くらいの段階から、『球詠(たまよみ)』でのご縁もあり、熱心に動いてくださっていました。

尾崎: 原作をそのままなぞるだけでなく、「アニメにする意味」を常に考えていました。本作には、VTuberキャラが実際にYouTubeで生配信をしたり、実在する芳文社さんの本が劇中に並んだりと、メディアを越えていく「拡張性」があったのが魅力でした。

 

■映像表現の極致:実在する「きらら」作品の完全再現

――:アニメの背景に並ぶ、圧倒的な数の漫画本の描写に驚きました。

尾崎: 漫画喫茶が舞台ですから、そこは絶対に手を抜けないポイントでした。 通常の背景だと背表紙を適当に描くことも多いのですが、カメラが寄った時に、そこに「きらら」のコミックスが実在するタイトルでずらっと並んでいたら、視聴者も「自分も行ってみたい!」という気持ちになりますよね。

末永: 芳文社の実在する漫画の表紙や背表紙を、撮影工程で一枚一枚丁寧に貼り込んでくださっています。

尾崎: 裏話をすると、1巻だけをずらっと並べてしまったカットに対して、末永さんから「ここはちゃんと1巻から順番に並べてください」と、背表紙の並び順にまで及ぶ細かいリテイクをいただいたりもしました(笑)。 一瞬のカットでも、止め絵で見れば本物の背表紙が棚に収まっている様子が伝わるはずです。かなり撮影チームに苦労をかけましたが、その分、視聴者の皆さんに喜んでもらえる仕上がりになったと思います。

 

■「一畳間」という空間の再構築

――:限られた個室空間を映像化する上で、工夫された点はありますか?

尾崎: 実際の一畳間(約1.6平米)をそのまま再現しようとすると、実はアニメでは「芝居」が成り立たないほど狭くなってしまうんです。 そのため、本作の個室は原作のイメージを保ちつつ、アニメ的な演出ができる程度の広さに少し「嘘」をついて、広めに再構築しています。 ある程度の距離感を確保しつつ、でも「手の届く範囲に何でもある」というワクワク感を表現するために、小物の配置にもかなりこだわりました。

 

■制作現場での議論:鼻血シーンに見る「キャラクター解釈」

――:本作ならではの「お色気」と「きらららしさ」のバランスについては、現場でどのような議論がありましたか?

尾崎: 「きらら」ブランドの中で、肌色の面積が多い作品であることは一つの個性として大切にしています。 ただ、その表現一つとっても現場では熱い議論がありました。例えば、主人公の芽衣子が鼻血を出すシーン。

監督からは「鼻血は出さないほうがいいんじゃないか」という意見が出たこともあります。 興奮を表現するベタなギャグとして処理するのか、それとも芽衣子というキャラクターの反応として適切なのか。 4コマ漫画はコマの間に「答え」がない部分がありますが、アニメではその間を埋めなければなりません。 「この子ならどう動くか」を、ひさま先生や末永さんと何度もディスカッションして作り上げていきました。

 

■ひさまくまこ先生との「二人三脚」

――:原作者のひさま先生も、かなり現場に深く関わられているようですね。

尾崎: 先生はアフレコにも毎回欠かさず来てくださり、声優さんたちとも積極的にコミュニケーションを取ってくださっています。 僕たちが迷った時にどっしりと指針を示してくださるので、非常に心強いです。

末永: 先生はアニメ側の新しいアイデアを本当に面白がってくださいますよね。 VTuberキャラの生配信にもリアルタイムで参加してコメントをくださったり、先生主催で声優さんたちと食事会をされるなど、スタッフ・キャスト一同が家族のような雰囲気で制作できています。

 

■最終回に向けて:驚愕のラストにも期待

――:今後の見どころと、ファンへのメッセージをお願いします。

末永: 第6話から登場していますが、強烈なキャラクター「剛田魔法桃鈴(ごうだまじかるももりん)」には注目してほしいです。 声優の前田佳織里さんが本当に見事に、ぶっ飛んだキャラを演じてくださっています。

尾崎: そして最終回ですね。当初の脚本案からさらに練り直して、「こんな終わり方でいいのか!?」と驚くような、ある意味で「きらら」の枠を飛び越えた仕掛けを用意しています。 驚愕のラストになると思います(笑)。 これは原作の順番とは別に、シナリオ会議で決めたことなんですが。 原作ファンも驚くような、アニメならではの集大成を見せられるよう、スタッフ一同全力を注いでいます。 最後まで「一畳間」の楽しさを一緒に体感していただければ幸いです。

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